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ファンケル化粧品の山岡万佑子社長に聞く、新ブランドの差別化戦略

2016年12月26日 11:40

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ファンケル化粧品がサブブランド戦略に乗り出している。自社の顧客構成で手薄だった60代以降のマチュア世代向け新ブランド「Beauty BOUQUET(ビューティブーケ)」を10月に発売した。強みである「無添加」を活かしつつ、従来の枠組みにとらわれない商品、顧客サービスでシェアの獲得を目指す。ただ、市場ではすでに多くの企業が60代向け化粧品を展開。後発企業として差別化に向けた戦略を山岡社長に聞いた。

立ち上げの経緯は。

 「ファンケルの主要顧客は40~44歳。60代には積極的にアプローチしておらず、日本の人口構成比とギャップがある。可処分所得が高く、大きなボリュームのある層にこれまで直接関与できてこなかったことに強い危機感を持っていた」

 ファンケルブランドから出さない理由は。

 「ブランドのコンセプト、提供価値が全く異なるためだ。ファンケルから地続きのブランドをつくっても市場は広がらない。100億円規模のブランドに育て、ファンケル、アテニアに続く"第3の柱"にしたい」

 提供価値は。

 「コンセプトは"今日に自信を。こころ弾む明日を"。化粧品ブランドという佇まいではなく、60代向けに提案できるものであれば食品やサプリメント、雑貨などの展開も予定している」

 ファンケルブランドと異なる点は。

 「ファンケルは年齢や季節、日々変わる肌の調子を見ながらシリーズを選べる商品構成になっている。だが、『ビューティブーケ』は60代に絞っている。この世代の方は選択肢が多いと返って迷われてしまうし、めんどうにも感じている。商品構成もシンプルにした」

 商品の特徴は。

 「このために開発した独自の『発芽米発酵液』を使っている。原料は60代の方の美容・健康意識にあったもので昔からよいものとの印象を持っているものの中から選びたいと考えた。発芽米は長年研究を続けており、差別化も図れる」

 アンチエイジングケア化粧品の市場は、ここ数年で急拡大しており、15年に3500億円というデータもある。ただ、競合も多い。後発としてどう戦うか。

 「後発の強みを最大限活かす。発売前に数千人規模で行ったアンケートなどで60代の方のライフスタイルを徹底的に研究した。オールインワン化粧品を使う60代の約6割が化粧水を併用するという結果もあり、ステップに組み込んだ。また、圧倒的な数の方が毎月購入されるのがめんどうと思われているので2カ月分で展開。容器も使いやすさにこだわった。キャップは軽くて開けやすいし、洗顔料のポンプも軽く押すだけで泡が出る設計になっている」

 顧客サービスの面での差別化は。

 「顧客サービスでも60代に徹底的に寄り添う。情報誌は情報量を絞り、文字を大きく、イラストを使って分かりやすくしている」

 ファンケルとしては初めて化粧品で定期サービスも展開している。

 「1000人限定のモニター募集で検証している。ただ、化粧品は嗜好品なので毎日使う量も変わる。続けてもらいたいがために行ったり、無理に誘導すれば顧客満足につながらない場合もある。お客様の利便性につながる形であれば検討していく」

 発売後の展開は。

 「トライアルセット(980円)で折込チラシ、BSのインフォマーシャル、ラジオをテストしている。この世代の方は自ら情報を取りにいかれないので60代のライフスタイルを捉え、こちらから生活圏に情報発信することが必要になる。通販のノウハウはあるがこれまでラジオの知見はなく60代に焦点を当てたプロモーションは経験が浅い面もある。ただ、『不の解消』といった視点や60代の方々に寄り添うサービスでは"ファンケルらしさ"で差別化ができると考えている」

 足もとの状況は。

 「トライアルはお値打ち価格でもあり、想定通りのレスポンスが確保できている。ただ、本商品購入にはハードルもある。ファンケルの既存顧客に対しては行っていないが、休眠顧客や健食のみの顧客にはアプローチしていく」

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