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楽天 つくば市でロボット配送、生鮮品を自宅まで30分で

2022年 6月 2日 13:00

 楽天グループとパナソニックホールディングス、西友は5月26日、茨城県つくば市において、自動配送ロボット(UGV)の公道走行による配送サービスのデモンストレーションを行った。同市内において5月28日~7月30日までの毎週土曜日、つくば駅周辺の約1000世帯を対象に、「西友つくば竹園店」で取り扱う商品を注文から最短30分で配送する。
 





 楽天が開発したスマートフォン専用サイトで商品の注文を受けると、注文から最短30分、もしくは指定した配達時間帯に、UGVで商品を届ける。「西友つくば竹園店」で取り扱う商品のうち、生鮮食品、冷蔵・冷凍商品、弁当・惣菜を含む飲食料品や日用品など2000点以上の商品が注文可能。昨年3~4月、神奈川県横須賀市内においても、UGVを使って西友店舗で扱う商品を配送するサービスの実験を展開していたが、今回は生鮮食品など、これまでは扱っていなかった商材も対象となる。

 また、手数料もこれまでは無料だったが、税込み110円となっている。「より実際のサービスに近づいた形で提供する」(楽天ドローン・UGV事業部の向井秀明ジェネラルマネージャー)。

 ロッカーの容量は合計114リットルで、商品が入っている扉を知らせる音声ガイダンス付き。3温度帯に対応しており、専用の保冷ボックスを搭載。注文と配送を一元的に管理する店舗向けシステムも開発している。配送中は、専用サイトでUGVの位置情報や到着予定時刻を確認できるほか、到着時には自動音声の電話やSMSによる通知で知らせる。

 UGVはパナソニックHDが開発した自動配送ロボット「クロスエリアロボ」を使用。つくば市から約60キロ離れた「パナソニックラボラトリー東京」から遠隔管制システム「クロスエリア リモート」を使い、遠隔監視・操作のもとで自動走行する。

 向井ジェネラルマネージャーは、UGVを使った配送サービスの実用化に向けて「少子高齢化が進む中で、ギグワーカーを活用したとしても配達員は減る。一方で商品を配送するニーズは増加しており、配送コストが上昇していく。ロボットは1配送あたりのコストを減らすことが可能で、最終的には人間よりも安く運べるし、深夜であっても配達ができるという利便性もある」とした上で「安全性の証明をしていきたい。また、1店舗からだけの配送ではなく、飲食店や小売り店など、街の配送ニーズをロボットが満たせるような社会を目指したい」と述べた。

 具体的には2023年に予定される改正道路交通法の施行後に、より広い範囲、もしくは複数地域でサービスを展開していく。「当初は採算が合わないだろうが、遠隔監視するロボットの増加などでコストダウンが進んでくれば、一定の人口密度がある場所であれば採算が合うようになるのではないか」(向井ジェネラルマネージャー)。

 5月26日に行われた、報道陣向けのデモンストレーションでは、「西友つくば竹園店」から消費者が住むマンションの前まで、UGVで商品を届けた。猫のエサやビール、惣菜などを注文した藤沢直子さん(44)は「コロナ禍もあり在宅で仕事をしており、合間の時間に買い物ができて自宅の前に届くのは便利。価格も普段の買い物と変わらないし、110円という配達料も『これだけで済むなら』という感じです」と話した。
 
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