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サティス製薬は5月25日、化粧品産業技術展で原料の直販を発表した。2009年から始めた国産原料の開発プロジェクト「ふるさと元気プロジェクト」の集大成ともいえるもので、これまで77もの国産化粧品原料を開発。この数字は、国内に流通する国産原料が30~40とされる中で、大きなインパクトを持つ。サティスでは、この原料を自社製品に利用するだけでなく、他社にも販売する。だが、このことが原料メーカーの反発を招いている。
「言語道断」。ある原料メーカーは、サティスの原料直販をこう断じる。否定的な意見の根底には、サティス製薬の決断が、化粧品業界の"商流"を無視するものであるという考えがある。
ある業界関係者によると、原料メーカーには製造・販売事業者に採用されるための"独自のノウハウ"があるという。販売事業者に提案する上では、有効性や安全性の各種データに留まらず、その原料の付加価値となる開発ストーリーなども添えられ、他社と差別化が図られている。提案資料には、原料メーカーがこれまでの事業展開で培ってきた試験デザインや資料作成のノウハウが詰まっているというのだ。
だが、これまで協力関係にあったOEM事業者が原料を販売するとなれば、無条件で競合他社にノウハウを提供することと同じ。「実態として各原料メーカーのノウハウが間接的に伝わり、周知の事実であることは理解しても、建前上、おいそれと原料を供給するわけにはいかない」(前述の関係者)というわけだ。否定的な意見も当然に思える。
一方で、販売事業者を中心とした展示会の来場者からは、「原料を売ってほしい」「詳細が知りたい」など好意的な反応が大半を占めたという。化粧品業界ではこれまで、原料販売は複数の中間事業者を介して行われるのが通例となっており、この中間マージンが化粧品の最終価格にも反映されていたからだ。反発を予想しつつ、今回、新規事業を立ち上げたサティスの決断の背景にはどのような狙いがあるのか。(つづく)