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ホームセンターバローが課題解決しSOY受賞、自社サイト・au店も強化

2025年 4月10日 12:00

 ホームセンターバローが運営する「ホームセンターバロー 楽天市場店」は、仮想モール「楽天市場」の優秀店舗を表彰する「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)2024」において、「ガーデン・DIYジャンル賞」を受賞した。

 同社EC部の宮城敏郎チーフマネージャーは、2020年秋に同社へ入社した。「EC事業を始めて間がなかったので、課題が山積していた」と当時を振り返る。

 宮城チーフマネージャーは、前職ではEC事業担当者として、自店をSOY1位に導いた実績がある。「バローの場合、商品名の付け方や商品説明文などには大いに工夫の余地があった」(宮城チーフマネージャー)。問題点を改善することで、楽天市場検索におけるSEOが良化。さらには、前職時代に利用していたポイント広告(ユーザーがエントリーすることで、特定店舗のポイント倍率がアップする企画)や、顧客を定着させるためにレビュー促進ツールの活用なども行った。

 こうした施策を行うことで、同店の売り上げは順調に伸びていったという。もう一つ、売り上げを伸ばす要因となったのが、商品数の拡大だ。

 同氏が入社した当時は1~2万点の取り扱いだったが、現在は約300万点まで増加。在庫を有している商品だけではなく、受注後にメーカーに発注する商品もあるほか、商品ベンダーの在庫を使ったドロップシッピングも活用。取扱商品のうち、200万点はベンダーから顧客へと直送される形だという。「システム的に在庫データのやりとりなどをできるよう、改善したことも大きかった」(宮城チーフマネージャー)。同社の場合、システムを内製しているため、こうしたシステム開発もスピード感を持って進めることができたという。

 宮城チーフマネージャーは「『SOY2023』はあと一歩届かなかったという話だったので、今年は何としてもと思っていた。受賞できたのは本当に嬉しい」と顔をほころばせる。

 今後は、ガーデン・DIYジャンル賞のトップである「大賞」が目標となる。宮城チーフマネージャーは「商品数を増やすことにこだわってきたが、最近は『自分たちで売る』方向に舵を切るメーカーが増えてきた。当社でも家庭用高圧洗浄機をかなりの台数売ってきたが、年々取引条件が悪くなってきている。今後もメーカーが直販を強化する流れは強まるだろう」と予測。その上で「今までのようなやり方ではさらなる成長は見込めない。バローとしてプライベートブランド(PB)を強化するとともに、CRMに取り組むことで顧客を囲い込まなければいけないだろう」とする。

 同社は型番商品の取り扱いが多いため、競合との価格競争になりやすい。そのためPBの開発は急務だが、まだ全商品のうち1%程度に過ぎない。専任の担当者を設け、少しずつPBを増やしているという。CRMに関しては、LINEやライブコマースの活用を検討している。

 また、楽天市場以外の店舗も強化していく。「昨年立ち上げたばかりの自社サイトは商品登録数もまだ少ないので伸ばしていきたい。それ以外では『auPAYマーケット』に力を入れはじめている」(宮城チーフマネージャー)。同モールに関しては、売り上げが少なかったため一度退店したものの、一昨年再出店。営業担当とのコミュニケーションを密にすることで、少しずつ売り上げは伸びてきているという。「auユーザーの数を考えると、モールとしてのポテンシャルはあるのでないか」(同)。商品登録数を増やすとともに、価格面でも競合を意識した値付けとする。売り上げを伸ばしていくことで、毎月「3」の付くに日に実施されるセール企画「三太郎の日」でのポイント施策なども展開していく計画だ。

 また、実店舗とECとの連動も進める。宮城チーフマネージャーは「1月からEC部隊と販促部隊が密にコミュニケーションを取れる形になったので、O2O的な施策も広がっていくのではないか」と話す。

 ホームセンターバローとしてのEC売上高は30億円程度だが、「まだまだ伸ばす余地は大きい」(同)ことから、近い将来の100億円到達を目標とする。同社親会社のバローホールディングスは、スーパーマーケットを中核として、ホームセンターやドラッグストアなどを中部地方で展開している。宮城チーフマネージャーは「個人的な思いではあるが、バローグループを横断したモールのようなものを作れればEC売上高はもっと伸びるのではないか」と将来像を語る。
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