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アマゾンジャパン 店舗向けスマホ決済に参入

2018年 8月30日 09:58

DSC03989.JPG アマゾンジャパンが実店舗向けのスマートフォン決済事業に参入した。これまでオンライン上でEC事業者らに提供してきた決済サービスをベースにし、アプリ上でユーザー固有のQRコードを表示し、店舗側が専用のタブレット端末で読み取ることで決済する仕組み。膨大な顧客数を背景にネット上ではアマゾンの決済サービスの導入企業は急増しているようだが、実店舗の決済でもシェア拡大を進める。小規模店舗を中心に利用可能店を増やし、その後、大型店の決済ニーズも取り込んでいく狙いだ。

 アマゾンが8月29日から開始した実店舗向けスマホ決済サービスはスタート時点では決済関連事業を展開するNIPPON PAYと連携して行うもので、同社子会社が実店舗向けにレンタル料無料で配布する様々な事業者のQRコード決済やカード決済、通訳、免税書類作成サービスなどに対応するタブレット端末「NIPPON Tablet」の設置店で利用できるもの。

 利用の際はアマゾンで配信中のスマホ用アプリ「Amazonショッピングアプリ」を起動し、メニュー内にある「アマゾンペイ」をタップすることで当該顧客固有のQRコードが表示され、店側が「NIPPON Tablet」で決済額を打ち込んだ上で当該コードを読み取ることで決済が完了する。同仕組みはアマゾンが2015年5月からオンライン決済サービスとしてEC事業者向けに展開を始めたアマゾンユーザーが自身のアマゾンアカウントでログインして、すでに登録している配送先情報やクレジットカード情報をそのまま利用して決済ができる「アマゾンペイ」をリアル店舗向けにも対応させたもの。なお、スマホ上に表示されるQRコードは30秒で使用期限が切れる設定で、第三者がQRコードの撮影しての不正決済を防止している。

 実店舗向けにQRコードを使ったスマートフォン決済は後発となるが、オンライン上では膨大な顧客基盤を背景に開始から3年で数千社がすでに導入し、一定の成功を収めているのと同様に、リアルでも多くの顧客数を背景に潜在ニーズが高いことやスマートフォン経由でアマゾンを利用するユーザーが月間3700万人程度おり、実数は不明だが、そのうち、すでに多くのユーザーがQRコードを表示するために必要なアマゾンのアプリを使っていること。また、「アマゾンペイ」の決済手数料の店舗負担を2020年末までの最大2年3カ月間、無料とすることなどで、消費者側および店舗側両方の利用数拡大を進め、競合サービスに対抗していく考え。

 現状、対応タブレット端末は全国で約1万5000台を設置しているが、スタート時点でアマゾンの決済に対応する店舗は東京・早稲田や福岡市内の商店街の店舗など数十店舗。今後、NIPPON PAY側で告知を強化して、端末導入店にアマゾンペイの対応を促すほか、端末数についても外部の営業パートナーと連携し、今年末までに中小規模店舗を中心に5万6000店まで設置店を増やしていく考え。アマゾンペイの決済手数料が無料であることから設置店の大半がアマゾンペイに対応すると見ているようだ。

 アマゾンではまずNIPPON PAYと組んで、同社端末が主戦場とする中小個人店舗を軸に実店舗向けスマホ決済サービスの導入を進めていくが、コンビニやドラッグストア、家電量販店、百貨店といった大型店への導入に向けた取り組みについても「可能性自体は排除するものではない。将来的にはある」(AmazonPay事業本部の井野川拓也本部長)とした上で、「実際に大型店ではレジと連動させる必要があり、そのためにはさらに開発が必要。開発の工数とか期間などを総合的に判断しながらタイミングを考えたい」(同)とした。

 海外では広く普及しており、国内でも今後、普及の兆しを見せ、ビジネスチャンスとなり得る実店舗向けスマホ決済サービスではLINEやヤフーなど様々な事業者が参入し、決済手数料を無料とするなどシェア拡大へ向け攻勢を強めている。アマゾンでも米アマゾンでも運営する書店などで実施しているほか、ファッションショーで紹介した服をその場で購入するための決済手段として期間限定で一部の事業者に「アマゾンペイ」のリアル決済に対応しているが、今回のように自社店舗以外の多くの実店舗を対象としたスマホ決済サービスの展開は初めて。EC事業とのシナジーもあり、またこれから成長を遂げ、競合も踏み出した「宝の山」を前に異例とも言える日本独自の事業展開に乗り出したようだ。ECの巨人が群雄割拠する実店舗向けスマホ決済でもガリバーとなり得るか注目されそうだ。
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