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集英社 独自コンテンツが消費喚起 実店舗でサイト認知拡大

2017年 9月28日 10:05

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集英社は今期(2018年5月期)、通販マガジンを含むオリジナルコンテンツを強化するほか、通販サイト「フラッグショップ」の認知拡大に向けたポップアップストアの拡充などにより、EC事業を再び成長軌道に乗せる。

 同社の17年5月期は新客開拓の伸びが鈍化したことや、オリジナルブランドの運営体制が不十分だったこともあり、順調に成長してきたEC事業が足踏み。EC売上高は前年比横ばいの55億円にとどまった。

 一方で通販再成長に向けた取り組みは実を結びつつあるようで、出版社の強みを生かした独自のコンテンツ作りを加速。今年2月の通販サイト刷新を機に"情報発信型のメディアコマースサイト"を標ぼうし、目利きバイヤーがお薦めの商品やスタイリングを発信するコーナーを設けたところ、同コーナーを通じた売り上げが伸びている。

 また、年2回発刊の主力通販誌「フラッグショップマガジン」も撮り下ろしページの売り上げが好調に推移しているため、4月からは同通販誌の別冊を毎月、テーマを変えて展開し始めた。

 メディアコマースサイトとして自社ECを展開する上で、まずは得意な紙媒体を制作し、コンテンツをウェブなどに広げることで既存顧客のファン化を図るのと同時に新客開拓にもつなげる。

 集英社は年2回の「フラッグショップマガジン」と新たに始めた同誌別冊に加え、今年10周年を迎える通販誌「エクラプレミアム」なども展開しており、「発信媒体が多すぎるという懸念はあるが、服を買うための"きっかけ作り"は大事」(同社)という。実際、通販マガジンの読者は誌面の掲載商品をきっかけにサイト訪問し、マガジンには掲載していないアイテムも含めて買い回りをしているようだ。

 「フラッグショップマガジン」別冊の好例としては、夏のセール期と秋物スタートの端境期に、前期はセール販売に注力したが、今期は定価商品の販売強化を目的に「新・定番12着で秋まで着回しBOOK」を投入。12の定番アイテムの着こなしをそれぞれ見開きで提案した見やすさもあり、発刊から約3週間で4300万円の売り上げを計上するなど端境期の需要開拓と定価販売に貢献した。

 今年4月には、55歳以上の女性を主要ターゲットにした新・ウェブ&通販マガジン「ラヴィヴァン」を本格始動。ファッションだけでなく美容やライフスタイルにも商材と情報発信の幅を広げたほか、ウェブ上では動画の本格活用にチャレンジしている。「ラヴィヴァン」は10月に2号目を発刊予定で、年内には通販サイトの企画ページの位置づけからショップに格上げし、対象会員に向けてメルマガを含めた販促施策を本格化する。

 同社は今後、紙媒体で作ったコンテンツをウェブだけでなくメルマガにも展開する方針で、各顧客のニーズに合致したコンテンツを届ける。

常設店も視野

 前期に課題だった新客開拓に向けては、「フラッグショップ」のユーザビリティー改善も進める意向で、購入フローの改修にも着手するという。現状、会員登録を行う際には確認メールの受信後に本登録の手続きとなるが、登録までのステップを短縮し、途中離脱を防ぐ。

 加えて、「フラッグショップ」の認知拡大を図るため、改めてSEO対策などに本腰を入れるほか、有力商業施設での期間限定店出店を強化する。

 同社は今春、「フラッグショップ」としては初めて期間限定店を開設し、集客・売り上げともに目標を達成したことから、9月~11月にかけて東名阪の3カ所で開催する。通販サイトの認知拡大とオリジナルブランドの訴求が目的だが、既存顧客の店舗送客にも力を注ぐ考えで、各会場の商圏内に住む上位顧客には期間限定店で使える割引クーポンを配布する。

 来春には半年程度の実店舗をテストし、認知拡大に向けても常設店の開設につなげたい考え。

 なお、18年5月期の同社EC売上高は前年比20%弱の伸長となる65億円を計画している。

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