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国と地方の連携不足、課徴金算定法に疑問も

2022年 7月21日 12:00

 葬儀仲介サイト「小さなお葬式」を運営するユニクエストが課徴金納付命令の取消訴訟を起こした(1854号既報)。算定の基礎となった売上額の見解の相違が争点。結果は裁判所の判断を待つことになるが、これに限らず、消費者庁の課徴金調査には運用に不透明な点もみられる。

 課徴金は、措置命令に付随して課される。地方が措置命令を下した場合も、課徴金調査・命令は国が行う。ただ、国と地方の連携が取れていないケースが散見される。

 鹿児島県は19年、ゴマ製品等を販売する鹿北製油に景表法に基づく措置命令を下した。商品は41商品。だが、消費者庁による課徴金調査では、同じ商品名、異なるグラム数の商品を一括りにして25商品と捉え、うち5商品に課徴金を課した。

 ただ、課徴金は売上額で5000万円(課徴金で150万円以下)の裾切り額がある。一括りにするほうが課徴金は課されやすい。消費者庁は、措置命令と対象が異なる点に「対象商品と表示がどういう関係にあるかがポイント。同じ表示で誤認させており、括りとしては同じ対象になる」(表示対策課)とする。

 別の自治体の措置命令では、課徴金対象行為の基礎となった不当表示の認定期間がずさんな例もある。措置命令の表示期間は最長約4年。対象商品は当該会社の主力で年間数十億円の売り上げがあった。課徴金も億単位が想定される。

 処分は20年。2年超が経過しているが、いまだ課徴金は課せられていない。「処分時に、表示期間と販売期間がイコールで認定された」(関係筋)としており、違反行為をした期間が適当でなかったとみられる。消費者庁は、「個別案件は、調査の有無を含め答えられない」(表示対策課)とする。命令は出されるのか注目される。

 18年には、課徴金を不服とする日産自動車の審査請求を受け、行政不服審査会が「課徴金命令の取消しが妥当」との結論を出し、消費者庁が命令を撤回したこともある。

 現在、消費者庁は「景品表示法検討会」で、事業者の繰り返し違反に対する課徴金割り増しなど、制裁を強化する方向で検討を進めている。運用面の課題も議論すべきだろう。
 
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