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同社は、「セレクソニック」など2つの直営通販サイトを運営。自社通販サイトの売上高は09年8月期に前年比46.1%増の19億円強に達するなど好調で、その要因は「店頭と同じタイミングで商品を投入できるようになったこと」(安藤慎一郎EC戦略事業部長)とする。
前期は商品写真の撮影スピードを改善する取り組みなどに注力したが、今期は売り上げ増を目指して機会ロスの回避に照準を定める。この一環として、在庫管理体制の刷新に踏み切る。
まず、無店舗事業の商品在庫はEC戦略事業部で一括管理し、そこから自社通販サイトや衣料品ECモールなどに商品を投入する。従来は、各サイトの担当者の裁量で商品を確保していたが、改める。年内に完全移行する計画だ。
在庫管理面だけでなく、商品の詳細説明やコメント、衣料品のネット販売に不可欠なサイズ情報なども、同社ブランドを扱う各サイトに提供する方針という。また、商品供給先の理解も得ながら、最終的には商品画像などのビジュアル面の一元管理も視野にあるようだ。
そもそも、アパレルの売り場は、異なる百貨店のインショップでも店頭のレイアウトや商品展示の仕方などはブランドごとに統一されているのが一般的。同社では、ネット販売においても使用する写真や商品へのコメントなど「売り場」を構成する素材の一定の統一感を求めたいとする。
同社製品を販売する通販サイトにとっては、他社サイトとの差別化が図りにくくなる一方、これまで時間と手間をかけてきたアパレル商材の写真撮影や画像処理などの作業から解放されるメリットがある。
アパレル大手が自社で通販サイトを開設し、直営の売り上げ規模が伸びてくれば当然ながら出てくる問題でもあり、今後の動向が注目されるが、消費者への配慮を第一としたブランディングのあり方が求められそうだ。