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ジェイアイエヌ 「JINS」眼鏡通販サイト、商材の「ハードル」に対処

2010年 3月18日 10:28

 眼鏡ブランド「JINS」の製造・販売を行うジェイアイエヌが自社通販サイトを強化している。扱う商材の関係からネット販売ではまだまだ普及が進んでいない眼鏡。同社では独自のサイト運営により眼鏡特有の課題に対処している。同業他社が自社通販サイトの開設に踏み切る前に、ネット販売での顧客獲得や運営ノウハウといった側面で「先行者利益」を狙う。
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 同社は2007年9月に通販サイト「JINS(ジンズ)オンラインストア」を開設した。現在、サイト上で取り扱う眼鏡は約2000種類。扱う商品の数や種類などは実店舗と同じという。主要な顧客層は20~30代。会員数やネット販売の売上高などは「まだ公表できる段階ではない」(同社)とするが、「確実に伸びている」(同)という状況だ。

 とはいえ、同社は「眼鏡という商材ならではのハードルがある」と指摘する。例えば店舗で購入する場合はその場で目の「度数」を計測し、その数値から目の状態に適したレンズを選ぶ。ネット販売ではこうした手続きを踏めないため同社も工夫をしている。

 まず、サイト上に目の度数を入れる欄を設け、それに合わせたレンズを作るというもの。度数は眼科の処方箋や眼鏡屋の保証書などに記載された数値を入力すればいい。使用している眼鏡を同社に郵送すればその眼鏡から度数を計測してレンズを作るというサービスも行っている。

 実際に眼鏡を掛けた時の"見た目"が分からないというのもネットならではの問題。これに対しては「モバイル試着」というサービスを提供する。商品ページのQRコードを読んでモバイルから自分の顔写真を送ると、眼鏡を着けた合成画像を確認できるという仕組みだ。

 また、全国に68店を展開する実店舗も大きな強みとなっている。ネットで商品を購入した場合でも全国の店舗で無料の調整サービスを実施しているため、安心して購入できるというわけだ。
 
 3月1日にはトップページを刷新。独自のキャラクターがネットで眼鏡を購入する際の仕組みを分かりやすく説明したり、度数やサイズについて具体的に解説する。「サイトの使い方をビジュアルで楽しく説明する」(同)ことを心掛けたという。

 このように自社サイトを強化している同社だが、同業他社ではネット販売に慎重なところも少なくない。実際、同じく低価格眼鏡店「Zoff(ゾフ)」を展開するインターメスティックは「今のところネットでの通販は考えていない」という。直接「フィッティング」ができないため、眼鏡の掛けやすさや見やすさの面で顧客に満足してもらえないとの判断からだ。

 デザイン的な要素に加えシビアな使用感が求められる眼鏡はネット販売で取り扱いづらい面があり、ヤフーや楽天などの大手仮想モールを含めてもまだ少ないのが現状。

 これに対しジェイアイエヌでは競合各社が尻込みしている間にネット販売の運営ノウハウを確立し、「先行者利益」を得たい考え。「眼鏡のネット販売は定着していないが、我々が注力することで新しい文化を根付かせたい」(ジェイアイエヌ)とする。眼鏡のネット販売という「新しい文化」が定着するのか、今後に注目したい。

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