靴とファッションのネット販売を手がけるジェイドグループは3月31日付で、ベネッセコーポレーションの生活情報メディアを含む3社と株式譲渡契約を締結した。M&Aを通じてブランド事業とメディア・エンターテイメント領域を戦略的に強化する。

　メディア・エンターテイメント領域ではベネッセが手がける「サンキュ!」の事業を買収する。ベネッセが当該事業を継承するARIGATO株式会社を新設分割し、新会社の全株式をジェイドグループが6月2日付で取得する予定だ。

　「サンキュ!」は紙媒体の発行部数が月間約15万部、デジタル媒体のPV数は5604万件超で、2023年度の売上高は9億9700万円。主要読者層は20代～40代の女性で、ジェイドグループが運営する事業との親和性が高いと判断。「刹那的なオンライン上の接点作りだけでなく、紙媒体を活用することで深いアプローチができる」(田中裕輔社長)としている。

　ブランド事業では、革製品のネット販売を手がけるブルーシンシアと、ハイブランドのセレクトショップを運営するマルタミの2社について、新設したジェイドグループの100子会社で中間持株会社の「ANBUR　LEAGUE(アンバーリーグ)株式会社」を通じてM&Aを実施。ブルーシンシアの発行済株式70%、マルタミの発行済株式100%をどちらも3月31日付で取得した。

　ブルーシンシアは自社で企画した革製品をバングラデシュの自社専属工場で生産し、自社ECと外部ECモールで販売しており、23年度の売上高は7億6600万円。ジェイドグループの販売力やマーケティングノウハウ、物流・IT基盤を活用したDXの推進によって事業拡大と効率化が期待できるとする。

　マルタミは釧路市内に本社と店舗を構え、「モンクレール」や「アルマーニ」「カナダグース」など、主にハイブランドの商品を取り扱っており、23年度の売上高は1億9900万円。ジェイドグループの品ぞろえ強化が実現できるほか、マルタミにとっても販路の拡大とDXの推進につながるという。

　3件のM&Aはいずれも譲渡価額は非公開となる。ブランド事業についてはM&Aを加速するために中間持株会社を設立。ジェイドグループとのシナジーを最大化しつつ、ブランドの独立性、世界観を守るグループ体制を構築していく。