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サティス製薬が目指すのは、前回述べた"化粧品業界のインテル"というポジション。インテルのCPOを搭載したPCの信頼度が高いように、同社製品に対する消費者のロイヤリティを高めていくことだ。このため、消費者に直接メッセージを発信できる通販事業者と関係を強化することが必要という。
ドラックストア市場も年々成長を続けているが、「複数の流通事業者が介在する店頭流通ではメッセージが変わってしまう」(山崎社長)という判断。すでに取引先の通販事業者の会報誌に担当ページを持ち、製造の立場から製品へのこだわりなどメッセージを発信する取り組みも始めている。
現在、サティス製薬が取引関係を持つ事業者は680社。すでに9割近くを通販事業者が占めるが、これを100%にしていく。ただ、そのための戦略は一見、極端すぎるようにもみえる。
680社の取引社は利益貢献度などに応じて「A(支援)」「B(育成)」「C(積極的に関与せず)」「D(取引停止)」の4つに分類。通販以外の事業者が中心のDグループは今後、商品リニューアル時のコンペに参加せず、同業他社を紹介するなどして取引を停止していく。Cグループには通販事業を展開するものの、長年、低空飛行を続ける約500社を分類。訪問営業をせず、メールによる情報提供などネットを介したコミュニケーションで、コストを最小限に抑える仕組みを構築する。Bグループには潜在的な成長力を持っている100社を分類。すでに成長軌道に乗るAグループにシフトさせていく。
また、新規の製造依頼も一切引き受けない。これまで年間50~60社のペースで新規の取引先を増やしてきたが、「"こういうものを作りたいがやってもらえないか"というオファーはNG」(山崎社長)。一方で、自社の技術を売り込み、今期中に異業種のメーカー10社の通販参入を目指す。
なぜ、そうまでして通販に特化していくのか。狙いは、組織のベクトルを合せることで成長スピードを高めていくことにある。通販事業者以外と取引しないのは、「1人の営業が10社担当し、1社が異なる流通だと10分の1はノウハウにならず、営業が10人いれば1人分のコストがロスになる」(同)ため。製造依頼を引き受けないのも「川上(製造)の事業者として川下(販売)がどうすれば潤うかを考え、製品を開発していくのが役割。これが逆流すると思考力がつかなくなる」(同)と、その理由を話す。
化粧品市場の競争が激化する中"ナチュラル高性能"で新たな市場を創出できるか、その動向が注目される。(おわり)