小林製薬の「紅麹」 風評被害が深刻化、定期解約急増、広告休止も
小林製薬製造の「紅麹」による健康被害問題を受け、深刻な風評被害が発生している。多くの会社で定期購入の解約が急増。健康食品通販の市場規模は前回調査比0・1%増の約7000億円(22年度、本紙調査)で、毎年、増加傾向にあったが、200億円前後のマイナス影響(小林製薬を除く)はありそうだ。
定期解約は、22日の小林製薬の記者会見以降、徐々に伸び始め、「29日がピークだった」と複数社が話す。解約数は、「通常は一桁だが、ピークは50件」、「通常の15~20%増」、「計画の2倍少し」(いずれも総売上高が数百億円規模の大手)。小林製薬製造と異なる「紅麹」を健食に配合する企業も「22日の会見から2日で伸び、ピークは通常の10倍」(健食通販大手)。数十億円規模の企業も「22日以降、3月末までに購入中止は40件、このうち定期解約は15件」とする。同社によると、3月の解約理由は、「『紅麹』が0・2%を占める」という。
ほかにも顧客から「父に言われたから解約する」、「家族でサプリ関係はやめようという話になった」、「精神的に心配」などの声が寄せられ、「問題ないと伝えても分かってもらえない」という。背景について複数の関係者は、「紅麹だけでなく、健食、機能性表示食品が怪しい、危ないものという認識を持たれている」、「小林製薬のようなトップメーカーでさえあるのだから、よく分からない会社は怖い」という消費者の認識を感じると語る。
健食以外への影響を懸念する声もある。「解約のうち、感覚で約7割がサプメント、3割は食品などほかの商品」、「紅麹と関係ないサプリ、食品にも及んでいる」、「化粧品に影響はない」など状況は分かれる。
現状は「以前より多いが、同水準に落ち着いている」と、複数社の意見が揃う。ただ、新規獲得は「5~10%の落ち込み」と話す企業もあり、いずれも「売り上げの落ち込みは必須」とする。「テレビの枠が空いた、店舗の棚が空きチャンスと言う方もいるが、健食全体が下がり、返品も増えている。チャンスと捉える企業は少ないのでは」とみる。
通販は、広告投資により新規客を獲得。LTVを高める顧客フォローで投資回収するビジネスモデル。定期解約などLTVが悪化することで新規獲得(CPO)に投資を向けられなくなる。
広告出稿には、「健食はすべてストップ。食品や化粧品等に特化し始めているが採算が取れない」、「3月末から食品に差し替えた」などと判断する。「計画通り出稿しているが社内の対策会議で連日議論」という声もある。「以前より出稿は抑えているが、消費者の不安払しょくを目的に、品質や安全性など”情報訴求”の広告を強めている」といる企業もある。ほかに「サイトトップページに品質等に関する情報をもってきたり、メルマガを配信している」、「店頭POPでも品質や安全性の訴求を行っている」という判断もある。小林製薬製造以外の「紅麹」を使う企業にも解約や返金の要請があり、原料の変更や「紅麹不使用」の記載で安心感を訴求するという企業もいる。
広告を収益源とする媒体社にも影響しそうだ。出稿の差し替えや停止にあるテレビ局関係者は、「レスポンスの低下から出稿が減った」と話す。
今後の展望は、「夏になればという感触はない。1年続くかも分からない」、「先の予想はできないが、とくにシニアは報道にも左右されやすい」などの声がある。
小林製薬には、「同社の問題以外の何ものでもない。こちらは被害者でしかなく、政府もその点を強調してほしい」、「決算発表のタイミングもあり、回収が遅れた気がする」といった声がある。
回収公表は、医師から複数の症例報告を受けた2月から2カ月を要した。「これを逃し、原因分析にいけば時間がかかる。入院など明らかに重篤度が高いものであればまず販売を止めるべき」、「体調変化でも日常的に吸い上げている。入院症例、アレルギーなどが発生すれば、医師や薬剤師など有識者による社外の会議体、社内の対策委員会で判断している」という。
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定期解約は、22日の小林製薬の記者会見以降、徐々に伸び始め、「29日がピークだった」と複数社が話す。解約数は、「通常は一桁だが、ピークは50件」、「通常の15~20%増」、「計画の2倍少し」(いずれも総売上高が数百億円規模の大手)。小林製薬製造と異なる「紅麹」を健食に配合する企業も「22日の会見から2日で伸び、ピークは通常の10倍」(健食通販大手)。数十億円規模の企業も「22日以降、3月末までに購入中止は40件、このうち定期解約は15件」とする。同社によると、3月の解約理由は、「『紅麹』が0・2%を占める」という。
ほかにも顧客から「父に言われたから解約する」、「家族でサプリ関係はやめようという話になった」、「精神的に心配」などの声が寄せられ、「問題ないと伝えても分かってもらえない」という。背景について複数の関係者は、「紅麹だけでなく、健食、機能性表示食品が怪しい、危ないものという認識を持たれている」、「小林製薬のようなトップメーカーでさえあるのだから、よく分からない会社は怖い」という消費者の認識を感じると語る。
健食以外への影響を懸念する声もある。「解約のうち、感覚で約7割がサプメント、3割は食品などほかの商品」、「紅麹と関係ないサプリ、食品にも及んでいる」、「化粧品に影響はない」など状況は分かれる。
現状は「以前より多いが、同水準に落ち着いている」と、複数社の意見が揃う。ただ、新規獲得は「5~10%の落ち込み」と話す企業もあり、いずれも「売り上げの落ち込みは必須」とする。「テレビの枠が空いた、店舗の棚が空きチャンスと言う方もいるが、健食全体が下がり、返品も増えている。チャンスと捉える企業は少ないのでは」とみる。
通販は、広告投資により新規客を獲得。LTVを高める顧客フォローで投資回収するビジネスモデル。定期解約などLTVが悪化することで新規獲得(CPO)に投資を向けられなくなる。
広告出稿には、「健食はすべてストップ。食品や化粧品等に特化し始めているが採算が取れない」、「3月末から食品に差し替えた」などと判断する。「計画通り出稿しているが社内の対策会議で連日議論」という声もある。「以前より出稿は抑えているが、消費者の不安払しょくを目的に、品質や安全性など”情報訴求”の広告を強めている」といる企業もある。ほかに「サイトトップページに品質等に関する情報をもってきたり、メルマガを配信している」、「店頭POPでも品質や安全性の訴求を行っている」という判断もある。小林製薬製造以外の「紅麹」を使う企業にも解約や返金の要請があり、原料の変更や「紅麹不使用」の記載で安心感を訴求するという企業もいる。
広告を収益源とする媒体社にも影響しそうだ。出稿の差し替えや停止にあるテレビ局関係者は、「レスポンスの低下から出稿が減った」と話す。
今後の展望は、「夏になればという感触はない。1年続くかも分からない」、「先の予想はできないが、とくにシニアは報道にも左右されやすい」などの声がある。
小林製薬には、「同社の問題以外の何ものでもない。こちらは被害者でしかなく、政府もその点を強調してほしい」、「決算発表のタイミングもあり、回収が遅れた気がする」といった声がある。
回収公表は、医師から複数の症例報告を受けた2月から2カ月を要した。「これを逃し、原因分析にいけば時間がかかる。入院など明らかに重篤度が高いものであればまず販売を止めるべき」、「体調変化でも日常的に吸い上げている。入院症例、アレルギーなどが発生すれば、医師や薬剤師など有識者による社外の会議体、社内の対策委員会で判断している」という。