在京テレビキー局5社が手がけるテレビ通販事業の前期(2022年3月期)の業績が出そろった。コロナ禍による巣ごもり消費増で各社とも大幅な増収となった前年からの反動減や五輪開催に伴う主力枠の放送休止などもあり、伸び悩みを見せたところも少なくなかった。
刷新した深夜枠好調で増収維持
前期のDINOS CORPORATION(ディノス)の総売上高、604億6200万円(前年比40・7%減)に占める通販売上高は565億6100万円(同40・2%減)でこのうち、テレビ通販売上高は同1・5%増の187億3600万円だった。
主力の平日午前枠が7月末から8月上旬に開催された東京五輪のテレビ中継などによる番組編成上の都合で複数回の当該枠の放映中止があったものの、昨年10月に従来のナレーションと商品紹介のVTRを中心とした番組構成からリアリティーやバラエティー感を重視した構成に刷新した月曜深夜枠「ディノスTHEストア」の売り上げが好調に推移したことで増収を維持した。前期のテレビ通販での売れ筋は例年通り、脱毛器「ダブルエピ ルミナスボーテ」などの美容系商品が好調だったほか、布団を圧縮して収納できる「スピードキューブ」などのハウスキーピング分野の商品や食品などの動きがよかったという。
寝具など売れ行きよく2桁増収に
ロッピングライフの前期の総売上高は同10・1%増の168億円。このうち、番組グッズなどのネット販売を含めた通販売上高は同13・4%増の167億円だった。前期累計で5億円を売り上げたマットレス「エアウィーヴスマートシングル」や枕「ボディーチューニングピローエアトラス」(前期累計売上高4・2億円)、掃除機「ダイソンV7フラフィ」(同3・8億円)、ブラシ型美顔器「ミーゼ スカルプリフト」(同3・4億円)、振動およびEMSによる運動ができる「ミックスワンダーウェーブ」(同3・3億円)といった商品を中心に売れ行きを伸ばしたことに加え、主力の午前枠が紐づく番組を土曜日などにも特番として合計9回放送したことが寄与した。
通販枠別売上高は主力の午前枠は休止が3回あったものの同枠単体売上高は前年比0・3%増の86億2600万円と堅調だったほか、特番枠が同66・9%増の50億700万円、BS枠が同2・9%増の1億1300万円と前年実績を上回った。深夜枠は同27・3%減の2億4100万円だった。
テレビ通販以外のチャネルの売上高はカタログ通販が同3・4%減の13億2800万円、ネット販売は番組関連グッズの売れ行きが好調で同12・1%増の2億8100万円、テレビ朝日のテレビ朝日系列局の通販事業のフルフィルメント業務を請け負う系列局向け通販支援事業が同25・1%減の2億3100万円、東京駅など都内で展開する実店舗はコロナ禍の影響で客足が戻りきっていないことなどで同1・6%減の7600万円だった。
前期の営業利益は同48・6%増の10億3300万円だった。
上期苦戦も巻き返して前年越え
テレビ東京ダイレクトの前期の総売上高は同2・0%増の120億800万円。このうち、通販枠の販売や管理などを行う通販提携事業売上高(同3・4%増の3億5100万円)を除くテレビ通販とカタログ通販、ネット販売の合計売上高(同1・9%減の77億2700万円)と食品通販事業(同4・8%増の31億9000万円)、宿泊予約事業(同9・0%減の4億3900万円)、海外事業などを含むその他売上高(同24倍の2億3400万円)などをあわせた通販関連事業売上高は同1・9%増の116億5700万円だった。
新型コロナウイルスの感染拡大によるメーカーの海外工場の操業休止などが商品調達に影響するなどし、売れ筋のゴルフ用品などの売り上げが伸び悩むなど苦戦し、上期は前年実績を下回ったものの下期に入ってからは商品調達の状況も改善。また、BS枠でのインフォマーシャルを前年に引き続き増やし、地上波でも昨年8月から土曜日昼1時間枠で月1回程度、特番の放送を開始するなど通販枠の拡大を図った。
商品面では「DANGAN7シリーズ」などゴルフ用品全体の売上高は前年比0・9%減の9億7000万円と上期の苦戦を巻き返して通期ではほぼ前年並みとなったほか、除湿剤「調湿木炭出雲屋炭八」(前期累計売上高4億4000万円)や「軽量コードレス洗浄機」(同2億9000万円)、窓に張り付け日差しを防ぐ「遮熱クールアップ」(同2億7900万円)、家庭用EMS運動機器「カルフット」(同2億1000万円)などの売れ筋商品が堅調に売り上げを伸ばしたほか、食品通販「虎ノ門市場」の売れ筋で内容を変えながら通年を通して展開する「海鮮セット」を紹介する回数を増やすなどで同商品の単体売上高が同37・5%増の7億3600万円と大きく伸びた。
前期の営業利益は同13・5%減の11億200万円だった。
巣ごもり特需の反動で2桁減収
TBSグロウディアの前期の通販関連事業を展開するショッピング事業本部の総売上高は前年比12・6%減の155億6000万円だった。このうち、テレビ通販売上高(地上波とBS・CS局でのテレビ通販および系列局とのテレビ・ラジオの共同通販事業、番組およびアニメ関連のグッズのネット販売の合計売上高)は同15・2%減の110億400万円だった。コロナ禍による巣ごもり需要増で大幅な増収となった前年の反動減で2桁減となった。なお、前期は節水シャワー「ナノフェミラスライト」や振動運動器具「シェイプツインボール」などが売れ筋商品だったとしている。
美容健康商品が伸び悩み2割減
日本テレビ放送網の前期の通販売上高は同22・4%減の87億9200万円だった。コロナ禍に伴う巣ごもり需要増で大きく売上高を伸ばした前年の反動などで売り上げの柱であった美容健康系の新商品の売れ行きが伸び悩んだ。また、例年、売上構成比の高かった人気家電がコロナの影響等で調達が滞り、計画通りに販売ができなかったこと。さらに東京五輪の中継で上期に3回、冬季五輪の中継で下期の2回の合計5回休止したことなどで主力の月~木午前枠の売り上げが前年比で3割減と振るわなかったことが影響した。
また、コロナの影響などで十分な調達が困難になったことや原材料価格の高騰で、内容量や価格を見直さざるを得なかった冬場の売れ筋であるカニの売れ行きが計画を下回ったことで冬の特番が伸びず、年3回放送した特番全体の売上高も同1割減と苦戦したことも響いた。
このほか、BS日テレを中心としたインフォマーシャルは放送枠を戦略的に半減させたことで売上高も5割減。深夜・早朝枠は防災用商品や日本テレビが出資するサウンドファンが展開するテレビの音声を聞こえやすい音に変換するスピーカー「ミライスピーカー」などの販売が好調で計画比では堅調に推移したが前年比では同1・5割減となった。
ネット販売は自社通販サイト「日テレ屋web」の売り上げは日本テレビの人気番組や番組発のアーティスト、イベントなどと連携したオリジナルグッズの売れ行きが好調で前年比4割増と大きく伸びた。また、日本テレビグループが運営する動画配信サービス「Hulu」との相互誘導施策など連携を強化したことも奏功した。楽天市場などに出店する5つの仮想モールはテレビ通販商品の苦戦もあり、合計売上高は前年比3・5割減と振るわなかった。
なお、利益を表す「収支」は減収などで同63・1%減の5億4000万円だった。
刷新した深夜枠好調で増収維持
前期のDINOS CORPORATION(ディノス)の総売上高、604億6200万円(前年比40・7%減)に占める通販売上高は565億6100万円(同40・2%減)でこのうち、テレビ通販売上高は同1・5%増の187億3600万円だった。
主力の平日午前枠が7月末から8月上旬に開催された東京五輪のテレビ中継などによる番組編成上の都合で複数回の当該枠の放映中止があったものの、昨年10月に従来のナレーションと商品紹介のVTRを中心とした番組構成からリアリティーやバラエティー感を重視した構成に刷新した月曜深夜枠「ディノスTHEストア」の売り上げが好調に推移したことで増収を維持した。前期のテレビ通販での売れ筋は例年通り、脱毛器「ダブルエピ ルミナスボーテ」などの美容系商品が好調だったほか、布団を圧縮して収納できる「スピードキューブ」などのハウスキーピング分野の商品や食品などの動きがよかったという。
寝具など売れ行きよく2桁増収に
ロッピングライフの前期の総売上高は同10・1%増の168億円。このうち、番組グッズなどのネット販売を含めた通販売上高は同13・4%増の167億円だった。前期累計で5億円を売り上げたマットレス「エアウィーヴスマートシングル」や枕「ボディーチューニングピローエアトラス」(前期累計売上高4・2億円)、掃除機「ダイソンV7フラフィ」(同3・8億円)、ブラシ型美顔器「ミーゼ スカルプリフト」(同3・4億円)、振動およびEMSによる運動ができる「ミックスワンダーウェーブ」(同3・3億円)といった商品を中心に売れ行きを伸ばしたことに加え、主力の午前枠が紐づく番組を土曜日などにも特番として合計9回放送したことが寄与した。
通販枠別売上高は主力の午前枠は休止が3回あったものの同枠単体売上高は前年比0・3%増の86億2600万円と堅調だったほか、特番枠が同66・9%増の50億700万円、BS枠が同2・9%増の1億1300万円と前年実績を上回った。深夜枠は同27・3%減の2億4100万円だった。
テレビ通販以外のチャネルの売上高はカタログ通販が同3・4%減の13億2800万円、ネット販売は番組関連グッズの売れ行きが好調で同12・1%増の2億8100万円、テレビ朝日のテレビ朝日系列局の通販事業のフルフィルメント業務を請け負う系列局向け通販支援事業が同25・1%減の2億3100万円、東京駅など都内で展開する実店舗はコロナ禍の影響で客足が戻りきっていないことなどで同1・6%減の7600万円だった。
前期の営業利益は同48・6%増の10億3300万円だった。
上期苦戦も巻き返して前年越え
テレビ東京ダイレクトの前期の総売上高は同2・0%増の120億800万円。このうち、通販枠の販売や管理などを行う通販提携事業売上高(同3・4%増の3億5100万円)を除くテレビ通販とカタログ通販、ネット販売の合計売上高(同1・9%減の77億2700万円)と食品通販事業(同4・8%増の31億9000万円)、宿泊予約事業(同9・0%減の4億3900万円)、海外事業などを含むその他売上高(同24倍の2億3400万円)などをあわせた通販関連事業売上高は同1・9%増の116億5700万円だった。
新型コロナウイルスの感染拡大によるメーカーの海外工場の操業休止などが商品調達に影響するなどし、売れ筋のゴルフ用品などの売り上げが伸び悩むなど苦戦し、上期は前年実績を下回ったものの下期に入ってからは商品調達の状況も改善。また、BS枠でのインフォマーシャルを前年に引き続き増やし、地上波でも昨年8月から土曜日昼1時間枠で月1回程度、特番の放送を開始するなど通販枠の拡大を図った。
商品面では「DANGAN7シリーズ」などゴルフ用品全体の売上高は前年比0・9%減の9億7000万円と上期の苦戦を巻き返して通期ではほぼ前年並みとなったほか、除湿剤「調湿木炭出雲屋炭八」(前期累計売上高4億4000万円)や「軽量コードレス洗浄機」(同2億9000万円)、窓に張り付け日差しを防ぐ「遮熱クールアップ」(同2億7900万円)、家庭用EMS運動機器「カルフット」(同2億1000万円)などの売れ筋商品が堅調に売り上げを伸ばしたほか、食品通販「虎ノ門市場」の売れ筋で内容を変えながら通年を通して展開する「海鮮セット」を紹介する回数を増やすなどで同商品の単体売上高が同37・5%増の7億3600万円と大きく伸びた。
前期の営業利益は同13・5%減の11億200万円だった。
巣ごもり特需の反動で2桁減収
TBSグロウディアの前期の通販関連事業を展開するショッピング事業本部の総売上高は前年比12・6%減の155億6000万円だった。このうち、テレビ通販売上高(地上波とBS・CS局でのテレビ通販および系列局とのテレビ・ラジオの共同通販事業、番組およびアニメ関連のグッズのネット販売の合計売上高)は同15・2%減の110億400万円だった。コロナ禍による巣ごもり需要増で大幅な増収となった前年の反動減で2桁減となった。なお、前期は節水シャワー「ナノフェミラスライト」や振動運動器具「シェイプツインボール」などが売れ筋商品だったとしている。
美容健康商品が伸び悩み2割減
日本テレビ放送網の前期の通販売上高は同22・4%減の87億9200万円だった。コロナ禍に伴う巣ごもり需要増で大きく売上高を伸ばした前年の反動などで売り上げの柱であった美容健康系の新商品の売れ行きが伸び悩んだ。また、例年、売上構成比の高かった人気家電がコロナの影響等で調達が滞り、計画通りに販売ができなかったこと。さらに東京五輪の中継で上期に3回、冬季五輪の中継で下期の2回の合計5回休止したことなどで主力の月~木午前枠の売り上げが前年比で3割減と振るわなかったことが影響した。
また、コロナの影響などで十分な調達が困難になったことや原材料価格の高騰で、内容量や価格を見直さざるを得なかった冬場の売れ筋であるカニの売れ行きが計画を下回ったことで冬の特番が伸びず、年3回放送した特番全体の売上高も同1割減と苦戦したことも響いた。
このほか、BS日テレを中心としたインフォマーシャルは放送枠を戦略的に半減させたことで売上高も5割減。深夜・早朝枠は防災用商品や日本テレビが出資するサウンドファンが展開するテレビの音声を聞こえやすい音に変換するスピーカー「ミライスピーカー」などの販売が好調で計画比では堅調に推移したが前年比では同1・5割減となった。
ネット販売は自社通販サイト「日テレ屋web」の売り上げは日本テレビの人気番組や番組発のアーティスト、イベントなどと連携したオリジナルグッズの売れ行きが好調で前年比4割増と大きく伸びた。また、日本テレビグループが運営する動画配信サービス「Hulu」との相互誘導施策など連携を強化したことも奏功した。楽天市場などに出店する5つの仮想モールはテレビ通販商品の苦戦もあり、合計売上高は前年比3・5割減と振るわなかった。
なお、利益を表す「収支」は減収などで同63・1%減の5億4000万円だった。