千趣会 来期の黒字化を計画、構造改革と協業など強化
千趣会の2023年12月期連結業績は、赤字幅は55億円に縮小したものの、売上高は前年比16・4%減の492億円にとどまった(1930号3面に既報)。
前期は、カタログ中心のプロモーションからデジタル軸に切り替えたが、カタログ部数減による売り上げ減少をデジタルマーケティング施策では補いきれなかったことが響いた。一方、ROI改善に課題はあるものの、外部ECモールでの販売は堅調だった。
また、カタログとデジタルマーケティングの施策効果が商品ジャンルや顧客特性で異なることが確認でき、今期に向けて改善の兆しが見えたとする。
収益構造の変革に向けては、ベルメゾンの粗利率改善を目的とした商品の絞り込みが過去の売れ筋に偏重し、新商品投入数や品ぞろえの魅力が低下した。また、ベルメゾンの販促は費用の効率化が進んだ一方、インセンティブや値引き、送料無料に頼った購入誘導から完全には脱却できなかったことが課題だ。
強化中のパートナー企業との共創は順調に進んでおり、とくにJR東日本とは通販サイト「JRE MALL」独自の商品開発を強化して前年実績を大きく上回ったほか、エキナカ店舗もリアルの復調とインバウンド需要の獲得で高い成長率となった。さらに、JR東日本グループのルミネから物流業務などの大型業務を受託した。
オークネットと連携した買取サービス「キマワリ」は利便性やサステナビリティの観点から顧客に支持され、ベルメゾンの継続利用にも効果的であることを確認した。
再成長に向けた千趣会グループの方向性としては、黒字化に向けた通販事業の構造改革と全社的な収益改善の実行、共創の深化・拡大に注力。今期は売上高が前年比3・6%増の510億円、営業損失19億円を計画し、25年度は売上高520億円、営業利益6億円と黒字回復を目指す。
今期は通販事業の粗利率改善と販促費の効率化、全社的な固定費削減による損益構造の改革を行うとともに、協業相手との共創を拡大する。来期はそれらに加えて事業ポートフォリオを多様化し成長領域を作り出す。
千趣会は、競争環境と消費行動の変化によって通販事業の収益性が低下し、その分を他事業で補完しきれていないことが課題だ。
そのため、今期は通販事業の構造改革と利益体質への転換に向け、商品のポジショニング・ブランディングに基づく売り上げ、粗利の改善や、カタログ配布と販促費の効率改善、拠点の統廃合などによる固定費の削減に取り組む。また、JR東日本など協業パートナーとの取り組みの深化、子育て支援事業の拡大、広告事業や物流受託事業など法人セグメント領域の強化、サステナビリティの取り組みを推進する。
具体的には、低効率な商品群の開発抑制とカタログの再編や、プライシングの見直しと定価販売率の向上、社会・消費者ニーズ、チャネル特性に応じた商品開発、自社チャネルと外部EC、リアル店舗など柔軟なチャネル展開を図る。
販促面では会員プログラムにおける継続率向上施策への注力とインセンティブ重視のキャンペーンの抑制、SNSの活用強化などに取り組む。
ポートフォリオの多様化では、JR東日本とのオリジナル商品の開発拡大と「ベルメゾンJRE MALL店」の売り上げ拡大、エキナカ・駅ビルでの実店舗拡大に注力するほか、法人セグメントの広告事業、物流受託事業を強化する。
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具体的には、低効率な商品群の開発抑制とカタログの再編や、プライシングの見直しと定価販売率の向上、社会・消費者ニーズ、チャネル特性に応じた商品開発、自社チャネルと外部EC、リアル店舗など柔軟なチャネル展開を図る。
販促面では会員プログラムにおける継続率向上施策への注力とインセンティブ重視のキャンペーンの抑制、SNSの活用強化などに取り組む。
ポートフォリオの多様化では、JR東日本とのオリジナル商品の開発拡大と「ベルメゾンJRE MALL店」の売り上げ拡大、エキナカ・駅ビルでの実店舗拡大に注力するほか、法人セグメントの広告事業、物流受託事業を強化する。