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ニッセンのテレビ通販支援 「通販ノウハウ」活かし急拡大、キャラバン型番組が好評

2024年 4月11日 12:00

 ニッセンがテレビ通販支援事業を強化している。複数社が協賛して番組を作る「キャラバン型」のニッセンオリジナルテレビ通販番組「売れ筋解明! 買いたい新書」が通販企業から好評を博しているほか、昨年12月にはテレビ通販の短尺インフォマーシャル制作サービス「ミズカラ!」を開始。大小さまざまな企業 からの需要に応えていく。

 総合通販企業として50年以上の歴史を誇るニッセンだが、近年は通販支援事業でも存在感を示している。後払い決済サービスを中心に、現在の支援企業数は約1600社。近年、特に注力しているのは2016年から開始したテレビ通販支援事業だ。

 同社BtoB事業本部DMソリューションサービス部映像メディアサービスチームの新井翔太マネージャーは「テレビ通販に必要な、制作・メディアバイイング・コールセンターの3つに関して、トータルで支援できる体制を整えている」と話す。最近は体制強化を図っており、テレビ番組制作歴25年以上のプロデューサーを迎え入れ、内製化を図るべく人員を充実させている。

 特に通販会社からの需要が高い「買いたい新書」は複数社協賛のキャラバン型の制作スタイルを採り、1社単独で29分番組を放送する。キャラバン型の良さである価格メリットに加え、インフォマーシャルの良さである制作の自由度・情報量を備えたスタイルだ。新井マネージャーは「社内では、キャラバンとインフォマーシャルを合わせた『キャラフォマーシャル』という呼び方をしているが、キャラバン型にありがちなイージーオーダーな番組ではなく、自由度の高い番組を作っている」と特徴を語る。

 一般的に、キャラバン型のテレビ通販番組は制作費を圧縮するために、制作工数を限定するケースが多いことから商品の魅力を十分伝えきれないことも少なくない。また、すべての撮影をスタジオ収録に集約することもある。しかし「買いたい新書」の場合は、スタジオ撮影だけではなく、ロケをふんだんに活用。2回分のロケ費用を基本料金に内包した。さらに、九州の制作会社を活用することなどで制作費を抑えつつ、商材や訴求内容によって、最適な構成や台本、演出方法を提案している。

 クライアントは、化粧品・健康食品事業者が多い。基本的には3カ月に一度撮影しており、今年はこれまで1月末と3月末に番組を収録。1回あたり4~5企画分撮影している。一度出稿した企業が「新たに戦略的商品を展開するので、番組を作ってほしい」と要望してくることもあるなど、成約率は高い。

 番組内容については「視聴者が番組を見てどう感じるのか」を常に考えて制作しているという。例えば、番組冒頭にクイズを出題し、中盤に正解を公表するといった仕掛けを作ることで、番組の滞留時間を長くするといった工夫を施している。こうした仕掛けは毎回異なっており、クライアントの商材にあわせて提案しているという。

 また、これまでニッセンが培ってきた通販ノウハウも存分に活かされている。新井マネージャーは「広告出稿の費用対効果はCPRやCPOといった獲得効率だけでみられることが多い。ただ、本当はそれだけではなく、コールセンターに何件電話があって何件受注できたのか、継続率はどうか、定期案内オファーは適切かどうか、同梱物はファン育成に繋がるものが組み込まれているかといったことも重要。当社は通販会社なので、通販で商品を販売することに関する全てのKPIが理解できる」と強みを説明する。

 単純に獲得効率を数字として捉えるのではなく、獲得前後のKPIを全て確認し、適正でない部分に関してはアドバイスを行う。これが「他の広告代理店とは違う、通販会社がテレビ通販支援事業を手掛ける意味だ。『こういうオファー設計をしてください』『コールセンターではこんなトークスクリプトがいいですよ』など、新規顧客獲得の支援にとどまらず、通販事業の支援という感覚でクライアントと向き合っている」(新井マネージャー)。

 テレビ通販への間口を広げるために、昨年12月に立ち上げたのが短尺インフォマーシャル制作サービス「ミズカラ!」だ。EC企業などを中心に「テレビ通販をやってみたい」と考える会社は少なくないが、ネックとなるのは高額な制作費用やコールセンターの運用。そこで、映像のクオリティーは担保したまま、参入障壁を低くするために、テストプロモーションができるサービスを開始した。

 「広告主自らが出演し、自社の商品を販売する」のが特徴で、尺は120秒。出演者が広告主であることから、ウェブでの二次利用に成約が無い点も大きなメリットだ。また、支援用コールセンターを4拠点・オペレーター400名体制で構えているのも大きい。単価の安い商品や、青汁のようにアピールポイントが分かりやすい商品での利用を想定。「オファーにより入電時に定期への引き上げ率を50~80%まで持っていけるのが強み。コールセンターも合わせて回収率を高められる点をアピールしていきたい」(同)。

 2020年の「買いたい新書」放映開始以降、売り上げが急伸している同社のテレビ通販支援事業。「ミズカラ!」をラインアップに加えることで、小規模事業者まで間口を広げるとともに、ウェブと連動したテレビ通販番組を立ち上げることなどで、売上高を数年以内に40億円まで伸ばしたい考えだ。

 
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