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アドレス通商 千葉にDX型物流拠点、流通加工作業など自動化進む

2023年 8月17日 12:00

 メーリングや物流サービスなどを手がけているアドレス通商は昨年8月2日に、新たな物流拠点として「新習志野DC」(千葉県習志野市)の運営を開始した。クライアント企業の多くが大手通販企業となっており、保管から流通加工、発送まで幅広いサービスを提供。センターは最新の機械設備の導入によるDX化も大きな特徴となっており、通販物流業務をトータルでサポートしていく。

 同センターは、千葉県船橋市と東京都江東区の2カ所に設けていた既存の物流センターを統合して移転開設したもの。4階建てで、床面積は約2万1300平方メートルと、旧2拠点の合計よりも大きな規模となっている。

 JR新習志野駅から徒歩圏内にあり、東関東自動車道の谷津船橋ICからは約2キロメートルに位置する。これ以外にも外環道、中央環状線、東京湾岸道路といった複数の幹線道路が近くにあることから、どこかで渋滞があった際にも時間ロスが少なく都内までアクセスできるという。

 基本的には常温荷物対応のセンターであり、現場内の温度は23度以下を保持している。現状、食品や雑貨などをメインに扱っているが「基本的に、(受けられる荷物の)件数、物、形などに制限はなく、あらゆる多種多様な商品に対応できる」(同社)とした。

 そして、最大の特徴となっているのが各種の自動設備によるDX化だ。ピッキングロボでは「ラピュタAMR」を5台導入している。これは出荷指示を受けてから、あらかじめ入力されたロケーション情報をもとに、出荷対象の商品がある棚まで正確に作業員を誘導することで、効率的なピッキング作業をサポートするもの。従来のハンディを使った人の手による作業は1件ずつ行う仕組みだったが、同機器では1台当たり4件、5台で合計20件のピッキングを同時に行うことが可能。

 また、段ボールの自動組み立て機も導入。様々なサイズの段ボールを正確に自動で高速組み立てができるもので、1時間当たりで見ると、人の手では100個が限界だったが、同機器では最大600個を組み立てることができる。

 さらに、自動封函機に関しては、箱内に入れられた納品書を読み込んで送り状の出力・貼り付け、梱包などを対応。1時間で最大700件の処理が可能となっている。

 そのほかにもAIピッキングカートや商品計測器なども導入。また、SDGsの観点では、紙を素材にした緩衝材の自動製造機もあり、人の手によるロール紙を使った加工作業よりも大幅にスピードと技術が向上した。ブランドイメージを守るためにプラスティック素材による緩衝材を使わないメーカーも増えており、そうしたニーズに応えている。

 なお、これらの自動機器はすべて同社として初めて採用したもの。DX化を進めたことで作業の正確性やスピードの向上などを図るとともに、昨今の業界で大きな懸念となっている物流現場での人手不足問題にも対応する狙いがある。実際に自動機器のサポートがあることで、スタッフの熟練度に関わらず、作業品質を維持することができているようだ。「通販のようなtoBで扱う荷物は少しの間違いがクレームや返品につながる。箱を開けたコンタクトポイントでそのブランドのファンとなってくれるように、顧客との出会いの瞬間を大事に考えて作業している」(同社)とした。

 センター内には福利厚生の一環として、広々としたカフェテリアスペースを設けたほか、玄関に緑化を取り入れるなど、スタッフが働きやすくなれるよう職場環境を整備。「若い力が発揮できるようなセンター運営を心掛けている」(同)とした。

 なお、既存のメーリングサービスとの連携も可能なため、今後もDM企画などマーケティングサポートとも複合的に組み合わせたメニューをトータルで提案していく予定。
 
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