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三陽商会、店頭在庫をECで販売

2014年 3月13日 10:11

三陽商会は、4月下旬をメドに店頭在庫も通販サイトで販売できる体制を整える。消費者が好きなときに好きな場所で商品を購入できる"オムニチャネル化"を推進するとともに、機会ロスの低減につなげる。まずはネットと相性の良い「ラブレス」と「ギルドプライム」でスタートするが、早期に対象ブランドを拡大する考えだ。

同社は今回の取り組みに先駆け、2年前にネット販売用の倉庫を店舗向け配送拠点に集約。昨年2月からは社内在庫のデータ連携に着手し、実店舗が閉店した夜間のみ倉庫内のフリー在庫をウェブに回せるようにしたことで、自社通販サイト「サンヨー・アイストア」の売り上げを5%押し上げる効果があったという。

 今回は社内在庫の連携を24時間、365日に拡大するとともに、店頭にある商品在庫との連携もスタートする。

 具体的には、商品がEC用在庫にもフリー在庫にもない場合、通販サイトの商品詳細ページには新たに「お取り寄せ購入ボタン」が表示される。これを消費者がクリックすると、翌朝の時点で店頭の業務用端末(iPad)に通販サイトから取り寄せ依頼が表示され、対応できる店舗がエントリーして店舗間移動と同じように倉庫に当該商品を送る。

 ただ、店頭にも在庫がないケースはあるため、「お取り寄せ購入」には欠品の可能性があることや、通常よりも配送に時間がかかる点を明記する。

 一方、複数店舗に在庫がある場合、店舗側のエントリーは先着順で受け付けるという。

 まずは路面店中心に展開しネット売り上げも高い「ラブレス」と「ギルドプライム」の2ブランド、全7店舗でスタート。店頭オペレーションの負荷などを検証した上で、年内にはほとんどのブランド、店舗に広げたい意向だ。

 リアル店舗での販売が優先されることの多いアパレルメーカーが、店頭在庫をネット販売用に回すことは極めてまれだが、同社では通販経由の売り上げもブランド事業部に計上しているため、店頭の協力は得やすいようだ。

 三陽商会は今回の仕組みを活用することで、「欠品しないEコマースを目指していきたい」(川添勝宏ウェブビジネス部長)とし、店頭在庫の活用が始まれば自社通販サイトの売り上げをさらに5%程度押し上げる効果が期待できるという。

 また、オムニチャネル化を進めることは、全社的な在庫配分の最適化や消化率の向上にもつながると見ている。



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