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駅ナカとの連携も着々【寺迫・百瀬両マネージャーに聞く JR東日本の仮想モール戦略㊥】 イベントや多機能ロッカーも

2024年 3月22日 12:00

 前号に引き続き、東日本旅客鉄道(=JR東日本)が手掛ける「JRE MALL」について、EC事業での取り組み状況や今後の目標について、運営担当の寺迫浩司氏(写真(右))、百瀬祐二氏の両マネージャーに聞いた。

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 ーー成果があった一方で見えてきた課題とは。

 百瀬「JRE POINT会員はおおよそ1400万人とされているが、その中でまだまだモール利用者が少ないので圧倒的に認知が足りないとは感じている。ここは大きな課題」

 ーー会員の多くはポイントをどこで利用しているのか。

 百瀬「やはり、Suicaチャージが多い。ただ、チャージでは5000ポイントは5000円の価値。それがモールで利用したら、ポイント付与などもう少しお得な利用になる場合もある。そこを伝えたい」

 ーー現在の利用者の顧客属性について。

 百瀬「働いている男女の利用が多い。今までは(JR東日本グループのクレジットカードである)『ビューカード』を保有する鉄道好きの顧客が多かった。それが、ショップやふるさと納税が増えたことによって、女性比率が高まっている面がある。ショッピングに関する購入単価のボリュームゾーンとしては、送料無料基準が5000円~6000円ということもあり、7000~8000円が多いのでは。

 寺迫「どちらかと言えばクロスユースではなくて、ポイントの”入り”と”出”が同じ印象。Suicaでポイントを貯めた人はSuicaにチャージして、駅商業施設でポイントが貯まった人はやはり駅商業施設で利用している。我々としてはそこをどんどんクロスして使ってもらいたいと考えて取り組んでいる」

 ーー昨年から荷物受取などができる多機能ロッカー「マルチエキューブ」の導入が始まった。

 寺迫「ECも含めた多機能な駅での受け取りができ、発送もできる仕組み。23年度中に100台の導入を目指している。EC側としては当然、そことの連携を図るところで、駅受け取りサービスの充実を進めたい。他のEC事業者との差別化の要素という意味でもよりスムーズに受け取りができるようにしたい。

 駅受け取りのサービスの中には『ネットでエキナカ』のように、弁当や菓子など基本的には(駅ナカのテナントの)自店舗で販売している商品をその店頭で受け取れるようになっている。マルチエキューブも一部店頭以外にも受け取り手段として選べる。ただ、モールの出店者の中には、マルチエキューブを受け取り場所として利用できないケースもあり、その辺は解消していきたい課題だと感じる。とはいえ、実際に誰がそこに運ぶのかということも含めて整理をしなければいけない」

 ーー駅でのリアルイベントとの連携などは進んでいるか。

 寺迫「物販のイベントと連携して、イベントの店がモールにも出店してもらい、将来的にはイベント終了後も駅で商品を受け取れるなど、今は様々な可能性を模索している。例えば、駅の中での物産店やその地域の産直市みたいなものがあるが、期間が数日か長くて1週間程度。そのため、その場では購入できなかったが、後になってから欲しいとなった時にモールで買えるというシチュエーションを作りたい。モールでの紹介の仕方としては特集ページを設けたい」

 ーーリアルでは千趣会のディズニーグッズ専門店なども開設している。

 寺迫「東京駅と、グループの蒲田駅の駅ビルでオープンした。ここで、QRコードなどを出してモールに送客するような取り組みとしている。東京駅の店は(ディズニーランドの最寄り駅のある)京葉線の動線上にあるので非常に人気となっている」

 ーー現状、千趣会との連携に関しては。

 百瀬「昨年度は(千趣会からの人事交流で)4人来ていたが、今年度はまた増えて5人になった。商品開発の面では、(鉄道車両をモチーフに、そのカラーリングなどを忠実に再現したグッズを展開するライフスタイルブランドの)『ANOTETSU(アノテツ)』もできた。鉄道ファンにとっては、カラーリングだけでどの電車か分かる様なものを日常の雑貨アイテムなどに落とし込んでいる展開をしており、人気を得ている。

 もう一つ、いわゆるデータベースマーケティングをするためにどんなデータを構築して、どうやってそのデータを見て、その分析結果からどのような打ち手をつくるかというところは、千趣会のノウハウを活用しつつ、モールの施策に生かしていく。分析環境を構築していくという面で支援として大きい」(つづく)

 
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