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楽天市場・出店者向け広告の現状㊤ 3つの新商品を投入

2016年12月 8日 09:58

 楽天では9月、運営する仮想モール「楽天市場」における広告売り上げ(単月)が今年初めて前年同期比でプラスに転じた。今夏以降、新たな広告商品を3つ投入。さらに、8月から一部広告で効果開示を開始するなど、新たな取り組みも始まった。

 同社が展開する広告ソリューションは現在8つ。バナー広告などの「ディスプレー広告」、「R―Mail(メールマガジン)」、楽天市場内で検索した際に上部に表示される「CPC(クリック課金)広告」、「楽天グループ広告」、「外部広告(アドネットワーク)」、成果報酬型の「CPA広告」、「RDTA(楽天ダイナミックターゲティング広告)」、「クーポンアドバンス」だ。後ろの3つが新たな商品となる。

 同社ECカンパニー広告企画販促課の春山宜輝シニアマネージャーは「下期の広告売り上げは右肩上がりで推移するのではないか」と自信を見せる。新商品は「広告効果の向上」「新規ユーザー獲得」「マーケティング最適化」といった、店舗のニーズに対応したものという。

 RDTAはリターゲティング広告だが「一度来訪したユーザーに対する再リーチだけではない」(春山シニアマネージャー)。店舗の商品ページにアクセスしたユーザーをターゲットとし、他のサイトでも広告を表示するのはもちろん、潜在顧客を開拓する「プロスペクティング機能」もある。これは、類似商品のページを閲覧履歴や購入履歴が似ていたり、あるいは年齢が近かったりなど、過去にアクセスしたユーザー似た属性の、外部サイトを閲覧するユーザーにも広告を表示するというものだ。さらに「ダイナミックターゲティング機能」として、プロスペクティングとリターゲティングを取扱商材すべてに行う機能もある。

 ページの上部や右側に広告が表示される。「フェイスブックのタイムラインに表示される広告は、非常に効果が高いという店舗からの声がある」(同)。配信先は、インスタグラム、グーグルなど主要なプラットフォームへの露出を行っている。ユーザーの行動や属性をキーとして広告を配信、クリックや購入を分析してより精度の高いユーザーにリーチできるようにしていく。

 クーポンアドバンスは、楽天市場の閲覧データ、購買データ、検索データといった情報と、店舗が持つ商品のブランド・ジャンル・価格などをかけ合わせて、最適な値引き幅なクーポンを、最適なターゲット層に配信するというもの。「これまでは値引き幅が固定で、誰でも取得できるクーポンが当たり前だったが、店舗にとってそれが正解かどうかは分からなかった」(同)。楽天のデータを使うことで、個々のユーザーと親和性の高い商品のクーポンを配信するとともに、最適な値引き幅を算出するわけだ。

 クーポンの露出については、楽天市場のトップ、市場内検索結果ページ以外にも拡大。アプリのプッシュ通知を使った配布も行う。クーポンの最適化で、より効率良い販売ができるようになっただけではなく、「クーポンを獲得されすぎて販売過多になる」といった事態も防げる。

 CPA広告は、広告を経由で購入があった売り上げに対し、広告料金が発生する成果報酬型広告だ。CPC広告と違い「売り上げにつながらない無駄なクリック」を心配しなくて済むのが特徴となる。広告料率は現在20%。楽天市場や楽天グループ内のイベント、ジャンル、特集ページなどに掲載される。店舗の商品とページがマッチしていると、自動的に載ることになる。

 ただ、10月から試験販売を開始したということもあり、広告の掲載されるページはまだ多くなく「SPU(スーパーポイントアッププログラム)の企画ページやいくつかのイベントページ」だけ(春山シニアマネージャー)。今後は拡大していく見込みだ。

 ただ、売り上げの20%という料率は、店舗によっては高く感じる価格設定といえる。春山シニアマネージャーも「現状は一律20%だが、商材によって下げるなど対応していきたい」と話す。 (つづく


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