本紙推計による青汁製品の売上高総計は、約738億円(
本紙1935号既報)だった。市場はここ数年7~800億円規模で安定的に推移してきたが、コロナ禍を経て緩やかな減少傾向に転じており、本紙アンケート調査でも、「縮小」との見方が約6割に上った。各社の動向をみていく。
市場は縮小傾向
青汁製品の販売状況を聞いたところ、「縮小」(60%)が最も多く、「成長」(30%)、「横ばい」(10%)と続いた(図1)。「縮小」と回答した企業では市場の飽和感を挙げる声が目立つ。
アサヒ緑健は前年比14・0%減の62億6500万円。認知施策をテレビショッピングからテレビCMに変更。女優の安田成美さんを起用したテレビCMを展開するが、「新規顧客獲得は苦戦している。景気動向の影響もあり、リピート率も減少した」とする。現状のまま売上拡大を図ることは難しく、「顧客の囲い込み(ファン化)に注力する」としている。
富士薬品は「社内における優先順位低下により減少した。野菜不足解消へのニーズは高いが、在宅時間の増加に伴い自宅での野菜摂取機会も増えており、需要の高まりは期待できない」とする。商品は、22年に6種の青汁原料や基礎栄養素、食物繊維を配合する形でリニューアル。製薬会社製造を強みに訴求する。
ハーブ健康本舗は「青汁の売上は大きく減少した。顧客向けの大規模キャンペーン施策を実施していない影響が大きい」とする。「返品保証」の初回限定クーポンの配布で拡販を進める。ただ、「中長期的にみると人口減少や栄養補完食品が多岐に渡ることから市場は縮小すると考える」とみる。自社通販サイトでは返品保証付きの初回限定クーポンを配布し、大麦若葉に40種の野菜、乳酸菌を加えた「モリモリスリムフルーティー青汁」などの拡販を進めている。
3割「成長している」
「成長」と回答した企業では、マーケティング投資の強化による成果を上げる声がある。
新日本製薬は「特定の素材を持たないことを強みと捉え、消費動向や生活意識の変化に合わせてタイムリーに商品内容に反映している」とする。
青汁原料の成分別販売額(22年)は、「大麦若葉」が46%と半数を占め、「その他」(16%)、「ユーグレナ(ミドリムシ)」(13%)、「クロレラ」(11%)、「ケール」(7%)、「野菜粒」(3%)、「スピルリナ」(2%)などと続く(富士経済調べ)。各社、自社生産などこだわりの原料を使い訴求するが、同社にはそうした制約がなく、顧客ニーズに合わせた商品設計を行えるのが強み。商品は、機能性表示食品として届出。「肥満と高血圧のダブルアプローチが支持を得ている。広告クリエイティブも最適化に向け、改良を繰り返している点が奏功した」とする。販売状況は、「マーケティング投資を拡大した効果で定期顧客づくりが進捗。ECの新規獲得がオフラインを逆転し、EC化も加速した」とする。
愛しとーとは「極めて順調。もともと新規獲得を狙う商材ではなく、既存顧客向けを目的に販売している」とする。定期顧客の割合が高く、安定的な事業基盤を下支えする商品として定着しているようだ。
販売状況(
図1)は未回答だが、キューサイは、異なるターゲット層へのアプローチで、事業の拡大を図る。ケールを原料にした「ザ・ケール」シリーズに加え、昨年9月には「ザ・ケール ビューティーリッチ」を発売。30~50代の新規層の開拓を進めている。
原料販売も強化し、ケール青汁の認知を図る。業務用ケール青汁の卸先店舗数は411店舗(今年1月時点)。22年末から約3倍に広がった。原料のケールは自ら生産。このため、「原料を生かした他社とのコラボレーションの活用幅が広い点も当社の強み」とする。昨年にはインスタグラムの公式アカウント開設など、SNSの活用も積極的に行っており、サンプリングなどでUGC投稿率を高め、新規獲得を進めている。
市場展望も「縮小」
市場展望は、「縮小」(40%)と「横ばい」(40%)が同数で並んだ。「成長」は20%だった(
図2)。
「縮小」とした企業では、急激な物価高や競合商品の多様化を挙げる声が目立った。「栄養補完食品が多岐にわたり、認知度も上がってきた」(ハーブ健康本舗)。
「横ばい」とした企業では、「ここ数年、大きな変化は見られないため」(富士薬品)、「成熟市場へ移行したように感じる。機能性食品などニッチなターゲット層に特化した商品が増えているが、一商品で大きな市場を獲得できていない印象」(アサヒ緑健)などの声があった。
市場は縮小傾向
青汁製品の販売状況を聞いたところ、「縮小」(60%)が最も多く、「成長」(30%)、「横ばい」(10%)と続いた(図1)。「縮小」と回答した企業では市場の飽和感を挙げる声が目立つ。
アサヒ緑健は前年比14・0%減の62億6500万円。認知施策をテレビショッピングからテレビCMに変更。女優の安田成美さんを起用したテレビCMを展開するが、「新規顧客獲得は苦戦している。景気動向の影響もあり、リピート率も減少した」とする。現状のまま売上拡大を図ることは難しく、「顧客の囲い込み(ファン化)に注力する」としている。
富士薬品は「社内における優先順位低下により減少した。野菜不足解消へのニーズは高いが、在宅時間の増加に伴い自宅での野菜摂取機会も増えており、需要の高まりは期待できない」とする。商品は、22年に6種の青汁原料や基礎栄養素、食物繊維を配合する形でリニューアル。製薬会社製造を強みに訴求する。
ハーブ健康本舗は「青汁の売上は大きく減少した。顧客向けの大規模キャンペーン施策を実施していない影響が大きい」とする。「返品保証」の初回限定クーポンの配布で拡販を進める。ただ、「中長期的にみると人口減少や栄養補完食品が多岐に渡ることから市場は縮小すると考える」とみる。自社通販サイトでは返品保証付きの初回限定クーポンを配布し、大麦若葉に40種の野菜、乳酸菌を加えた「モリモリスリムフルーティー青汁」などの拡販を進めている。
3割「成長している」
「成長」と回答した企業では、マーケティング投資の強化による成果を上げる声がある。
新日本製薬は「特定の素材を持たないことを強みと捉え、消費動向や生活意識の変化に合わせてタイムリーに商品内容に反映している」とする。
青汁原料の成分別販売額(22年)は、「大麦若葉」が46%と半数を占め、「その他」(16%)、「ユーグレナ(ミドリムシ)」(13%)、「クロレラ」(11%)、「ケール」(7%)、「野菜粒」(3%)、「スピルリナ」(2%)などと続く(富士経済調べ)。各社、自社生産などこだわりの原料を使い訴求するが、同社にはそうした制約がなく、顧客ニーズに合わせた商品設計を行えるのが強み。商品は、機能性表示食品として届出。「肥満と高血圧のダブルアプローチが支持を得ている。広告クリエイティブも最適化に向け、改良を繰り返している点が奏功した」とする。販売状況は、「マーケティング投資を拡大した効果で定期顧客づくりが進捗。ECの新規獲得がオフラインを逆転し、EC化も加速した」とする。
愛しとーとは「極めて順調。もともと新規獲得を狙う商材ではなく、既存顧客向けを目的に販売している」とする。定期顧客の割合が高く、安定的な事業基盤を下支えする商品として定着しているようだ。
販売状況(図1)は未回答だが、キューサイは、異なるターゲット層へのアプローチで、事業の拡大を図る。ケールを原料にした「ザ・ケール」シリーズに加え、昨年9月には「ザ・ケール ビューティーリッチ」を発売。30~50代の新規層の開拓を進めている。
原料販売も強化し、ケール青汁の認知を図る。業務用ケール青汁の卸先店舗数は411店舗(今年1月時点)。22年末から約3倍に広がった。原料のケールは自ら生産。このため、「原料を生かした他社とのコラボレーションの活用幅が広い点も当社の強み」とする。昨年にはインスタグラムの公式アカウント開設など、SNSの活用も積極的に行っており、サンプリングなどでUGC投稿率を高め、新規獲得を進めている。
市場展望も「縮小」
市場展望は、「縮小」(40%)と「横ばい」(40%)が同数で並んだ。「成長」は20%だった(図2)。
「縮小」とした企業では、急激な物価高や競合商品の多様化を挙げる声が目立った。「栄養補完食品が多岐にわたり、認知度も上がってきた」(ハーブ健康本舗)。
「横ばい」とした企業では、「ここ数年、大きな変化は見られないため」(富士薬品)、「成熟市場へ移行したように感じる。機能性食品などニッチなターゲット層に特化した商品が増えているが、一商品で大きな市場を獲得できていない印象」(アサヒ緑健)などの声があった。