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同店舗は、全体期に「和」のテイストを取り入れた落ち着いた空間となっており、茶室型の個室なども設置。来店者は人目を気にせず個室内で寝具を試すことができるようになっており、店内に展示されている複数のマットレスや枕などを自由に組み合わせて体験することができる。
現状、同社で展開する自社ブランド2000アイテムの中から、約30アイテムを展示。単に同社の商品を人気順に集めて展示したというわけではなく、体験ニーズが高いとされる寝具や高座椅子など、身体に合ったサイズ・機能が求められる商品を中心に置いている。また、完全予約制のため、事前に試用を希望するアイテムの相談も受け付けており、希望に沿って展示内容も変えている。
接客に当たっては販売員ではなく、企画担当やカスタマースタッフなど、睡眠インストラクターの資格を持つ社員が担当。「(接客の際に)売りたい側の都合を入れるのではなく、顧客に一番合ったものを体験してもらうための店舗にしている」(同社)と説明。通常、実店舗を設けると、売り場にかかるコストの回収のために少しでも高い商品を案内するなどプッシュ型の接客となることも少なくないが、同店舗の場合はセールスを最優先した接客は行っていない。来店者が気に入った商品については、QRコードを印字した用紙を渡して、その後ECで購入するかどうかを顧客の判断に委ねるなど、来店時にストレスを感じないような接客を心がけている。
開店から一カ月が経過したが、百貨店や商業施設とは違ったプライベートに近い個室空間を設けていることや、寝具・椅子の体験をメインとした施設などが他ではあまり存在しないことなどから、順調に予約数が推移。東京近県からの来店もあり、40分~1時間程度じっくり吟味して商品を体験し、9割近い来店者がその後、ECで購入しているという。来店者としては40代の家族連れが中心で、自身で使うだけでなく高齢の両親への贈答用に購入するケースも目立つ。
同社のようなEC専業企業の場合、店舗で対応する企画やカスタマースタッフは日ごろ顧客と直接会う機会がなかったが、店舗での接客を通じてこれまでにはなかった気づきを得ることもできているようだ。とりわけ高座椅子に関しては、従来は高齢者の利用を想定した商品であったが、40代~50代でも使いたいという声を現場で多く拾うことができ、その後の新商品開発にも応用できたとしている。「会話の中でヒントが生まれる。長期的に見た時に、企画開発の精度は上がっていくと思う」(同社)とした。
今後、状況を見ながら、23区内や関西、九州などでも同様の形態の店舗を開設することを想定している。