眼鏡ブランド「ＪＩＮＳ（ジンズ）」を展開するジェイアイエヌ（本社・東京都渋谷区、田中仁社長）のネット販売が好調に拡大している。前期（２０１２年８月期）のネット販売売上高は前期比57・１％増の７億７０００万円で、今期は同55・８％増の12億円を予想する。

　パソコン用眼鏡「ＪＩＮＳ　ＰＣ」が、全体の販売本数で90万本を超えるヒットとなっており、視力補整という用途以外のユーザーを掘り起こして業績拡大をけん引している。その一方で、通販でのハードルが高いとみられる「度付き」眼鏡については、全国１７２の実店舗と連携した施策により、通販サイトでの購買促進に取り組んでいるようだ。

　ジンズは９月14日～10月31日の期間、実店舗で度付き眼鏡を購入した顧客を対象に、自社通販サイト「ジンズオンラインショップ」限定で使えるクーポンを配布するキャンペーンを実施した。

　クーポンは１カ月間有効で、通販サイトでの商品を30％割り引くというもの。30％という割引率は「うちとしては最高級くらいの割引率」（アイウエア事業部）という。ジンズの眼鏡の場合、安いものであればフレーム・レンズ・ケースがセットになって４９９９円で、クーポンを使うと約３５００円になる計算だ。

　眼鏡の通販では、度数が１つのネックになる。ジンズでは店舗で商品を購入した顧客に度数情報を記載した保証書を渡しているため、通販サイトで度付き眼鏡を購入する際にはこの度数を画面上に入力すればよい。

　キャンペーンでは、一度ジンズの店頭で購入して自身の度数情報を知っている顧客に次の一本の購入を促すのが狙いで、割引をフックに一度通販サイトでの購入体験をすることで今後のリピートも期待できる。

　キャンペーンは今回で３回目の実施だが、１回目（昨年12月～１月）、２回目（４～５月）と回を重ねるごとに、徐々に通販サイトの認知向上にも貢献しているようで、「眼鏡がネットで買えるということに気付いていただけている」（アイウエア事業部）とみている。

　ジンズによると、キャンペーン利用者の声として、店頭で眼鏡を選ぶと最後に２本を残してどちらにしようか迷うという。最終的に１本に絞るわけだが、クーポンをもらったので迷ったもう１本を通販サイトで買うという顧客が多かったようだ。

　今回のキャンペーンでは、クーポン利用による通販サイトでの購入者は約１万人にのぼった。

　通販サイト「ジンズオンラインショップ」のリピート意向率は約80％ということだが、ジンズでは１万円以下で眼鏡が作れるという価格競争力を発揮し、２本目、３本目の眼鏡の販売につなげていきたい考え。

　そのためにも複数の眼鏡を"着替える＂というライフスタイルを徐々に醸成していく方針で、「ファッションの切り口で眼鏡をとらえてほしい。ジンズとしてそういう市場を作り出していく。結果的にオンラインショップも賑わっていければ」（同）という筋書きだ。