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寝具通販のまくら、「レンタル枕」で返品減へ、「日本一」へ施策矢継ぎ早

2013年 5月23日 11:29

5-1.jpg寝具ネット販売のまくら(本社・千葉県柏市、河元智行社長)の業績が好調だ。独自の返品制度などの施策でリピート率が向上しており、2013年2月期の売上高は、前期比10・4%増の5億5000万円。今期は同25・5%増の6億9000万円を見込んでいる。

 同社では現在、枕で日本一を目指す「まくら断トツ化計画」を推進している。河元智行社長は「商品・サービス・コンテンツで他社を圧倒したい」と話す。「日本一」に向けて社内でアイデアを募ったところ、約60件の販促案が集まったという。すでにいくつか形となっているが、1月から始めたのが枕のレンタルサービスだ。

 同社の通販サイトで販売している50種類の枕の中から、好みの枕を選び、同時に3つまでレンタルできるというもので、10泊11日のレンタル料は1000円。レンタルした枕は500円引きで買うことができる。

 高級枕で首を痛めた経験のある河元社長は「枕は家のベッドで寝てみなければ分からない」が持論。そのため、創業当初から「20日間は無条件で返品可能」という制度を導入している。安売りは行わない同社だが、こうした取り組みが功を奏し、リピート率の向上につながっているという。

 枕そのものはリピートまでの間隔が長い商品のため、リピートの中心となるのが枕カバーだ。枕カバーは汚れるのが早いため、買い替えや追加などの需要は根強い。ただ、自分の枕のサイズにあうかどうかが問題となる。そこで、同社では購入した枕にあう枕カバーをメールでレコメンドしているほか、送料も無料にしている。河元社長は「枕カバーは特殊なものは店舗にはあまり置かないため、ネット販売のメリットが出てくる。最初の購入でどうやって消費者の信頼を得るかが重要だ」と話す。

 とはいうものの、返品された枕は廃棄処分となるため「8個売らないと1個の返品分が取り戻せない」(河元社長)のが実情だ。そのため、返品率の低下が大きな課題となっている。商品説明にデメリットを明記したり(例えば、そば殻の枕なら虫が出ることもあるなど)、返品率が一定の割合を超えたメーカーとは取り引きを打ち切るといった施策を実施している。そして今年1月から「切り札」として投入したのがレンタルサービスというわけだ。

 ただ、レンタルサービスは手間がかかるのが難点。レンタルする商品はメーカーからの協賛品を使っているが、クリーニングが必要になるし、人気商品は「返却待ち」状態になることも多い。とはいえ、返品率の低下という成果は出てきているようだ。河元社長は「(レンタルによる効果を)切り分けるのは難しいが、レンタルで試した後に購入する人もかなりいるし、前年度よりも返品率が減っているんじゃないかという手応えはある」と話す。

 2月から「まくら断トツ化計画」の一環として開始した「まくら広告」も好調に推移。宣伝や企業ロゴなどのデータを枕カバー部分にプリントしたもので、送料無料で100円という安さもあり、毎週日曜日の販売時には注文が殺到するヒット商品となっている。河元社長は「枕は場所を取る商品のため、実店舗よりもネット販売向きだ。普及率は100%だが、ITを組み合わせれば老舗にも勝てると思っている」と話す。今後も「日本一」に向けて、様々な販促を打ち出す。
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