アマゾンジャパンが日用品のプライベートブランド(PB)の強化、拡販に本腰を入れ始めた。従来からPC周辺商品などではPBを展開してきたが、一昨年から昨年にかけて「Happy Belly(ハッピーベリー)」など米アマゾンなどですでに展開している食品や飲料、日用品の4つのPBの販売を日本でもスタートさせ、さらに今夏からはメーカーとダブルブランドでも展開する新たなPB「SOLIMO(ソリモ)」を投入、すでに国内の有力メーカーらと組んで生産した商品の販売を開始している。他の流通大手が展開するPB同様、アマゾンでも利益率が高く商品面でも差別化につながる自社PBの拡販を今後、より強化していく模様。また、ペット用品のPBなど日本では未販売ながら米アマゾンでは展開中の注目のPBもあり、日本での発売の行方を含め、動向が注視されそうだ。
アマゾンジャパンでは2009年から展開を開始し、現状ではPCやスマートフォンの周辺機器や乾電池などを800点以上の商品を販売しているPB「Amazonベーシック」を展開してきたが、ここに来て日用品PBの投入を加速させている。第1弾として2016年6月からは米アマゾンでは15年から展開している「ハッピーベリー」を、まずはミネラルウォーターで日本での展開を開始。次いで17年12月からはベビー用品のPB「MamaBear(ママベアー)」、日用雑貨や清掃用品のPB「Presto!(プレスト)」、ワンランク上の食品を中心に展開する「WickedlyPrime(ウィッキドリープライム)」の3ブランドの販売を始め、PB展開を本格化させている。
アマゾンでは日用品PBの具体的な売り上げなどについては明らかにしていないが、日用品PBの中心ブランドで現状では水や米、スパゲティ、インスタントコーヒー、青汁など31点と最も多くの商品を展開する主力の「ハッピーベアー」ではミネラルウォーター「Happy Belly天然水 岐阜・養老(2L)×10本」がアマゾンが取り扱う全飲料水の売上順位の中でも上位であることを明らかにしているほか、同ブランドのゼリー飲料、また、「ママベアー」で展開するパンツタイプの紙おむつ「Mama Bear ふわふわベビーパンツ」の売れ行きもかなりよい模様だ。
販売面でも一定の手ごたえを得ていることに加えて、セット販売や価格設定などに自由が効き、競合との差別化が可能であり、一般的に利幅も高いPBをさらに強化、拡販したい狙いもあるのか、これまで有料会員「Amazonプライム会員」限定で販売してきた"制限"をここに来て撤廃(※有料会員用ブランドの「ウィッキドリープライム」を除く)したことに加えて、既存のPBに加えて今年6月からは食品・日用品の新たなPB「ソリモ」の販売もスタートさせた。「ソリモ」はアマゾンで展開するこれまでの他の消費財分野のPBでは実施していない"ダブルブランド"での展開も実施していくとしており、はごろもフーズとツナ缶を、またシックの親会社のエッジウェルパーソナルケアと剃刀の販売を開始しているが、7月16日から同社サイトで36時間にわたって開催した有料会員向け大規模セール「プライムデー」に合わせて、アンファーと組んで同社のブランド「スカルプD」とのダブルブランドで展開する男性用ヘアケアブランド「SOLIMO スカルプD」を発売した。従来のスカルプDシリーズの機能や成分は継承しながら、汗や皮脂、臭い、頭皮の乾燥、フケ・かゆみなどにアプローチする新成分を配合したオリジナル処方の「スカルプシャンプー」「スカルプパックコンディショナー」「スカルプトニック」(それぞれ税込1580円)を販売する。なお、これら商品は7月末までは有料会員のみに販売するという。
アマゾンでは「ソリモ」を含めて、日本の有力メーカーとの連携を強めて各PBの商品ラインアップを拡大していくことに加えて、今後はPBのPRも本格化し、さらに拡販を強化していく考え。その絶大な販売力を背景に今後、アマゾンと組んで同社のPBを共同展開したいメーカーは少なくないはずで行方が注目されそうだ。また、米アマゾンでは展開中のペット用品のPB「Wag(ワグ)」などいまだ日本では展開していないPBもある。日本での「ワグ」の展開は「未定」(同社)とするがアマゾンジャパンでは今年3月から有料会員向けの特典として対象のペット用品を1割引きで販売する試み「プライムペット」を日本独自で展開を始めるなどペット用品の拡販を進めており、動向が注視されそうだ。