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「有力各社次の一手は?」㊦ ガシー・レンカー・ジャパン 顧客との関係再構築へ

2011年 1月13日 13:25

セット商品、サポート体制を拡充

 「プロアクティブ」発売以来、インフォマーシャルの集中投下によって認知度を急速に上げ、売り上げを伸ばしてきたガシー・レンカー・ジャパン(GRJ)。一方、その反響の速さが国内市場で長年実績を積み上げてきた競合他社と比べ、顧客サービスの面で遅れをとることになっていたことは想像に難くない。幅広い顧客層へアプローチしていくため、顧客との"距離感"を縮める戦略は喫緊の課題となっていた。

 「30歳代以上の女性層は"大人ニキビ"に限らず、アンチエイジング、美白、シミといった悩みを複合的に抱えている。"思春期ニキビ"と異なり、普段は美白対応の化粧品を使い、ニキビができた時に(プロアクティブを)取り入れるといった使われ方が今後増えてくるのではないか」。GRJでは、今後のニキビケア市場の展望をこう捉える。その中で選んでもらうブランドとなるため、改善したのがセットラインアップだ。

 従来、主力3アイテムを中心に1種類のみで展開してきた初回購入セットだが、そのバリエーションを「顔ニキビ用」4種、マイルド処方の「敏感肌向け」2種、「ボディケア用」2種の計8種に増やした。各セットには個々の顧客の肌状態を意識したアイテムを追加。当然、生産予測、在庫管理などキメ細かなオペレーションを要求されることになるが、「生産、在庫負担を考慮した上でも優先度の高い課題」(マーケティング部)として、顧客満足度の向上を図る。

 加えて、サポート体制も強化する。注文時にニキビの炎症の有無や頻度、ニキビの現われる範囲など肌状態をカウンセリング。通販サイトにも「オンラインカウンセリング」を導入し、顧客の肌状態を「軽度」「中度」「重度」などと判断して、ニーズに合致した商品提供に努める。

 また、相談受付体制も多い時で60~70人のオペレーターが対応していたが、取りこぼすケースもあったため「電話予約サービス」やチャットによる相談対応、看護師と管理栄養士各1人を配置して行う「プロフェッショナルサポート」(予約制)も導入。サービスの幅を厚くすることで顧客がアクセスしやすい環境を整えていく。

 さらに顧客サービスの充実と合わせて取り組むのが、ロイヤリティの向上だ。従来、利用の少なかったポイントプログラムをテコ入れし、継続購入や客単価アップを図る。

 これまでGRJでは購入金額に対するポイントを付与して商品交換などのサービスを展開、09年末にはロイヤリティの高い会員を「GRJクラブ」として組織してきた。ただ、定期コースの利用から他の商品に対するポイント利用につながらず、GRJクラブ会員も「全体の数%」(マーケティング部)程度。イベント参加、美容情報の提供といった特典は一部の会員に限られていた。

 新ポイントプログラムでは、ステージアップボーナスを導入。「メンバー」(年間購入金額換算で0円から)「プレミアム」(同2万5000円)、「VIP」(同8万円)、「VIPプレミアム」(同12万円)とし、商品購入や友達紹介、誕生日月などの条件でポイントを付与していく。顧客に動機付けを与え、ポイント利用を促していく。当面は商品交換から始め、段階的にサービスの充実を図っていく考えだ。

 各種サービスの強化によって顧客満足度向上を図るGRJ。だが、サービスの拡充は時として企業の利益を圧迫する負担となることもある。これらの施策が、ニキビケア市場においてGRJのさらなる飛躍を生むことになるか、今後の展開が注目される。


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