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千趣会の「ラ・フィット」 50歳前後の悩みに照準、少し高めの商材も投入

2022年 4月28日 12:50

 千趣会は、LL~6Lまでの大きいサイズをそろえるレディースファッションカタログ「ラ・フィット」(画像(上))で、顧客に寄り添った商品開発に注力し一定の成果を得ているようだ。

 2010年に同媒体を創刊した当時は世の中に大きいサイズアパレルの店が少なかったが、今はカタログ通販会社に加えてファストファッションやEC専門ブランドなども参入し、消費者の選択肢が増えている。

 「ラ・フィット」の発行部数は約18万部で、年4回発刊している。競合が増える中、「レギュラーサイズの服と同じようにおしゃれをしたい」「もっとおしゃれなデザインにしてほしい」といった顧客の声を受け、20年春号からは「ラ・フィット」の改革に着手してデザイン性の向上に努めてきたという。

 加えて、大きいサイズの服は若い人向けのブランドが多いことから、50歳前後のベルメゾン顧客に照準を合わせ、”年齢ならではの悩み×ぽっちゃりの悩み”に応えられるブランドに舵を切ったことで、21年夏シーズンには注文件数が伸びたという。

 同社では商品モニターへのインタビューやユーザー座談会など、顧客の声を聞く機会が多いのが強みで、商品はサンプル段階から試着してもらって意見を取り入れるなど、改良を重ねている。

 「ラ・フィット」はリアル店舗を持たないものの、大きいサイズの服を自宅で気兼ねなく吟味できるのは通販の利点のひとつだ。一方でイメージ違いの購入を減らすために、通販サイト「ベルメゾンネット」の大きいサイズショップでは当該ブランドの着用モデル”ラフィコさん”が着た画像を数多く掲載している。

 価格面については、ファストファッションやEC専門ブランドと、百貨店が扱うブランドとの間の”ちょうどいい価格帯”を狙い、手ごろで品質の良い商品を開発する。

 とくに、ビッグシルエットのトレンドが続いていることもあり、トップスは大きいサイズのブランドでなくても買える場所が増えたが、パンツはフィット感も大事なため、「ラ・フィット」として単品パンツの開発に力を注いでいる。

 21年夏号に投入したヒット商品「ゆったりレギンスパンツ」(画像(下))は、ぴったりし過ぎず絶妙のゆったり感で、楽な履き心地とすっきり見えを両立させ、”レギパン”が苦手なユーザーからも支持されて毎号売れているという。

 また、昨年は情報発信の強化やユーザー同士の交流の場を設ける目的で、LINEのグループを作成して友だち以外のユーザーとも交流できる「LINEオープンチャット」をテスト。カタログ発刊の時期などには商品の率直な意見交換の場になったようで、今後もそうした場を設けることを検討している。

 課題は新規客の開拓で、現状はベルメゾン会員で大きいサイズの服を購入したユーザーにカタログを配布しているが、それ以外のアプローチ手法が手薄だという。

 新規開拓に苦戦する中、既存顧客の意見を反映して21年冬シーズンからは従来よりも少し高めの価格帯の商品を投入した結果、顧客の反応が良かったという。展開アイテム数が多い冬号と夏号で当該価格帯商品の開発を進めており、22年夏号では「安心のメードインジャパンの逸品」「大人の良質服」などと表現してワンランク上の服を提案。既存顧客のLTV向上につなげたい考えだ。

「ラ・フィット」では今後も消費者の声を商品開発に生かす方針で、パンツを中心に単品商品の育成にも取り組む。

 
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