
前号に引き続き、ゴルフ用品のネット販売などを行うゴルフダイジェスト・オンライン(=GDO)の坪井春樹リテールビジネスユニット長に、前期の成果や今後の事業計画などについて聞いた。
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――今の物価高は小売市場にとって非常に逆風の状況となっている。
「物価高の影響を受けて、モノが売れにくい時代になったということはあるのですが、当社では基本的には今期もさらに売り上げを上げるという計画でいます。まずは強みとなっている中古事業をさらに注力させたいと思っている。今は調達ができるルートをある程度確立できたので、それを商品化していくためのインフラ周りをより強化していく考え。特に物流に関わるところで、買い取りの査定体制や、撮影して商品化するところなど、オペレーションコストがかかる部分なので、そこにDX化を図って上手くソリューションを活用することで、人力でやっていた部分を少しでも生産性を上げていくことができるようになると思う。
あとは会社としても、デジタル体験をいかに強化していくかという話はかなり出ている。その中でもAIの活用は1つテーマにもなっているので、今年はそれに取り組んでいき、成果を出せるようにしたいと思う」
――すでに導入しているものでは。
「今は、ECで『AI試着室』というサービスをテストしている。バーチャル試着のような仕組みなのだが、顧客が自身の撮影画像をアップして、それに通販サイトにあるアパレル商品の画像を選んで当て込むと、AIが実際に着用している様子の画像を生成することができるもの。着用時のシワなども上手く表現して、自然に着ているような画像を生成できるというところがポイント。モデルの画像に着せ替えのように当て込むことも可能。
これは電通デジタルさんと共同で、自社開発したもので、テスト版を2025年2月にリリースして一部の商品で開始しており、今後はこれを徐々に改良していきたいと思っています。ある程度まではできているが、サイズ感までを完璧に表現できているという段階ではまだないので、次のステップで実現できるようにしたい。最終的には、『あなたにはこういった商品が似合います』や、『このトップスにはこういった機能もあります』というような形で、コメントとして顧客に対してレコメンドできるようなAI機能を持たせたい。
いわば、実店舗でスタッフが接客しているようなイメージだろう。こうした機能をECに取り入れる効果としては、購入の最後の後押しになるというコンバージョンへの期待もあるが、単純にウェブ上で商品を選びやすくするという目的もあると思う」
――DX化で生産性を上げるとは具体的には。
「様々な場面で必要だと考えている。例えば、今は査定担当のスタッフがゴルフクラブを見て、いつのどのブランドのものかということを判断しているが、その作業自体はある程度ゴルフの知識やゴルフクラブのことを分かっていないと行うことができない。作業自体にも時間がかかるので、そうしたところを人の目ではなくて、カメラとAIを駆使して、撮影しただけで商品の状態も含めてランク分けなども自動でできるようになるとかなり生産性が上がるだろう。
あとは、実店舗の話になるが、中古クラブの場合、商品ごとにそれぞれ価格シールを付けなくてはいけない。今は、店内に陳列するゴルフクラブのヘッドに1枚ずつ価格シールを作って貼っているが、新商品の売れ行きなどによって中古商品の価格も連動して相場が変わっている。何かを見て値札を変えるという作業は、割と頻繁に発生するため、価格チェックは、毎週、担当者がやっている。これが非常に大変な作業となるため、例えば電子タグを導入して、PCで価格変更したものをアップロードするとその電子タグの価格情報も変わるなど。中古クラブはSKU数も膨大なため、まだ取り入れることはできていないが、こうしたところもテコ入れしていく必要はあると思う。RFIDも導入することで、もっと商品管理も楽になると思うのでそうしたところも含めて生産性を上げていきたい。その結果、商品化も速くなり、顧客に届けるスピードも速くできるだろう」
――物価高の中、商品を販売していくためには。
「現在の物価高というポイントを1つ意識して申し上げると、やはり購入するハードルをいかに下げられるかということが大事になるかと思う。それは金額的な部分もそうだし、やはり、利便性ということもそうだと思う。
あとはECはどうしても商品を直接見て手に取ることができないため、ECでの買い物で失敗をしないようにできるかという課題を解消することが重要です。当社で言えば、トライショットであったりバーチャル試着など。金額的な部分で言えば下取り割などの取り組みがあるかと思う。そうしたサービスのどれか1つというよりかは、組み合わせなのではないだろうか。情報があまり得られないとECで商品を買いづらいということは当然あるかと思う。最新のAI施策も含めてだが、こうしたサービスを蓄積していき、購買体験を向上させていくということが大事になるのではないだろうか」(おわり)
――今の物価高は小売市場にとって非常に逆風の状況となっている。
「物価高の影響を受けて、モノが売れにくい時代になったということはあるのですが、当社では基本的には今期もさらに売り上げを上げるという計画でいます。まずは強みとなっている中古事業をさらに注力させたいと思っている。今は調達ができるルートをある程度確立できたので、それを商品化していくためのインフラ周りをより強化していく考え。特に物流に関わるところで、買い取りの査定体制や、撮影して商品化するところなど、オペレーションコストがかかる部分なので、そこにDX化を図って上手くソリューションを活用することで、人力でやっていた部分を少しでも生産性を上げていくことができるようになると思う。
あとは会社としても、デジタル体験をいかに強化していくかという話はかなり出ている。その中でもAIの活用は1つテーマにもなっているので、今年はそれに取り組んでいき、成果を出せるようにしたいと思う」
――すでに導入しているものでは。
「今は、ECで『AI試着室』というサービスをテストしている。バーチャル試着のような仕組みなのだが、顧客が自身の撮影画像をアップして、それに通販サイトにあるアパレル商品の画像を選んで当て込むと、AIが実際に着用している様子の画像を生成することができるもの。着用時のシワなども上手く表現して、自然に着ているような画像を生成できるというところがポイント。モデルの画像に着せ替えのように当て込むことも可能。
これは電通デジタルさんと共同で、自社開発したもので、テスト版を2025年2月にリリースして一部の商品で開始しており、今後はこれを徐々に改良していきたいと思っています。ある程度まではできているが、サイズ感までを完璧に表現できているという段階ではまだないので、次のステップで実現できるようにしたい。最終的には、『あなたにはこういった商品が似合います』や、『このトップスにはこういった機能もあります』というような形で、コメントとして顧客に対してレコメンドできるようなAI機能を持たせたい。
いわば、実店舗でスタッフが接客しているようなイメージだろう。こうした機能をECに取り入れる効果としては、購入の最後の後押しになるというコンバージョンへの期待もあるが、単純にウェブ上で商品を選びやすくするという目的もあると思う」
――DX化で生産性を上げるとは具体的には。
「様々な場面で必要だと考えている。例えば、今は査定担当のスタッフがゴルフクラブを見て、いつのどのブランドのものかということを判断しているが、その作業自体はある程度ゴルフの知識やゴルフクラブのことを分かっていないと行うことができない。作業自体にも時間がかかるので、そうしたところを人の目ではなくて、カメラとAIを駆使して、撮影しただけで商品の状態も含めてランク分けなども自動でできるようになるとかなり生産性が上がるだろう。
あとは、実店舗の話になるが、中古クラブの場合、商品ごとにそれぞれ価格シールを付けなくてはいけない。今は、店内に陳列するゴルフクラブのヘッドに1枚ずつ価格シールを作って貼っているが、新商品の売れ行きなどによって中古商品の価格も連動して相場が変わっている。何かを見て値札を変えるという作業は、割と頻繁に発生するため、価格チェックは、毎週、担当者がやっている。これが非常に大変な作業となるため、例えば電子タグを導入して、PCで価格変更したものをアップロードするとその電子タグの価格情報も変わるなど。中古クラブはSKU数も膨大なため、まだ取り入れることはできていないが、こうしたところもテコ入れしていく必要はあると思う。RFIDも導入することで、もっと商品管理も楽になると思うのでそうしたところも含めて生産性を上げていきたい。その結果、商品化も速くなり、顧客に届けるスピードも速くできるだろう」
――物価高の中、商品を販売していくためには。
「現在の物価高というポイントを1つ意識して申し上げると、やはり購入するハードルをいかに下げられるかということが大事になるかと思う。それは金額的な部分もそうだし、やはり、利便性ということもそうだと思う。
あとはECはどうしても商品を直接見て手に取ることができないため、ECでの買い物で失敗をしないようにできるかという課題を解消することが重要です。当社で言えば、トライショットであったりバーチャル試着など。金額的な部分で言えば下取り割などの取り組みがあるかと思う。そうしたサービスのどれか1つというよりかは、組み合わせなのではないだろうか。情報があまり得られないとECで商品を買いづらいということは当然あるかと思う。最新のAI施策も含めてだが、こうしたサービスを蓄積していき、購買体験を向上させていくということが大事になるのではないだろうか」(おわり)