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セシール  子会社の物流関連事業譲渡、コスト流動費化主眼

2011年12月 8日 10:25

 セシールのグループ会社で労働者派遣やアウトソーシング事業を手掛けるセシールビジネス&スタッフィング(CBS)は、穴吹興産の子会社で同様の事業を行うクリエアナブキに物流アウトソーシング事業を譲渡することで合意した。セシールは、新設される譲渡事業の受皿会社に物流業務を委託し、物流コストの流動費化を推進。クリエアナブキ側では、物流アウトソーシング事業を軸に収益構造の改善を図る考えだ。



 セシールでは、通販関連の物流業務を自社物流センターで実施(一部メーカー直送品除く)。オペレーション部分についてCBSに委託してきた。だが、「出荷量(作業量)はカタログ販売・アパレル商品特有の季節変動が大きい」(セシール広報室)ため、出荷量に応じた労働力の確保に苦労してきたという。

 物流関連コストの流動費化がグループとしての課題となっていたことから、セシールが今年の初め頃から、複数の企業にCBSの物流業務譲渡を打診。最終的にクリエアナブキを譲渡先に選定し、11月30日付でセシールおよびCBS、クリエアナブキの3社間で基本合意書を締結した。

 物流アウトソーシング事業の譲渡にあたっては、来年1月に受皿会社を設立し、CBSと受皿会社の間で事業譲渡契約を締結。受皿会社はクリエアナブキの100%出資、またはセシールとの共同出資となる予定で、セシール側では、クリエアナブキからの出資要請を受け、役員派遣も含め「検討中」(同)としている。

 譲渡金額についても、現在算定を進めている段階だが、譲渡対象が作業的オペレーション業務で、施設・設備などはセシールからの賃借が前提となることから、「特に譲渡対象となる資産はない」(同)という。因みに、譲渡対象となるCBSの物流関連事業の売上高は18億5300万円(2011年3月期)になる。

 セシールは、新設される受皿会社と5年以上の物流業務委託契約を結ぶ予定(セシールが受託する他社の物流業務も含む)。人材派遣やアウトソーシングでノウハウのあるクリエアナブキ側への業務委託で出荷量の増減への対応を強化、物流コストの流動費化による安定した利益の確保を目指すとともに、顧客サービスの向上も期待する。

 また、クリエアナブキでは、法規制強化の流れなどから主力の人材派遣事業が減収傾向にあり、アウトソーシング事業を強化し収益構造の改善を図る考え。CBSから物流アウトソーシング事業を譲り受けることで、物流センターの運営ノウハウなどを習得し事業領域の拡大を狙う。

 今回の物流アウトソーシング事業譲渡について、一部通販関係者の間では、ディノスとの物流機能統合の布石との見方も浮上している。

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