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DMSがAIで分析・販促設計 コスト圧縮し売り上げ改善

2024年12月 5日 12:00

 ディーエムエス(=DMS)では、総合情報ソリューション企業としてデジタルとリアルの垣根を超えた多様な支援メニューの構築を図っている。中でも鍵を握るのがAIで、顧客データの分析やマーケティング施策の設計、各種クリエイティブの制作など様々な場面での活用を展開。コスト削減と効率化を両立させるツールとして各種支援メニューでの提案を強化している。

 まず、顧客データの管理・分析においては、購買履歴や性別、年齢層、趣味嗜好といった様々な属性の顧客データを統合する作業などの支援を行っている。「サイロ化の解消(データをつなぎ合わせる作業)が一番負荷のかかるところ。その統合したデータにAIを取り入れることで販促戦略を導き出す」(同社)とする。

 顧客の行動理解に基づいて、DMやメール、LINE、同梱、SNSなど様々なマーケティングチャネルを活用して最適な施策を設計。継続的な施策効果とLTVの向上に貢献するという。

 これまでにもEC企業の支援において、AIによるデータ最適化を図り、DM送付に当たっての効果的な送付先の抽出や、一方で不必要な送付先の洗い出しなどを実施。通数を絞り込んだ形で最適なアプローチを行った結果、販促コストを圧縮しながらも1カ月間で従来比約115%の売り上げ改善につなげたこともあった。

 とりわけ、同梱レターの作成においては、あらかじめ顧客マスタや購買履歴、ウェブサイトの閲覧ログをAIが学習することで、顧客ごとにAIがパーソナライズ化したメッセージをタイムリーに生成することが可能。一人ひとりの顧客に対して心に響くような個別のメッセージを自動で生成することができるという。すでにいくつかのEC企業への提案が進んでおり、その後のリピート購入やクロスセルにつながる呼びかけができているとした。

1枚の画像からささげ業務代行

 また、AI活用の最新サービスとなるのが、クリエイティブ生成業務での支援だ。同サービスの場合、ささげ業務に特化した形でAIを活用するメニューがある。

 一例としては、アパレルECなどにおいて、衣服商品の物撮り画像を使うことで、AIが生成したモデル(実在モデルでも可)に画面上で着用させることが可能。

 作成に当たっては様々な角度から撮影した複数の画像素材は不要で、正面から撮影した1方向の画像1枚からでも生成できる。例え衣服の平面画像であっても、実際に人が着用しているようなシワや立体感、躍動感などをAIが忠実に再現するという。加えて、背景などもAIが生成した様々なシーンをはめ込むこともでき、光源なども自動調整した精度の高い背景合成画像として制作することができる。

 同技術はウェブ上で使う素材だけではなく、ポスターやチラシなどリアルの制作物においても転用が可能。掲載する商品画像をもとに、「青空」「畑」「自然風景」「光減の角度」といった背景要件を加えることで、様々なテイストのデザインを自動で生成することができるため、クライアントが想定するブランドイメージにマッチした販促物が生成できるとした。

 商品の物撮り画像1つからAIがモデルや背景、デザインまでをすべて生成できるため、これまでのように専門スキルを持った人材や機材・専用スタジオなどを使う必要がなく、作業コストや時間を大幅に削減することができる。導入企業の中にはポスター制作をAIに置き換えたことで人件費を圧縮し、従来比で約70%関連コストを削減できた事例もあった。

 「同梱レターとクリエイティブのAIを組み合わせることで、顧客に届ける販促物の作業を簡略化できる。分析なども含めたマーケティングの部分やフルフィルメントなどの周辺業務もこなせるため、ECをトータルでサポートできることが当社の強みになる」(同)とした。

 なお、同社では今年度より、提供できるソリューションをまとめたサイトとして「+Dソリューション」を立ち上げたほか、データ活用、AI、OMOなどのデジタルソリューションに特化した「デジタルサービス」サイトも開設しており、リアルだけではなくデジタルも掛け合わせた支援メニューの情報発信を強化している。
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