NTT東日本の山上功課長に聞く "新端末"が生む通販の可能性とは?
"使いやすさ"前面に、ネットスーパーなど「会員限定」の情報を配信
iPadを中心に盛り上がるタブレット端末市場に、NTT東日本(本社・東京都新宿区、江部努社長)が参入した(前号既報)。"使いやすさ"を武器に、生活情報などのアプリを配信する独自の端末「光iフレーム」とマーケットを開始。シニアや主婦などの「ノンPC層」を開拓する考えだ。多くのユーザーを獲得できれば、通販事業者にとっても無視できない存在となるが、果たしてどのようなビジョンを描いているのか。ブロードバンドサービス部の山上課長に話を聞いた。
サービス開始の経緯は。
「フレッツ光は東日本エリアで約800万のお客様にご利用いただいており、PCでインターネットを使うお客様には行き渡ったかな、という感じを持っていた。そこで、光をより日常の中で使っていただくために、今までインターネットを使わなかったお客様にも使っていただける利用シーンを創出したいと考えたわけだ。ただ我々はネットワークの通信事業者なので、コンテンツをお持ちの事業者様と一緒にやりたいなと。そして日常の中で使うアプリケーションを提供するほうが長く使っていただけるので、PCではなくどこでも使えるデバイスが必要だった。そこでコンテンツ配信と端末を合わせたサービスを開発した」
基本的なサービスモデルは。
「コミュニティモデル、というのをいくつか検討している。ニュータウンなど、ある特定の地域に住んでいる方々にのみこの端末を通して有益な情報を提供するというものだ。提供事業者はそこを開発したデベロッパーや商店街、マンション、スーパーなどで、そうした方々が住民に対してタイムリーな情報を出していくわけだ。例えばクーポンや電子チラシなどを出して来店を誘引するとか、あるいはレストランの予約や映画館の予約などもできるようにするとか。街と小売業、サービス業の方々を結びつける端末として考えている。事業者の方々が我々から端末を買取り、住民の方に配布するイメージだ」
コミュニティモデル限定のサービスとは。
「買い物系では例えばネットスーパー。あるスーパーの会員になっている人たちをコミュニティとみなして、そこにだけ情報を配信する、とか。それでネットスーパーの利用を促進するわけだ」
エリアではなくストアでのセグメントというわけか。
「そうだ。ネットスーパーはもともと、買い物難民や子育てで忙しい主婦などの利用を想定していると思うが、今はPCでのやり取りが中心なので煩雑で高齢者の方はなかなか使えていない。そうした方々にこの端末を使ってもらえれば」
通販系での面白いサービスは。
「例えばカレンダー連携だ。通販で、特売日のようなものが決まっていれば自動的にカレンダー機能に入れることができる。ユーザーがある日、パッとカレンダーを見ると星が付いており、クリックすると『通販の特売情報』や『配送料無料』などの情報がプッシュで降りてくるわけだ。それと、お勧めのアプリガイドも用意している。初心者向けマークなどを付け、そこをクリックしてもらえれば新着アプリや高齢者向けアプリ、主婦向けアプリなどを紹介できる。人気のランキングもある。今後アプリが増えてユーザーの属性も増えれば、ご提案できるパターンも増えると思う」
今はiPadなど同じような多機能端末があるが、違いは。
「やはり使いやすさだろう。アプリが地域や自分に密着していることも含めての使いやすさという意味で、いわば『身近な端末』だ。我々はコミュニティにあった形でどんどんカスタマイズができる。端末も、主婦がキッチンで利用する場合や高齢の方の利用を考えてアイコンは直感的に触れるように大きくしている。画面上にはテロップも流れ、いろいろな最新情報が入手できる」
ただ、ユーザーからすれば端末を貰ってもフレッツ光に新たに加入する必要があるので、ハードルは高いのでは。
「確かに、今まで電話しか使っていなかった方にとっては数千円のアップになる。ただ、まったくネットに興味がない人をターゲットにしているわけではない。『きっかけがあれば(ネットを)やりたいな』と思っていながら踏み切れなかった人にとっては、導入デバイスとして入りやすいのではないか。通常のウェブも使えるしいろいろなアプリが落とせて生活に根ざしたサービスもある。シルバー世代の背中を押せる端末だと思う」
今後の通販事業者の参加は。
「もちろんどんどん広げていきたい。特に制限は決まっていないので、公序良俗に反しない限り参加していただきたい。iPadのように1万、2万まで広げていくかはデバイスの特徴や目的との兼ね合いもあるので考えていく必要があるが、今のところは数を制限しようとは考えていない」
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サービス開始の経緯は。
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基本的なサービスモデルは。
「コミュニティモデル、というのをいくつか検討している。ニュータウンなど、ある特定の地域に住んでいる方々にのみこの端末を通して有益な情報を提供するというものだ。提供事業者はそこを開発したデベロッパーや商店街、マンション、スーパーなどで、そうした方々が住民に対してタイムリーな情報を出していくわけだ。例えばクーポンや電子チラシなどを出して来店を誘引するとか、あるいはレストランの予約や映画館の予約などもできるようにするとか。街と小売業、サービス業の方々を結びつける端末として考えている。事業者の方々が我々から端末を買取り、住民の方に配布するイメージだ」
コミュニティモデル限定のサービスとは。
「買い物系では例えばネットスーパー。あるスーパーの会員になっている人たちをコミュニティとみなして、そこにだけ情報を配信する、とか。それでネットスーパーの利用を促進するわけだ」
エリアではなくストアでのセグメントというわけか。
「そうだ。ネットスーパーはもともと、買い物難民や子育てで忙しい主婦などの利用を想定していると思うが、今はPCでのやり取りが中心なので煩雑で高齢者の方はなかなか使えていない。そうした方々にこの端末を使ってもらえれば」
通販系での面白いサービスは。
「例えばカレンダー連携だ。通販で、特売日のようなものが決まっていれば自動的にカレンダー機能に入れることができる。ユーザーがある日、パッとカレンダーを見ると星が付いており、クリックすると『通販の特売情報』や『配送料無料』などの情報がプッシュで降りてくるわけだ。それと、お勧めのアプリガイドも用意している。初心者向けマークなどを付け、そこをクリックしてもらえれば新着アプリや高齢者向けアプリ、主婦向けアプリなどを紹介できる。人気のランキングもある。今後アプリが増えてユーザーの属性も増えれば、ご提案できるパターンも増えると思う」
今はiPadなど同じような多機能端末があるが、違いは。
「やはり使いやすさだろう。アプリが地域や自分に密着していることも含めての使いやすさという意味で、いわば『身近な端末』だ。我々はコミュニティにあった形でどんどんカスタマイズができる。端末も、主婦がキッチンで利用する場合や高齢の方の利用を考えてアイコンは直感的に触れるように大きくしている。画面上にはテロップも流れ、いろいろな最新情報が入手できる」
ただ、ユーザーからすれば端末を貰ってもフレッツ光に新たに加入する必要があるので、ハードルは高いのでは。
「確かに、今まで電話しか使っていなかった方にとっては数千円のアップになる。ただ、まったくネットに興味がない人をターゲットにしているわけではない。『きっかけがあれば(ネットを)やりたいな』と思っていながら踏み切れなかった人にとっては、導入デバイスとして入りやすいのではないか。通常のウェブも使えるしいろいろなアプリが落とせて生活に根ざしたサービスもある。シルバー世代の背中を押せる端末だと思う」
今後の通販事業者の参加は。
「もちろんどんどん広げていきたい。特に制限は決まっていないので、公序良俗に反しない限り参加していただきたい。iPadのように1万、2万まで広げていくかはデバイスの特徴や目的との兼ね合いもあるので考えていく必要があるが、今のところは数を制限しようとは考えていない」