ZOZO(ゾゾ)は昨年10月1日に100%子会社の旧ZOZOテクノロジーズを吸収分割し、分割会社を商号変更してZOZO NEXT(ゾゾネクスト)を発足した。ゾゾグループの新規事業創出やテクノロジーの研究開発を担う同社の金山裕樹社長(=
顔写真)に、研究開発の現状やテクノロジーの可能性などについて聞いた。
――旧ZOZOテクノロジーズと比べて何が変わったのか。
「ゾゾネクストはR&Dと新規事業の創出に特化する会社。ファッション通販サイト『ゾゾタウン』の既存の開発やデザインなどソフトウェア開発の業務からは切り離され、イノベーションに集中できるのが大きな違いだ。私自身は旧ZOZOテクノロジーズでもイノベーション領域を担当したが、約400人いた社員全体のマネジメントも併せて見ていた。組織再編に伴ってR&Dとイノベーション領域以外は人も含めてゾゾに吸収されたため、マネジメント業務は減った」
――R&Dとイノベーションの特徴は。
「ゾゾネクスト発足前は、計測テクノロジーをけん引するニュージーランドのグループ会社と、AIやアルゴリズムの研究を中心に行うZOZO研究所、もうひとつは秘密の社内組織みたいなMATRIX(マトリックス)というR&D部門があった」
「マトリックスでは研究とビジネスの間というか、社会実装やPoC(概念実証)に向けて研究と実践を同時に行うようなスモールビジネスを素早く作って試してみるということをメインに取り組んでいた。それら3つの部署、組織で展開してきたR&Dやイノベーション領域をゾゾネクストとして包括している」
――ゾゾグループはファッションテック企業の先駆けだ。
「ゾゾの歴史はまさにテクノロジーの歴史だ。いち早くインターネットの可能性を見極めてファッションECを始めた。スマホシフトもうまく進んだし、『ゾゾスーツ』や『ゾゾマット』をはじめとした計測テクノロジーも提供している。ゾゾグループはファッション業界とともに歩んできたが、同時にテクノロジーをうまくマーケットに提供して成長してきた」
「ゾゾネクストとしてはタイとシンガポール、ベトナム、ニュージーランドにテクノロジー系のグループ会社があり、海外を含めて50人強のイノベーションに特化した組織を機動的に運営していく。テクノロジーの部分をより強化して、『ゾゾスーツ』を超えるスゴイものを生み出したい」
――海外との連携が大事になりそうだ。
「相当大事だ。これまで海外とは若干距離があったが、グループとして一体感を強め、新たな価値を作り出すことに力を注ぎたい。これまでの計測テクノロジーは『ゾゾスーツ』も『ゾゾマット』『ゾゾグラス』も海外のグループ会社とコラボして世の中に出してきた。日本ではビジネスの種やファッションテックを中心に研究している企業や組織は多くない。そういう意味でも海外のグループ会社との連携は重要になる」
―― ”ファッションの数値化”に引き続き取り組む。
「『ファッションの数値化』は言い換えると、コンピューターがファッションのことを理解するということ。基本的に人は毎日服を着ていて、同時に何を着るかという意思決定をしている。天候や行く場所、その時の気分などによって手持ちの服の中から選ぶ。ファッションが好きな人は別として、何を着るかの意思決定を苦手としている人は意外に多いと思う。私としては、苦手であれば機械が意思決定してあげればいい」
――研究開発プロジェクトとしてスマートテキスタイルやXR(クロスリアリティ)に着目した理由は。
「当社では、未来の日常生活に溶け込んでいる姿が想像できるものの、それがいつ来るかは分からないようなものにだけ投資しようと思っている。その未来がいつ来てもいいように準備しておくというスタンスだ」
――スマートテキスタイルについては。
「今、家電などが先行しているが、すべてのものがネットワークにつながり、ネットワーク上で受ける情報によって自らの振る舞いを変えたりとか、表示するものを変えたりしてきている。その点、服は毎日着るものなのにネットワークにつながっておらず、変だなと感じている。ネットワークにつながることで、今日は暑いから黒ではなくて白に色を変えるとか、日が昇ってきたら上着のジッパーが下がるとか、服が自動的に判断して振る舞いを変えることができたらいい」
――東大と細尾との取り組みでもそうした要素があるのか。
「コンピューターで制御できるLEDを布に織り込んでいて、ソフトウェアで模様を変える。振る舞いが変わるという点ではネットワークにはつながっていないが、紫外線が当たると布が硬くなることで、フードの形状を好きな形のままキープできたりする」
――機能性テキスタイルではなくスマートテキスタイルというのも納得できる。
「そもそもファッションはファンクションとエモーションの両面を担っている。冬に防寒するのはファンクションで、デザインや形などでこういう風に見られたいという人の感情を表現するのがエモーションだ。すでにファンクション軸の研究は進んでいるが、高付加価値テキスタイルの開発では後発」
「また、その時の気分や感情に応じて模様を変えるなど、エモーションに呼応するような表現ができる生地や服はほとんど実用化されていない。見た目や意匠性の部分でソフトウェアの力を使ってレバレッジをかける素材開発にはチャンスがあると思う」(つづく)
――旧ZOZOテクノロジーズと比べて何が変わったのか。
「ゾゾネクストはR&Dと新規事業の創出に特化する会社。ファッション通販サイト『ゾゾタウン』の既存の開発やデザインなどソフトウェア開発の業務からは切り離され、イノベーションに集中できるのが大きな違いだ。私自身は旧ZOZOテクノロジーズでもイノベーション領域を担当したが、約400人いた社員全体のマネジメントも併せて見ていた。組織再編に伴ってR&Dとイノベーション領域以外は人も含めてゾゾに吸収されたため、マネジメント業務は減った」
――R&Dとイノベーションの特徴は。
「ゾゾネクスト発足前は、計測テクノロジーをけん引するニュージーランドのグループ会社と、AIやアルゴリズムの研究を中心に行うZOZO研究所、もうひとつは秘密の社内組織みたいなMATRIX(マトリックス)というR&D部門があった」
「マトリックスでは研究とビジネスの間というか、社会実装やPoC(概念実証)に向けて研究と実践を同時に行うようなスモールビジネスを素早く作って試してみるということをメインに取り組んでいた。それら3つの部署、組織で展開してきたR&Dやイノベーション領域をゾゾネクストとして包括している」
――ゾゾグループはファッションテック企業の先駆けだ。
「ゾゾの歴史はまさにテクノロジーの歴史だ。いち早くインターネットの可能性を見極めてファッションECを始めた。スマホシフトもうまく進んだし、『ゾゾスーツ』や『ゾゾマット』をはじめとした計測テクノロジーも提供している。ゾゾグループはファッション業界とともに歩んできたが、同時にテクノロジーをうまくマーケットに提供して成長してきた」
「ゾゾネクストとしてはタイとシンガポール、ベトナム、ニュージーランドにテクノロジー系のグループ会社があり、海外を含めて50人強のイノベーションに特化した組織を機動的に運営していく。テクノロジーの部分をより強化して、『ゾゾスーツ』を超えるスゴイものを生み出したい」
――海外との連携が大事になりそうだ。
「相当大事だ。これまで海外とは若干距離があったが、グループとして一体感を強め、新たな価値を作り出すことに力を注ぎたい。これまでの計測テクノロジーは『ゾゾスーツ』も『ゾゾマット』『ゾゾグラス』も海外のグループ会社とコラボして世の中に出してきた。日本ではビジネスの種やファッションテックを中心に研究している企業や組織は多くない。そういう意味でも海外のグループ会社との連携は重要になる」
―― ”ファッションの数値化”に引き続き取り組む。
「『ファッションの数値化』は言い換えると、コンピューターがファッションのことを理解するということ。基本的に人は毎日服を着ていて、同時に何を着るかという意思決定をしている。天候や行く場所、その時の気分などによって手持ちの服の中から選ぶ。ファッションが好きな人は別として、何を着るかの意思決定を苦手としている人は意外に多いと思う。私としては、苦手であれば機械が意思決定してあげればいい」
――研究開発プロジェクトとしてスマートテキスタイルやXR(クロスリアリティ)に着目した理由は。
「当社では、未来の日常生活に溶け込んでいる姿が想像できるものの、それがいつ来るかは分からないようなものにだけ投資しようと思っている。その未来がいつ来てもいいように準備しておくというスタンスだ」
――スマートテキスタイルについては。
「今、家電などが先行しているが、すべてのものがネットワークにつながり、ネットワーク上で受ける情報によって自らの振る舞いを変えたりとか、表示するものを変えたりしてきている。その点、服は毎日着るものなのにネットワークにつながっておらず、変だなと感じている。ネットワークにつながることで、今日は暑いから黒ではなくて白に色を変えるとか、日が昇ってきたら上着のジッパーが下がるとか、服が自動的に判断して振る舞いを変えることができたらいい」
――東大と細尾との取り組みでもそうした要素があるのか。
「コンピューターで制御できるLEDを布に織り込んでいて、ソフトウェアで模様を変える。振る舞いが変わるという点ではネットワークにはつながっていないが、紫外線が当たると布が硬くなることで、フードの形状を好きな形のままキープできたりする」
――機能性テキスタイルではなくスマートテキスタイルというのも納得できる。
「そもそもファッションはファンクションとエモーションの両面を担っている。冬に防寒するのはファンクションで、デザインや形などでこういう風に見られたいという人の感情を表現するのがエモーションだ。すでにファンクション軸の研究は進んでいるが、高付加価値テキスタイルの開発では後発」
「また、その時の気分や感情に応じて模様を変えるなど、エモーションに呼応するような表現ができる生地や服はほとんど実用化されていない。見た目や意匠性の部分でソフトウェアの力を使ってレバレッジをかける素材開発にはチャンスがあると思う」(つづく)