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販売する「パブロンマスク365」(=画像)シリーズについて、マスクに付着した粒子が分解されているイメージ図とともに「ウイルス」、「花粉アレルゲン」、「光触媒で分解」などと表示していた。
消費者庁は、不実証広告規制に基づき、表示の裏付けとなる合理的根拠を要求。同社は、複数の第三者試験で実施した製品試験の結果を提出した。消費者庁はこれを根拠と認めず、商品を装着することで太陽光や室内光下において、光触媒の効果により付着した花粉由来のアレルギー原因物質やウイルスの原因物質等を分解し、体内に吸入されることを防ぐ効果があるかのように示す表示を行っていたとして景表法に基づく措置命令(優良誤認)を下した。
大正製薬は、処分を判断するにあたり、消費者庁が独自に行った試験のデザインに問題があると指摘している。
提出した根拠は、マスク片にインフルエンザウイルスやスギ花粉を含む溶液を付着させ、光照射による分解を確認した抗ウイルス試験や、アレルゲンに対する反応試験の結果。抗菌性試験でも効果を確認していた。
同社によると、消費者庁が行った試験は、光触媒技術により花粉を分解した後の「二酸化炭素濃度」に着目したものだったという。19年当時、同時処分を受けた他社製品に「花粉等を水と二酸化炭素に分解する」といった表示があったため。試験の結果、二酸化炭素濃度は増加せず、消費者庁から「花粉などの有害物質は光触媒により分解されず、根拠がない」との説明を受けたという。
ただ、大正製薬は、「花粉等を水と二酸化炭素に分解する」といった表示を行っておらず、二酸化炭素の増加量にのみ着目した試験デザイン、評価を不適切としている。理由として、(1)花粉からは発生しうる二酸化炭素量は極小で検出が困難であること、(2)マスク使用時の条件を考慮していないこと、(3)光触媒により発生した二酸化炭素は水分や塩類と結合して一部が炭酸塩になるため、二酸化炭素の測定のみで分解の有無を判断できないこと――をあげる。
同時処分は、大正製薬のほかDR.医薬、アイリスオーヤマ、玉川衛材の3社。アイリスオーヤマ、玉川衛材の商品は、花粉等を二酸化炭素と水に分解するかのような表示を行っていたとして処分を受けた。
行政処分に不服がある場合、行政不服審査法に基づき、処分を知ってから3カ月以内に審査請求できる。審査請求を行った場合、公正性を確保する観点から、総務省に設置した行政不服審査会で審理が行われる。また、処分取消しを求める場合は、行政事件訴訟法に基づき、処分を知ってから6カ月以内に処分取消しの訴えを提起することができる。審査請求を行う場合、その裁決から6カ月以内に訴訟を提起することもできる。