薬用化粧品、健康食品の企画、OEMを行う天真堂が自社通販を強化する。強みを持つ自社製造の「プロテイン」のほか、機能性表示食品の活用も進める。今年1月、取締役社長に就任した酒井裕一郎氏に基幹事業であるOEMと、通販強化の狙いを聞いた。
――前期(22年12月期)の業績は。
「物流センターを閉鎖した影響で売り上げは減少したが、事業の選択と集中により収益性は良化している」
――OEMの状況は。
「育毛剤を中心に既存取引先が成長したことを受けて堅調だ。問い合わせ件数は、前年比で平均50%ほど増えて推移している。まつ毛美容液、プロテインなどクロスセル商品の要望が増えており、取引社数も増えた。初回ロットで5000個単位の大量受注が増えている」
――好調な理由は。
「具体的提案を強化している。事業開始時のリスク回避を念頭に初回は1000個ほどの小ロットを希望する取引先も少なくない。ただ、顧客獲得の競争は激化しており、スピード感も早い。売れても欠品となればブランド価値は低下してしまう。こちらとしても売れないものをつくるのは無責任という思いだ。多くの消費者にお届けするために多く製造し、そのための支援もする。自社通販も行っており、広告運用や表現、訴求、品質保証の知見があり、サポートすることができる」
「もう一つは、組織改革、業務フローの改善に取り組んでいる。営業部門の中にあった企画開発を別部門に切り分け、処方開発や新成分探索など提案力を高めている。営業部門については各営業の進行状況、成功事例のタイムリーな共有を通じて個々の能力を底上げしていく」
――医薬部外品のストック処方に強みがある。
「市場のトレンド変化は加速している。今は部外品で70前後のストック処方があるが、迅速に提供できる処方を増やす取り組みに変わりはない。化粧品も同様に取り組む」
――今後とくに強化する領域はあるか。
「オーラルケアは一つのテーマだ。『口腔内の健康』に対する関心は高まっている。ストック処方は5前後あるが、売上構成比は育毛剤が多くを占めるため、オーラルケアは1割に満たない。提案を強化していく」
――21年にプロテインによる「置き換え食」の製造、通販を展開していたグローバル伸和製薬を買収した。
「ブームもあり、OEMの要望も増えている。成人女性の場合、たんぱく質を1日60グラムを目安に摂ることが推奨されているが、『たっぷり』と表示していても、置き換えを満たす量がきちんと入っていない商品も多く流通している。プロテインは、たんぱく質の量を担保するほど、溶けやすさと味の両立は難しくなる。約30年の知見があり、熟練した管理栄養士の資格を持つ従業員が味の調整に携わっている。きちんと置き換えられる成分量の担保をコンセプトに絶妙な配分で調合を行い、溶けやすさ、おいしさを強みにしている」
「ドリンク(粉末)、バータイプなどさまざまな設計が可能だが、スープタイプの展開は独自性があり、人気も高い。市場に流通するスープタイプの多くはコーンクリーム。自社には人気の高いクリーム風味とカレー風味があり、今夏をめどに5種類まで増やす」
――プロテインの自社通販も行っている。
「『グローバルヘルシー』の屋号で自社ECをはじめ、アマゾン、楽天、Qoo10などECモールも活用している。百貨店のオーガニックショップなど店舗流通も決まっており、テレビ通販向けの卸も拡大していきたい」
――通販の状況は。
「これまで217万人以上の方に商品をお届けしてきたが、まだ知名度が低いのが課題だ。今春からサッカー選手の香川真司さんのアンバサダー就任など、著名人や栄養管理の専門家を起用し、対外的な発信を強化して徐々に信頼感、知名度は高まっている」
――OEM提供における取引先との競合については。
「取引先に独自開発の要望があればこちらが同等品を販売することはないし、既存商品であれば共に市場を広げるパートナーと捉えてほしい。むしろ自分達が売れないものを提案するべきではないと考えており、売れているからこそOEMで貢献できる面は多くある。互いに売るほど原価率も下がり、双方にメリットがある。ただ、あくまで基幹事業はOEM。よりよい処方開発、サービス提供につなげる要な要素が自社通販の実績と経験と考えている」
――通期の業績見通しは。
「売上高は公表していないが、前年比で40%ほど上積みを目指している。自社通販の構成比は現状の数%から1割程度に引き上げていきたい。プロテインブームが急速に落ち込むことはないだろうが、先を見据え、ダイエット領域をはじめとした次の柱の育成を図る。機能性表示食品については今年度中に複数種類届出を予定している」
――前期(22年12月期)の業績は。
「物流センターを閉鎖した影響で売り上げは減少したが、事業の選択と集中により収益性は良化している」
――OEMの状況は。
「育毛剤を中心に既存取引先が成長したことを受けて堅調だ。問い合わせ件数は、前年比で平均50%ほど増えて推移している。まつ毛美容液、プロテインなどクロスセル商品の要望が増えており、取引社数も増えた。初回ロットで5000個単位の大量受注が増えている」
――好調な理由は。
「具体的提案を強化している。事業開始時のリスク回避を念頭に初回は1000個ほどの小ロットを希望する取引先も少なくない。ただ、顧客獲得の競争は激化しており、スピード感も早い。売れても欠品となればブランド価値は低下してしまう。こちらとしても売れないものをつくるのは無責任という思いだ。多くの消費者にお届けするために多く製造し、そのための支援もする。自社通販も行っており、広告運用や表現、訴求、品質保証の知見があり、サポートすることができる」
「もう一つは、組織改革、業務フローの改善に取り組んでいる。営業部門の中にあった企画開発を別部門に切り分け、処方開発や新成分探索など提案力を高めている。営業部門については各営業の進行状況、成功事例のタイムリーな共有を通じて個々の能力を底上げしていく」
――医薬部外品のストック処方に強みがある。
「市場のトレンド変化は加速している。今は部外品で70前後のストック処方があるが、迅速に提供できる処方を増やす取り組みに変わりはない。化粧品も同様に取り組む」
――今後とくに強化する領域はあるか。
「オーラルケアは一つのテーマだ。『口腔内の健康』に対する関心は高まっている。ストック処方は5前後あるが、売上構成比は育毛剤が多くを占めるため、オーラルケアは1割に満たない。提案を強化していく」
――21年にプロテインによる「置き換え食」の製造、通販を展開していたグローバル伸和製薬を買収した。
「ブームもあり、OEMの要望も増えている。成人女性の場合、たんぱく質を1日60グラムを目安に摂ることが推奨されているが、『たっぷり』と表示していても、置き換えを満たす量がきちんと入っていない商品も多く流通している。プロテインは、たんぱく質の量を担保するほど、溶けやすさと味の両立は難しくなる。約30年の知見があり、熟練した管理栄養士の資格を持つ従業員が味の調整に携わっている。きちんと置き換えられる成分量の担保をコンセプトに絶妙な配分で調合を行い、溶けやすさ、おいしさを強みにしている」
「ドリンク(粉末)、バータイプなどさまざまな設計が可能だが、スープタイプの展開は独自性があり、人気も高い。市場に流通するスープタイプの多くはコーンクリーム。自社には人気の高いクリーム風味とカレー風味があり、今夏をめどに5種類まで増やす」
――プロテインの自社通販も行っている。
「『グローバルヘルシー』の屋号で自社ECをはじめ、アマゾン、楽天、Qoo10などECモールも活用している。百貨店のオーガニックショップなど店舗流通も決まっており、テレビ通販向けの卸も拡大していきたい」
――通販の状況は。
「これまで217万人以上の方に商品をお届けしてきたが、まだ知名度が低いのが課題だ。今春からサッカー選手の香川真司さんのアンバサダー就任など、著名人や栄養管理の専門家を起用し、対外的な発信を強化して徐々に信頼感、知名度は高まっている」
――OEM提供における取引先との競合については。
「取引先に独自開発の要望があればこちらが同等品を販売することはないし、既存商品であれば共に市場を広げるパートナーと捉えてほしい。むしろ自分達が売れないものを提案するべきではないと考えており、売れているからこそOEMで貢献できる面は多くある。互いに売るほど原価率も下がり、双方にメリットがある。ただ、あくまで基幹事業はOEM。よりよい処方開発、サービス提供につなげる要な要素が自社通販の実績と経験と考えている」
――通期の業績見通しは。
「売上高は公表していないが、前年比で40%ほど上積みを目指している。自社通販の構成比は現状の数%から1割程度に引き上げていきたい。プロテインブームが急速に落ち込むことはないだろうが、先を見据え、ダイエット領域をはじめとした次の柱の育成を図る。機能性表示食品については今年度中に複数種類届出を予定している」