国内化粧品市場の低迷を尻目に通販市場が成長を続ける中、大手化粧品ブランドの通販参入が相次いでいる。今年6月に参入したエキップもその一つ。カネボウ化粧品グループの中で「RMK」や「SUQQU(スック)」などカネボウの看板を掲げない、いわゆる"アウト・オブ"ブランドを展開する。通販という業態をエキップはどのように見極め、活用しようと考えているのか。中山孝次社長に聞いた。
(聞き手は本紙記者・佐藤真之)
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まず、EC参入の理由をお聞きしたい。
中山社長(以下中山)「百貨店が主であることに変わりはないが消費者のネット利用が増える中、店舗のない地域の顧客の利便性を高める上で、また『RMK』はターゲットである若年層顧客が百貨店に来店していない中で接点を創出するために対応が必要だった」
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各ブランドのターゲット層は。 八子達也RMKマーケティング部長(以下RMK・八子)「20代が中心だが、最近では30代の顧客も増えてきている」
佐橋育恵SUQQUマーケティングマネージャー(以下スック・佐橋)「マチュア世代と言っているが30代以降が中心になっている」
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通販専任部署を置かず、ブランドの担当部署で展開されているが。
中山「感覚としてはネット上に直営店が一つ増えたという感じ。ECの仕組みは経営企画部を事務局として作ったが、ブランド全体のコミュニケーションは各々でやってもらう」
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ECの売り上げには経営企画部が責任を持つことになるのか。
中山「全く知見の無い中での立ち上げなので今後反応を見て、運営の仕方や組織、ヒト・モノの使い方は整理していく」
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開設から狙い通り新規獲得ができているか。
RMK・八子「『RMK』は、東北地方では宮城に2店舗展開するだけ。だが、オープンに際し福島の方がすぐ購入されたのは(流通補完の役割を果たした意味で)象徴的と感じた」
スック・佐橋「百貨店ユーザーの利用が半数以上。うまく併用されているユーザーが多い」
そうなると、今後の新規獲得策はどうする。
中山「データの詳細は分析できていないが店舗のないエリアの顧客が購入されているのは狙い通りの動きと考えている」
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いずれもカウンセリング商材だが、サイトにはオンラインカウンセリングの機能も実装するのか。
スック・佐橋「将来的に検討の必要もあるが急務と捉えていない。やはりプロの販売員が直接対面し、肌に触れることで得られる情報が多いので、ネット上で完結するブランドの姿は考えていない」
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ポイントプログラムやトライアルセットの展開は。新規客にとって本商品購入のハードルは高いと思うが。
中山「店頭とネットの販売戦略の区別は考えておらず、それらのサービスは差別化につながるので今は考えていない」
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サービス面で競合するネット販売サイトに見劣りする印象がある。
RMK・八子「あるかもしれない。ただ、ネット上で戦うのではなく、あくまでブランドとして戦う意識を持っている」
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そうなるとネットユーザーの満足度はどう高めていく。
RMK・八子「最終的に顧客の判断だと思う。現状は利便性を高めるために受け皿を一つ増やした状態。ただ、殊更カウンセリング無しの形を助長することは考えていない。対面に固執しているのはそこでブランドの真髄を伝えたいためだ」
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では、店頭への送客の仕掛けをネットで行うことは考えているか。
RMK・八子「具体案はないがネットユーザーにも対面でサービスを体験してもらいたいので検討する」
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送客のプロモーション効果を上げる上でもサイト集客の仕掛けは必要になる。
中山「以前からバナー広告は出稿しており、プロモーションの展開に会わせたSEO対策などは行ってきた。今後タイミングを見て展開していこうとは考えている」
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通販ブランドの多くは鋭い切り口を持つ単品商材を新規獲得の入り口としている。それぞれどう訴求していくのか。 スック・佐橋「直接的な表現は分かりやすいがプレステージ性との両立が難しい面もある。ただ、『スック』はベースメークブランドとして確立したいため、主力のファンデーションは"下地のいらないファンデ"といった切り口を店頭で伝えている。ぎりぎりだがその程度はやる必要がある」
RMK・八子「スター商品はあるが各商品を適切に使ってもらうことが基本。特定商品を誇張することは考えていない」
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プレステージ性と通販市場は合致するのか。 RMK・八子「そこが難しいところ。一般的に百貨店はプレステージ性が高いイメージだがネット市場は百花繚乱。『手軽な』イメージは、少し間違えば『チープさ』につながってしまう。イメージを損なわずに整合性を取っていかないといけない。とりわけサイトの見せ方にはこだわり、実用的なサイトには今後もならないだろうと思う」
スック・佐橋「価格への流動性が高い印象があるが、そういった顧客層がそもそもターゲットで有り得るかと考えるとそうでもない。商品の良さや世界観、使うことで得られる感情的な満足感を期待される方をターゲットと考えているので、ネットでも同様のメッセージを発信していく」
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初年度の数値目標は。 中山「『RMK』で最も売り上げの大きい店舗の売上高が全体の3~4%、『スック』は同3%。当面1店舗の平均売上高である1%くらいを目標としている」
――まず、EC参入の理由をお聞きしたい。
中山社長(以下中山)「百貨店が主であることに変わりはないが消費者のネット利用が増える中、店舗のない地域の顧客の利便性を高める上で、また『RMK』はターゲットである若年層顧客が百貨店に来店していない中で接点を創出するために対応が必要だった」
――各ブランドのターゲット層は。
八子達也RMKマーケティング部長(以下RMK・八子)「20代が中心だが、最近では30代の顧客も増えてきている」
佐橋育恵SUQQUマーケティングマネージャー(以下スック・佐橋)「マチュア世代と言っているが30代以降が中心になっている」
――通販専任部署を置かず、ブランドの担当部署で展開されているが。
中山「感覚としてはネット上に直営店が一つ増えたという感じ。ECの仕組みは経営企画部を事務局として作ったが、ブランド全体のコミュニケーションは各々でやってもらう」
――ECの売り上げには経営企画部が責任を持つことになるのか。
中山「全く知見の無い中での立ち上げなので今後反応を見て、運営の仕方や組織、ヒト・モノの使い方は整理していく」
――開設から狙い通り新規獲得ができているか。
RMK・八子「『RMK』は、東北地方では宮城に2店舗展開するだけ。だが、オープンに際し福島の方がすぐ購入されたのは(流通補完の役割を果たした意味で)象徴的と感じた」
スック・佐橋「百貨店ユーザーの利用が半数以上。うまく併用されているユーザーが多い」
そうなると、今後の新規獲得策はどうする。
中山「データの詳細は分析できていないが店舗のないエリアの顧客が購入されているのは狙い通りの動きと考えている」
――いずれもカウンセリング商材だが、サイトにはオンラインカウンセリングの機能も実装するのか。
スック・佐橋「将来的に検討の必要もあるが急務と捉えていない。やはりプロの販売員が直接対面し、肌に触れることで得られる情報が多いので、ネット上で完結するブランドの姿は考えていない」
――ポイントプログラムやトライアルセットの展開は。新規客にとって本商品購入のハードルは高いと思うが。
中山「店頭とネットの販売戦略の区別は考えておらず、それらのサービスは差別化につながるので今は考えていない」
――サービス面で競合するネット販売サイトに見劣りする印象がある。
RMK・八子「あるかもしれない。ただ、ネット上で戦うのではなく、あくまでブランドとして戦う意識を持っている」
――そうなるとネットユーザーの満足度はどう高めていく。
RMK・八子「最終的に顧客の判断だと思う。現状は利便性を高めるために受け皿を一つ増やした状態。ただ、殊更カウンセリング無しの形を助長することは考えていない。対面に固執しているのはそこでブランドの真髄を伝えたいためだ」
――では、店頭への送客の仕掛けをネットで行うことは考えているか。
RMK・八子「具体案はないがネットユーザーにも対面でサービスを体験してもらいたいので検討する」
――送客のプロモーション効果を上げる上でもサイト集客の仕掛けは必要になる。
中山「以前からバナー広告は出稿しており、プロモーションの展開に会わせたSEO対策などは行ってきた。今後タイミングを見て展開していこうとは考えている」
――通販ブランドの多くは鋭い切り口を持つ単品商材を新規獲得の入り口としている。それぞれどう訴求していくのか。
スック・佐橋「直接的な表現は分かりやすいがプレステージ性との両立が難しい面もある。ただ、『スック』はベースメークブランドとして確立したいため、主力のファンデーションは"下地のいらないファンデ"といった切り口を店頭で伝えている。ぎりぎりだがその程度はやる必要がある」
RMK・八子「スター商品はあるが各商品を適切に使ってもらうことが基本。特定商品を誇張することは考えていない」
――プレステージ性と通販市場は合致するのか。
RMK・八子「そこが難しいところ。一般的に百貨店はプレステージ性が高いイメージだがネット市場は百花繚乱。『手軽な』イメージは、少し間違えば『チープさ』につながってしまう。イメージを損なわずに整合性を取っていかないといけない。とりわけサイトの見せ方にはこだわり、実用的なサイトには今後もならないだろうと思う」
スック・佐橋「価格への流動性が高い印象があるが、そういった顧客層がそもそもターゲットで有り得るかと考えるとそうでもない。商品の良さや世界観、使うことで得られる感情的な満足感を期待される方をターゲットと考えているので、ネットでも同様のメッセージを発信していく」
――初年度の数値目標は。
中山「『RMK』で最も売り上げの大きい店舗の売上高が全体の3~4%、『スック』は同3%。当面1店舗の平均売上高である1%くらいを目標としている」