「ふるさと納税にポイント付与を禁止!(略)創意工夫、地方に恩返しという思いをぶっ潰そうとしている。断固反対する。傲慢すぎる」――。楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は6月27日、自身のX(旧ツイッター)アカウントでこう憤りを見せた。
同氏の怒りは総務省が同25日の記者会見で、松本剛明総務相が「ポイント等を付与するポータルサイト事業者等を通じて、寄付を募集することを禁止する」と述べたことに対して向けたもの。「コンセンサスも取らず『ポイント禁止』とかいうやり方に憤りを感じる。政府はむしろこれを促進し、地方の自立を促すべきだ」(三木谷社長)。
28日には、総務省がふるさと納税の指定基準の見直しを定めた、告示の改正を公表。これによると、「ポータルサイト等による寄付に伴うポイント付与にかかる競争が加熱」していることを受け、「寄付者に対してポイント等を付与するポータルサイト等を通じた寄付募集」について、来年10月より禁止することを決めたという。
同時に公表されたQ&Aによれば、「寄付に付随して付与するポイント」のほか、「寄付する際の決済を対象として追加的に付与されるポイント」や「ふるさと納税以外のサービス等の利用状況等に応じて追加的に付与されるポイント」、「ポイントサイト等を経由してポータルサイトに遷移し、寄付した際に付与されるポイント」も禁止となる。つまり「寄付時のみクレジットカード決済の付与ポイントを増やす」「寄付と通常のECをセットにし、たくさんポータルサイトを利用した消費者のポイント還元率を高める」といった販促もNGだ。一方、寄付をクレジットカードやキャッシュレスで決済した際に付与される基本ポイントについては、ふるさと納税とは無関係として規制しない。
これを受けて楽天は同日、告示の撤回を求めるべく、オンラインで署名活動を開始した。「ふるさと納税へのポイント付与を禁止する総務省告示に対する反対署名のお願い」というページに掲示されている、三木谷社長名義の文書では「告示は、民間原資のポイントまでも禁止し、地方自治体と民間の協力、連携体制を否定するものであり、各地域の自律的努力を無力化するもの」と激しく総務省を非難。同ページは「楽天市場」トップからのリンクされており、楽天会員は1クリックで署名できるようになっている。
松本総務相は25日の記者会見で、「寄付を受けた側もポータルサイト事業者に一定のコストは払っており、事業者がさらにポイントを付与するというのは、コストの中でどのような位置づけになるかという点に鑑みて禁止した」と発言。「自治体の払う手数料からポイントを付与するのはおかしい」という趣旨のコメントに対し、三木谷社長はXにおいて「ポイントは『弊社負担』だ」と反発。楽天でも「ポイント進呈は、ふるさと納税制度の利用促進を図るための一助として定着している」(EC広報)としており、両者の主張は対立している。
寄付者に対し、独自にインセンティブを与えるふるさと納税のポータルサイトは多く、キャンペーンによっては寄付額の30%以上が還元されることもある。楽天では、楽天市場の大型セール「お買い物マラソン」や「楽天スーパーセール」にふるさと納税を組み込んでいる。楽天の大型セールには、ユーザーが買い物する店舗数によってポイント倍率が高まる「買い回り」というルールがあり、1つの自治体への寄付も1店舗分の買い物としてカウントされる。10店舗分買い物をするとポイントが通常の10倍となり、さらに楽天市場のポイントアップキャンペーンも含めると、寄付額の15%以上のポイント還元が期待できる仕組みだ。
つまり「寄付と同時に楽天市場で買い物をする」というユーザーも少なくなく、今回の仕組み変更でふるさと納税の寄付額が減ることになったら、楽天市場の流通に影響が出る恐れもあるわけだ。
あるEC業界関係者は「ふるさと納税も含めた、楽天市場全体の流通額に悪い影響が出かねない」と危惧。その一方で「ふるさと納税の返礼品を手掛けていないEC事業者は、案外喜んでいるのではないか」とみる。これは、特に米や肉といった食品に関して、楽天市場内での需要を、ふるさと納税の返礼品に奪われていた、という側面もあるからだ。
楽天では「告示の撤回に向けて、多くの人にオンラインで署名・賛同いただき、その声を代表して政府、総務省に強く申し入れを行う」と説明。現段階の署名数については非公表だが、三木谷社長は1日、Xで「(署名ページの閲覧数は)間もなく400万ビュー」とポスト。今後については「署名活動を通じ、今回の問題について、弊社サービスでの掲示などで広く周知を図っていく」(EC広報課)としている。
同氏の怒りは総務省が同25日の記者会見で、松本剛明総務相が「ポイント等を付与するポータルサイト事業者等を通じて、寄付を募集することを禁止する」と述べたことに対して向けたもの。「コンセンサスも取らず『ポイント禁止』とかいうやり方に憤りを感じる。政府はむしろこれを促進し、地方の自立を促すべきだ」(三木谷社長)。
28日には、総務省がふるさと納税の指定基準の見直しを定めた、告示の改正を公表。これによると、「ポータルサイト等による寄付に伴うポイント付与にかかる競争が加熱」していることを受け、「寄付者に対してポイント等を付与するポータルサイト等を通じた寄付募集」について、来年10月より禁止することを決めたという。
同時に公表されたQ&Aによれば、「寄付に付随して付与するポイント」のほか、「寄付する際の決済を対象として追加的に付与されるポイント」や「ふるさと納税以外のサービス等の利用状況等に応じて追加的に付与されるポイント」、「ポイントサイト等を経由してポータルサイトに遷移し、寄付した際に付与されるポイント」も禁止となる。つまり「寄付時のみクレジットカード決済の付与ポイントを増やす」「寄付と通常のECをセットにし、たくさんポータルサイトを利用した消費者のポイント還元率を高める」といった販促もNGだ。一方、寄付をクレジットカードやキャッシュレスで決済した際に付与される基本ポイントについては、ふるさと納税とは無関係として規制しない。
これを受けて楽天は同日、告示の撤回を求めるべく、オンラインで署名活動を開始した。「ふるさと納税へのポイント付与を禁止する総務省告示に対する反対署名のお願い」というページに掲示されている、三木谷社長名義の文書では「告示は、民間原資のポイントまでも禁止し、地方自治体と民間の協力、連携体制を否定するものであり、各地域の自律的努力を無力化するもの」と激しく総務省を非難。同ページは「楽天市場」トップからのリンクされており、楽天会員は1クリックで署名できるようになっている。
松本総務相は25日の記者会見で、「寄付を受けた側もポータルサイト事業者に一定のコストは払っており、事業者がさらにポイントを付与するというのは、コストの中でどのような位置づけになるかという点に鑑みて禁止した」と発言。「自治体の払う手数料からポイントを付与するのはおかしい」という趣旨のコメントに対し、三木谷社長はXにおいて「ポイントは『弊社負担』だ」と反発。楽天でも「ポイント進呈は、ふるさと納税制度の利用促進を図るための一助として定着している」(EC広報)としており、両者の主張は対立している。
寄付者に対し、独自にインセンティブを与えるふるさと納税のポータルサイトは多く、キャンペーンによっては寄付額の30%以上が還元されることもある。楽天では、楽天市場の大型セール「お買い物マラソン」や「楽天スーパーセール」にふるさと納税を組み込んでいる。楽天の大型セールには、ユーザーが買い物する店舗数によってポイント倍率が高まる「買い回り」というルールがあり、1つの自治体への寄付も1店舗分の買い物としてカウントされる。10店舗分買い物をするとポイントが通常の10倍となり、さらに楽天市場のポイントアップキャンペーンも含めると、寄付額の15%以上のポイント還元が期待できる仕組みだ。
つまり「寄付と同時に楽天市場で買い物をする」というユーザーも少なくなく、今回の仕組み変更でふるさと納税の寄付額が減ることになったら、楽天市場の流通に影響が出る恐れもあるわけだ。
あるEC業界関係者は「ふるさと納税も含めた、楽天市場全体の流通額に悪い影響が出かねない」と危惧。その一方で「ふるさと納税の返礼品を手掛けていないEC事業者は、案外喜んでいるのではないか」とみる。これは、特に米や肉といった食品に関して、楽天市場内での需要を、ふるさと納税の返礼品に奪われていた、という側面もあるからだ。
楽天では「告示の撤回に向けて、多くの人にオンラインで署名・賛同いただき、その声を代表して政府、総務省に強く申し入れを行う」と説明。現段階の署名数については非公表だが、三木谷社長は1日、Xで「(署名ページの閲覧数は)間もなく400万ビュー」とポスト。今後については「署名活動を通じ、今回の問題について、弊社サービスでの掲示などで広く周知を図っていく」(EC広報課)としている。