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特商法で「誇大広告」の執行増加、悪質通販に厳格対処へ

2025年 4月10日 12:00

 通販の「誇大広告」に特定商取引法で対処する事例が増えている。23年以前は、表示義務違反を中心とした取り締まりが中心で、誇大広告は主に景品表示法で対処されていた。相談件数等から悪質性を検討し、業務停止・禁止などより重い処分で抑止力とする狙いがある。

 消費者庁は23年、特商法の執行を担う取引対策課に「デジタル班」を設置した。誇大広告は、景表法執行を担う表示対策課と連携し、事案の振り分けを行っているとみられる。

 特商法の執行は消費者からの相談件数が一つの指標になる。国民生活センターが運用する「PIO‐NET」に寄せられる相談は、年間90万件。通販は例年、30万件ほどで推移していたが、ここ数年は35万件前後で推移する。

 通販は、昨年5~12月の約8カ月で4件の業務停止命令を行っている。適用条項は、「誇大広告」が4件、定期回数や解約条件などの表示を求める「最終確認画面の表示義務違反」が3件。「誇大広告」は、「デジタル班」を設置した23年以降に適用が増えた。同期間の指導は、6件。ここでも適用条項9件のうち、3件は「誇大広告」を適用している。

 注意喚起は、昨年4月から12月末までに約1200を行っている。前年並みの推移だが、「ネット通販(EC)」関連は、435件ですでに前年度を上回るペース。「オークション」は716件で前年並み、「テレビ」は8件で前年(26件)を下回るペースで推移する。

 消費者庁は①定期購入契約の2回目を受け取らない場合に高額な手数料がかかわるが最終確認画面に表示がないもの、②最終確認画面で容易に解約できるとしながら煩雑な手続きが必要になるもの、③広告や最終確認画面で単品のお試し購入かのように示しながら、実際は定期購入であるもの――に対する執行を積極的に行っている。

 特商法の誇大広告は優良・有利誤認が認定でき、景表法と同様に不実証広告規制で表示の裏づけとなる合理的根拠を要求できる。提出しない場合に根拠と認めない〝みなし規定〟もある。表示是正が基本の景表法に対し、業務停止など事業に及ぼす制裁効果も強く、悪質業者の取締りに有効だ。相談件数が増加傾向にある中、特商法を使い、厳格な対処を行う方針といえる。
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