年々拡大し続ける越境EC市場において、参加する通販企業の伴走役として欠かせないのが支援事業者の存在だ。国内とは全く異なる環境での戦いには、専門性の高い知識やノウハウが欠かせない。確実に成果につながる戦略の構築手段について、越境EC支援を手がけるサードステップの代表で、「eBay」の公認コンサルタントも務める福井牧彦代表に話を聞いた。
大学時代に月商が1000万円
――越境ECとの関わりについて。
「米国の大学に留学していた当時、授業料が払えなくなったことから、副業でeBayを始めた。スポーツチケットの転売(現在は禁止)を行い、初月に1000万円を売り上げたことで、ネットの世界の凄さを知った。その後はウェブ広告の代理店や楽天でのポイント事業などを経験し、イーベイ・ジャパンに転職。売り上げなどに悩むセラー(出店者)の話を聞くうちに、EC運用代行のニーズを感じて、独立した」
――eBayの公認コンサルタントの役割とは。
「セラー向け支援は運用代行とコンサルタントがある。海外未経験の新規セラーが中心で、特に中古品を扱うケースが多い。運用代行は、セラーの商品検品と、そのeBay形式での記入、翻訳・アップロードという一連の作業フローを整えたり、セラーごとに即したプログラムを作っている。出品後もバイヤー(買い手)への対応を全て代行し、毎月の売上状況や課題などを分析して、翌月以降の施策を設計。売り上げアップを図っている。コンサルでは、よりシンプルに分析やアドバイスまでを行う」
――これまで手掛けた事例での成果は。
「eBayでの月商0円から始めた事例では、中古カメラの会社が7カ月後に月商1000万円を達成した。まずは、検品や入力の仕方など、作業者が分かるように5回ほど現場向けの研修を実施。流入やアカウント状況を分析したところ配送料金が課題と分かったので、競合他社を見ながら調整していった。
また、中古ブランド品の会社でも、0円から1年半後には月商3000万円を達成した。すでに国内モールで1万商品の販売実績があったため、元々の商品データをいかにeBayにスムーズに移行するかに注力した。例えば、前日に国内モールに出品した5000商品のデータを翌朝に当社で受け、その日に2000商品程度までアップするという非常にスピード感のあるプログラムを構築した。加えて、海外での信頼を加速させるためにクーポンや価格交渉ができる仕組みなどeBay内の販促ツールも活用し、スマホ対応も行いながら成果を出した」
――セラーからの主な相談内容は。
「海外向けの販売フローの構築と並び、返品、関税など越境で生じるようなリスクの話が多い。海外は国内よりも返品率が高いため、対策として返品ルールの明記や頻繁に返品するバイヤーのブロックなどを勧めている。関税についても高額商品では値段の半額ほどかかる場合もあるため、高い関税となることを購入時にリマインドメールで伝え、返品の予防を図っている」
――今年度はeBayの「公認コンサルタントアワード」を受賞した。
「非常にありがたいと思う。一辺倒ではなく、セラーごとに常にカスタマイズしたサポートを提供する姿勢を評価してもらえた。
単にセラーの下請け業者としてではなく、パートナー関係を構築できるかどうかが重要。これまでの国内販売のノウハウにプラスアルファで対応しなくてはいけないため、互いに持っている力を最大限に出せるかどうかが成果を左右する」
今年の鍵は配送
――昨年の越境EC市場の振り返りと、今年の展望について。
「日本ではコロナ禍で在宅勤務により副業を行う人が増え、セラーも増加した。市場は明らかに伸びている。加えて、昨年は日本郵便の発送ができなくなり、(国際宅配便業者の)クーリエの利用が進んだ。各国に支店があり細かなフォローができるクーリエは、何かイレギュラーが起こった際に担当者との関係性で対応が変わってくる部分があるため、セラーは今まで以上に密な形でクーリエと付き合う必要がある。
また、今後についてはコロナの状況次第で(割安航空便の)エコノミー便が再び使えるようになり、選択肢がさらに広がる。配送料金は競争力に大きく反映されるため、ここでの選択が重要になる」
――eBayの市場については。
「昨年は、引き続き中古ブランド品や日本独自の高額なコレクタブル商材が好調となる中、真贋判定プログラムを導入した。また、新決済システムにより100万円以上の高額商品の取り引きも可能となった。これはセラーにとっても喉から手が出るほど欲しかった機能。これまではリスクと感じていた高額商品の取り扱いも、昨年からある程度慣れることができたため、ハードルは下がったと思う。今後は高額商品がより動いていくだろう」
――アフターコロナでの展望は。
「さらに広がると思う。コロナ禍を通じてセラーも増えて商品数が広がる中、配送環境も回復すれば、様々な国で展開するeBayにとっては競争力も上がる。より発展すると考えられる」
大学時代に月商が1000万円
――越境ECとの関わりについて。
「米国の大学に留学していた当時、授業料が払えなくなったことから、副業でeBayを始めた。スポーツチケットの転売(現在は禁止)を行い、初月に1000万円を売り上げたことで、ネットの世界の凄さを知った。その後はウェブ広告の代理店や楽天でのポイント事業などを経験し、イーベイ・ジャパンに転職。売り上げなどに悩むセラー(出店者)の話を聞くうちに、EC運用代行のニーズを感じて、独立した」
――eBayの公認コンサルタントの役割とは。
「セラー向け支援は運用代行とコンサルタントがある。海外未経験の新規セラーが中心で、特に中古品を扱うケースが多い。運用代行は、セラーの商品検品と、そのeBay形式での記入、翻訳・アップロードという一連の作業フローを整えたり、セラーごとに即したプログラムを作っている。出品後もバイヤー(買い手)への対応を全て代行し、毎月の売上状況や課題などを分析して、翌月以降の施策を設計。売り上げアップを図っている。コンサルでは、よりシンプルに分析やアドバイスまでを行う」
――これまで手掛けた事例での成果は。
「eBayでの月商0円から始めた事例では、中古カメラの会社が7カ月後に月商1000万円を達成した。まずは、検品や入力の仕方など、作業者が分かるように5回ほど現場向けの研修を実施。流入やアカウント状況を分析したところ配送料金が課題と分かったので、競合他社を見ながら調整していった。
また、中古ブランド品の会社でも、0円から1年半後には月商3000万円を達成した。すでに国内モールで1万商品の販売実績があったため、元々の商品データをいかにeBayにスムーズに移行するかに注力した。例えば、前日に国内モールに出品した5000商品のデータを翌朝に当社で受け、その日に2000商品程度までアップするという非常にスピード感のあるプログラムを構築した。加えて、海外での信頼を加速させるためにクーポンや価格交渉ができる仕組みなどeBay内の販促ツールも活用し、スマホ対応も行いながら成果を出した」
――セラーからの主な相談内容は。
「海外向けの販売フローの構築と並び、返品、関税など越境で生じるようなリスクの話が多い。海外は国内よりも返品率が高いため、対策として返品ルールの明記や頻繁に返品するバイヤーのブロックなどを勧めている。関税についても高額商品では値段の半額ほどかかる場合もあるため、高い関税となることを購入時にリマインドメールで伝え、返品の予防を図っている」
――今年度はeBayの「公認コンサルタントアワード」を受賞した。
「非常にありがたいと思う。一辺倒ではなく、セラーごとに常にカスタマイズしたサポートを提供する姿勢を評価してもらえた。
単にセラーの下請け業者としてではなく、パートナー関係を構築できるかどうかが重要。これまでの国内販売のノウハウにプラスアルファで対応しなくてはいけないため、互いに持っている力を最大限に出せるかどうかが成果を左右する」
今年の鍵は配送
――昨年の越境EC市場の振り返りと、今年の展望について。
「日本ではコロナ禍で在宅勤務により副業を行う人が増え、セラーも増加した。市場は明らかに伸びている。加えて、昨年は日本郵便の発送ができなくなり、(国際宅配便業者の)クーリエの利用が進んだ。各国に支店があり細かなフォローができるクーリエは、何かイレギュラーが起こった際に担当者との関係性で対応が変わってくる部分があるため、セラーは今まで以上に密な形でクーリエと付き合う必要がある。
また、今後についてはコロナの状況次第で(割安航空便の)エコノミー便が再び使えるようになり、選択肢がさらに広がる。配送料金は競争力に大きく反映されるため、ここでの選択が重要になる」
――eBayの市場については。
「昨年は、引き続き中古ブランド品や日本独自の高額なコレクタブル商材が好調となる中、真贋判定プログラムを導入した。また、新決済システムにより100万円以上の高額商品の取り引きも可能となった。これはセラーにとっても喉から手が出るほど欲しかった機能。これまではリスクと感じていた高額商品の取り扱いも、昨年からある程度慣れることができたため、ハードルは下がったと思う。今後は高額商品がより動いていくだろう」
――アフターコロナでの展望は。
「さらに広がると思う。コロナ禍を通じてセラーも増えて商品数が広がる中、配送環境も回復すれば、様々な国で展開するeBayにとっては競争力も上がる。より発展すると考えられる」