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全日本婦人子供服工業組合連合会がこのほど都内で開催した「アパレルソリューションフェア」に、ユナイテッドアローズ上席執行役員の佐川八洋事業支援本部長(写真)が登壇し、「店頭起点のネット強化策」について講演した。同セミナーから一部抜粋して紹介する。
ファッション産業の将来を考えたとき、ネットの活用は必須だ。マーケティング面では、店頭でも売れ筋や消費者が気になっている商品を把握することはできるが、通販サイトではアクセス数や動線などからより定量的に分析でき、商品ごとのポテンシャルが分かりやすい。
MD面でも、シーズンの戦略商品を事前にネットで予約購入してもらう「先行受注会」の仕組みは革命的だ。商品がすぐ手に入らなくても決済するということは"強烈に欲しい"という意識の表れ。受注会の結果から奥行きの配分を決めることでMDの精度は上がる。
当社では、店頭と通販サイトのハウスカード情報を連動させている。店頭客にもハウスカードの登録は自宅のパソコンから本登録してもらうことで、同時にEC会員への登録につながりやすくしている。
こうした店頭とネット会員の情報を基に、一定の期間内で顧客の購買行動を分析したところ、店頭でしか購入しない顧客に比べ、ネットを併用する顧客は買い上げ金額が倍以上になり、しかも店頭購入額も増えることが分かった。
このため、店頭とネットの連動は双方の売り場に有効と判断し、自社サイトでしかできない取り組みを強化している。
例えば、店頭スタッフなどがコーディネートを紹介するコンテンツは、卸先の他社モールでは商品数が多く、商品ごとに何と合わせて見せるかまで指示していない。その点、自社サイトでは商品の企画段階からイメージする着こなしを表現できる。ネットの有用性を社内でも説明し、多くの店頭スタッフが参加できる仕組みづくりも必要だ。
また、商品の色やサイズを選ぶと店頭在庫が分かるサービスを自社サイト限定で行っているが、1日1回の更新を今後は1時間半ごとにする。
昨今では、ウィンドーショッピングを楽しむのではなく、ネットで在庫を確認してから来店する顧客が増えている。スマートフォンの利用が広がる中、在庫情報を随時配信することは、消費者の利便性向上につながる。
将来的には、ネットで注文した商品を店頭でも受け取れるようにできればいい。
販促面では、送料無料の効果が高く、当社では1年半継続している。送料無料で購入単価は下落するが、同時に売り上げを2ケタ程度引き上げる効果があり、結果的に営業利益が改善している。
また、当社では配分先を決めていないフリー在庫情報を「ゾゾタウン」や自社サイトと連動させている。セール期間はとくにフリー在庫を厚くして臨んでいるため、在庫連動して販売機会ロスを減らすことは、売り上げに直結する。
最後にEC部隊をどういう組織にするかも、ネットを成功させる上で非常に重要だ。まずはECを実店舗と同じ"格"にすること。ECの担当者は、消費者の心理が分かり、クレームにも対応できる店舗の出身者がベストだろう。