有力各社次の一手は? 再春館製薬所、ネット上の顧客行動分析に本腰
CMの新たな評価指標の確立へ
再春館製薬所(本社・熊本県上益城郡、西川正明社長)が今年11月、新たにアクセス解析ツールを導入し、ネット上の顧客行動分析に本腰を入れ始めた。これまで電話中心の顧客マネジメントによって各種マーケティング施策を展開してきたが、ネットを含め、より正確なマスメディアの評価指標を確立するためだ。電話で培ったノウハウを活かし、将来的に新たな顧客接点の場も創造していく。
「新しいCMを展開する度、オペレーターは緊張感と期待感を持って放送を待っている。しかし、請求数が予測に届かないこともあり、サンプル請求数がリアルタイムで表示されるコールセンターの大画面モニターを見て、皆、表情を曇らせている」。年々メディア効率が悪化する中、再春館製薬所がその一因と捉えたのが顧客行動の変化だ。
これまでCMの放送から電話受付に直結していた顧客行動は、ネットの普及を受け、自ら情報収集するなど"ディレー(遅れ、時間差)"がかかるようになってきたのではないか。これを裏打ちするように注文の際に請求のきっかけを聞くと、媒体を特定せず"何となく"という回答が目立つようになっていたという。「いつ顧客と接点が生まれたのか」「接点を生んだ媒体は何か」。顧客行動を間接的な検索行動を含めて把握するため、ネットは外せない要素となっていた。
また、女性のライフスタイルの変化に対応することも課題となっていた。
従来、再春館製薬所では平日午前8時~午後6時の時間帯を中心にテレビCMを展開。電話による受注が約7割を占めていた。
しかし、ターゲットとなる30歳代以降の女性層の社会進出に伴い、PCやモバイルなどネットは、コールセンターの営業時間外の受け皿として重要な接点の場になりつつあった。
こうした社会情勢の変化を受け、今年7月にネットの顧客行動分析を行う「人が真ん中プロジェクト」を発足。今年11月にアクセス解析ツール「サイトカタリスト」を導入した。
これまで別の解析ツールを利用していたが、1時間や1日単位のデータ抽出が一般的な中にあって同ツールは、15秒間隔のデータ抽出が可能なため、CMの反応を細かく分析できる。また、過去にさかのぼり、サイトを訪れた顧客との接点を探ることも可能だ。
社内的にも、電話主体のコミュニケーションを重視するあまりネットが軽視されがちな中、抽出データのレポート化が容易で情報共有化が行いやすいことが選択理由となった。
まず、第一段階として取り組むのがネットを含め、CMや新聞などマスメディアの新たな評価指標を確立すること。12月の新CM展開に合わせてプロジェクトを進め、1月以降、媒体選定に役立ていく。さらに、ネットの顧客データ管理を電話と同水準にまで高めていく構想もある。
現在、電話では購入サイクルや購入期間に応じて顧客をマネジメント。各セグメントで専任部署を設けてフォロー施策を展開している。また、主力7アイテムの購入を「4点率(基本4アイテムのみの購入)」「7点率(全アイテム購入)」に分類。より効果実感を得られるよう、セット使用を勧めるトークも磨き上げてきた。
今後はネットでも電話で行ってきた顧客マネジメントの考えを活かすなど、フォロー体制の構築を進める。注文に至るフローやサイト内の回遊性、ネット広告の離脱率なども分析し、請求数増加にむけたサイト改善や新コンテンツも検討していく。
再春館製薬所では今年4月、月1回の経営会議でサイトのPV数やユニークユーザー数の定期報告を開始。意識改革はすでに始まっている。
現在、ネット経由の売り上げ比率は10%台。まだ明確な目標は打ち立てていないが、PCやモバイル、電話の利用客は重ならない部分もあるため「顧客接点を拡大し、比率を高めていきたい」(インターネット企画部)としている。
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「新しいCMを展開する度、オペレーターは緊張感と期待感を持って放送を待っている。しかし、請求数が予測に届かないこともあり、サンプル請求数がリアルタイムで表示されるコールセンターの大画面モニターを見て、皆、表情を曇らせている」。年々メディア効率が悪化する中、再春館製薬所がその一因と捉えたのが顧客行動の変化だ。
これまでCMの放送から電話受付に直結していた顧客行動は、ネットの普及を受け、自ら情報収集するなど"ディレー(遅れ、時間差)"がかかるようになってきたのではないか。これを裏打ちするように注文の際に請求のきっかけを聞くと、媒体を特定せず"何となく"という回答が目立つようになっていたという。「いつ顧客と接点が生まれたのか」「接点を生んだ媒体は何か」。顧客行動を間接的な検索行動を含めて把握するため、ネットは外せない要素となっていた。
また、女性のライフスタイルの変化に対応することも課題となっていた。
従来、再春館製薬所では平日午前8時~午後6時の時間帯を中心にテレビCMを展開。電話による受注が約7割を占めていた。
しかし、ターゲットとなる30歳代以降の女性層の社会進出に伴い、PCやモバイルなどネットは、コールセンターの営業時間外の受け皿として重要な接点の場になりつつあった。
こうした社会情勢の変化を受け、今年7月にネットの顧客行動分析を行う「人が真ん中プロジェクト」を発足。今年11月にアクセス解析ツール「サイトカタリスト」を導入した。
これまで別の解析ツールを利用していたが、1時間や1日単位のデータ抽出が一般的な中にあって同ツールは、15秒間隔のデータ抽出が可能なため、CMの反応を細かく分析できる。また、過去にさかのぼり、サイトを訪れた顧客との接点を探ることも可能だ。
社内的にも、電話主体のコミュニケーションを重視するあまりネットが軽視されがちな中、抽出データのレポート化が容易で情報共有化が行いやすいことが選択理由となった。
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現在、電話では購入サイクルや購入期間に応じて顧客をマネジメント。各セグメントで専任部署を設けてフォロー施策を展開している。また、主力7アイテムの購入を「4点率(基本4アイテムのみの購入)」「7点率(全アイテム購入)」に分類。より効果実感を得られるよう、セット使用を勧めるトークも磨き上げてきた。
今後はネットでも電話で行ってきた顧客マネジメントの考えを活かすなど、フォロー体制の構築を進める。注文に至るフローやサイト内の回遊性、ネット広告の離脱率なども分析し、請求数増加にむけたサイト改善や新コンテンツも検討していく。
再春館製薬所では今年4月、月1回の経営会議でサイトのPV数やユニークユーザー数の定期報告を開始。意識改革はすでに始まっている。
現在、ネット経由の売り上げ比率は10%台。まだ明確な目標は打ち立てていないが、PCやモバイル、電話の利用客は重ならない部分もあるため「顧客接点を拡大し、比率を高めていきたい」(インターネット企画部)としている。