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ファンケル 容器回収を全店で導入、「有価物」回収でポイント付与

2023年12月14日 12:00

 ファンケルは11月、独自の資源回収プログラムを国内の全直営店に導入した。顧客が持参した使用済み化粧品容器を、経済上の価値がある「有価物」として回収する仕組みを構築することで、顧客にポイント還元するなど多様な取り組みを可能にしている。これまで3万人以上の顧客が参加し、回収本数は、18万6000本(10月末時点)を超える。

 直営店161店舗全店で実施する。

 「FANCL リサイクルプログラム」は、21年7月、神奈川と東京の6店舗から開始した。当初は、回収容器の変わりに、花の種をすきこませたシードペーパーを渡していたが、今年初めから商品購入に使えるポイントを付与している。対象容器は30品目ある。

 回収容器は、協力会社で一部を植木鉢などにすることでプラスチック資源の循環を進めている。植木鉢は、横浜市主催の花と緑のイベント「ガーデンネックレス横浜」や横浜市内の小学校に寄贈している。また、特例子会社のファンケルスマイルで分別・洗浄、乾燥を行うことで、障がいのある従業員の職務拡大を図り、ダイバーシティ推進にもつなげている。

 容器の資源回収は、化粧品業界でも取り組む例が多い。専門業者に委託することでスピード感をもって実施することができる。

 ただ、廃棄物処理法上、回収容器が「廃棄物(ゴミ)」と見なされれば、専門業者による回収・配送が必要になる。「有価物」として回収するには、各自治体に資源循環やスキームの理解を求め、認めてもらう必要がある。

 ファンケルでは、直営店を出店する地域の自治体担当者に個別に理解を求めることで「有価物」としての回収を実現。ポイント還元など独自の取り組みも可能にしている。自らスキームを構築することで回収に必要なコストや負担、本質的な課題の把握や従業員の意識の醸成につなげる狙いもある。回収に使うボックスも社内の担当部署で制作している。

 植木鉢へのリサイクルは、回収品を別容器に変える「マテリアルリサイクル」という資源循環の手法。有効的に活用できるが、最終的にはゴミとして処理されることになる。

 将来的には、使用済み化粧品容器を同じ容器に再加工して持続的に活用する「ケミカルリサイクル」への切り替えも目指している。この手法は、PETなど単一の素材を使用する統一規格をつくり、業界全体で進める飲料業界などが先行している。

 
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