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オンワード樫山の「アンクレイヴ」 セットアップ基軸に好調維持、オフラインで新客開拓加速

2023年 7月13日 12:00

 オンワード樫山のD2Cブランド「uncrave(アンクレイヴ)」が好調を維持している。主力の自社ECだけでなく、百貨店を中心としたポップアップストアの開催に加え、期間限定のショールーミングストアを通じた先行予約会を新たに始めるなど、リアルの場でのタッチポイントを増やして新客開拓を進め、次の成長ステージを目指す。

 2020年にスタートした同ブランドは、本物志向のテーラリングと素材感にこだわった、新しいバランスのベーシックを展開。ほどよいトレンドを加えたさまざまなアイテムの組み合わせによるセットアップ企画が豊富で、コーディネートに迷わない使い勝手の良さが、30代~40代の働く女性を中心に支持されている。

 昨年からは東原妙子さんがディレクターを務める新ライン「uncrave WHITE(アンクレイヴ ホワイト)」を始動。新ラインはブランドの世界観をより強く表現したコレクションラインで、ワンランク上のアイテムを提案する。従来の「アンクレイヴ」をスタンダードラインと位置づけ、2ラインで展開している。

 グループのファッション通販サイト「オンワード・クローゼット」での販売が中心だが、消費者とのタッチポイント強化に向け、各シーズンの立ち上がりに合わせて有力百貨店でのポップアップストア開催にも積極的だ。

 百貨店では来店客層との親和性がより高いホワイトのラインをメインに提案しており、今春夏シーズンは伊勢丹新宿店と阪急うめだ本店、ジェイアール名古屋タカシマヤ、大丸札幌店、大丸東京店の4都市5店舗でポップアップを開催したほか、スタンダード単独の期間限定店も大丸神戸店で展開した。

 ポップアップでは、東原さんのパーソナル接客イベントを開催したり、インスタライブや先行販売アイテム、限定商品、人気商品の限定カラーなどを展開したりすることで集客力を高め、ブランドの認知拡大や顧客開拓につなげている。

 今年は初めて、2月に期間限定のショールーミングストアを東京・表参道に開設。既存顧客を招待したクローズドな先行受注会として新作アイテムのサンプルを用意し、購入はECに誘導した。

 ポップアップでは人気商品が欠品することもあるが、ショールーミングストアでは試着するだけで持ち帰れないため欠品することはない。また、ポップアップよりも早い時期に先行受注会として展開することで、各商品に対するユーザーの反応をいち早く知ることができる。

 商品を確認できることで来場者の客単価は上がったようで、8月に予定する次回のショールーミングストアからは、新規開拓を目的にオープンな会として展開する考え。

 2023年2月期における「アンクレイヴ」の売上高は前年比17・0%増と好調で、今期も2ケタ成長を維持しているという。引き続きECを主販路にしながらリアルの場での顧客接点を強化。事業成長とともに早期の黒字化を目指す。

カシミヤ100%のニットなど提案

 「アンクレイヴ」の2023年秋冬は、コレクションラインのホワイトでは高見えするエコレザーを使用したセットアップを提案する。昨年の秋冬もレザーは人気で、素材やデザインをアップデートして展開する。

 また、上質なウールとポリエステルの混紡生地を使用したセットアップはブルゾンとロングコート、パンツ、シャツ、ワンピースの5型で展開。シワになりにくく取り扱いが楽で、光沢や落ち感もあって着用時に決まりやすいという。

 ニット素材も9月から展開するが、11月には「アンクレイヴ」として初めてカシミヤ100%のニットを販売する。

 カシミヤニットはトレンドのショート丈のため、ボトムスを選ばないで着用できるという。また、ECでも映える8色を用意。ピンクは秋に開催する百貨店でのポップアップストア別注カラーとして展開する予定だ。ECでは素材の良さを伝えづらいこともあり、目をひくカラーバリエーションで関心を持ってもらう。

 一方のスタンダードラインでは、バルキーツイルというポリエステルながらウール見えする重厚感のある素材を使用したパンツ、ショートパンツを含めたトータルのセットアップを提案するほか、スタンダードでは初めてデニムを展開するという。

 
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