アマゾンジャパンはユニークな商品を製造する新興事業者向けの販売支援制度「アマゾンローンチパッド」を1月18日から始めた。同制度に参加する事業者に販売手数料率を通常よりも5%分、上乗せする代わりに専用担当者をつけ、新設した専用ページを軸にアマゾン内での商品販売をサポートする。同制度で将来有望な新興事業者の出品を促し、流通総額と手数料収入の拡大を狙う。
同社が新たに開始した「アマゾンローンチパッド」はスタートアップ(新興事業者)向けの販売支援制度で通常、アマゾンの仮想モール機能「アマゾンマーケットプレイス」で販売事業者が出店・出品する場合、商品登録など販売を始めるための準備、商品ページ作りや広告出稿など出品後に売り上げを伸ばすための施策のほか、物流代行サービス「FBA」や短期融資サービス「アマゾンレンディング」、海外のアマゾンを通じた越境ECなどアマゾンが出店者向けに展開する各種サービスの利用はすべてセルフサービスとなるが、同制度の参加事業者にはアマゾン側で担当者を付け、商品登録や商品ページ作りの手助け、広告や物流代行など同社が展開中の様々なサービスを効果的に活用するための助言、販促セールの仕掛けなどアマゾンで出品し、販売を伸ばすためのサポートを行うもの。
同制度の最大の特徴は同日に新設したスタートアップの商品のみを集めた専用ページ「アマゾンローンチパッドストア」に参加事業者は自社商品を露出、販売できる点だ。同ページでは商品詳細ページで画像や動画を使用しながら詳細に販売商品の特徴などを説明できる。また、商品説明だけでなく、「スタートアップについて」という欄では商品開発に至った背景や想いなどを語ることができる。商品詳細ページで動画を使用できるのは現状、通常出品者では一部に限られており、また、「スタートアップについて」という欄は同制度の参加事業者のみの特典となっており、商品の訴求力を高めることができるという。なお、様々なサポートの見返りとして同制度の参加事業者からは商品販売時に徴収している販売手数料率を増やし、通常の料率に5%を上乗せする。
同制度に参加するにはアマゾンと連携するベンチャーキャピタルなどから資金の融資を受けていることなどが条件としている。
スタート時点では、15社の日本のスタートアップが参加。スマートフォンと連携して「大切なモノ」に付けておくことで紛失した際に"落とし場所"を特定できる「MAMORIO」といったIoTデバイスなど250商品を販売している。
斬新でユニークな新しい商品を製造する有望な新興事業者に手厚い販売支援を行うことでそうした企業の出品を促したり、囲い込みを図り、流通総額と手数料の拡大を図りたい考えのようだ。
アマゾンローンチパッドの担当者に聞く・開始の狙いと今後
「アマゾンローンチパッド」を開始したアマゾンジャパン。同制度開始の狙いについて担当者の徳永祐之アマゾンローンチパッドシニアカントリープログラムマネージャーに聞いた。
通常出品との違いは。
「通常、出品者は自身でマーケティングプランを立て、商品登録を行い、商品詳細ページのクオリティを上げていかねばならない。そこで非常に苦労している方々は多い。スタートアップは特に大変だ。そこを我々がサポートするというのが今回の制度だ。我々の担当者が事業者と電話やメールなどで相談しながら通常よりも短期間でアマゾンでの販売を軌道に乗せるための様々な施策を行っていく。販売から配送まで面倒なことは全部アマゾンにお任せ下さいということでやっている」
具体的には。
「専用ページ『アマゾンローンチパッドストア』で商品を販売できることが大きな利点だ。商品詳細ページは特別な仕様にしており、動画を使った訴求や開発までの想いなどを掲載できる、これは一般の出店者の商品ページではできないことだ。細かいところでは商品検索にヒットしやすくするための助言なども初期段階では行うし、新商品を発売する際にはローンチキャンペーンを一緒に仕掛けてたりもする。海外のお客様への販売を希望される場合は現地のアマゾンの『ローンチパッドストア』への露出も可能にする予定だ」
料金は。
「初期費用はゼロだ。売れた分だけの手数料を頂く」
通常の出品者と手数料率は同じか。
「通常の料率に5%を追加で頂く。他の出品者よりも豪華に店を作れ、その店にユニークで斬新な商品に興味を持つお客様を我々が集客してくる。また様々な支援も行う。すでに同施策は8か国で展開中だが高い成果も出ており、(5%を徴収しても)参加するメリットはあると思う」