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「ECノウハウを化粧品にも」【Hameeの水島育大社長に聞く 化粧品事業参入のわけ㊤】 市場の変化はシェア拡大チャンス

2022年 1月27日 13:00

 Hamee(=ハミィ)が化粧品ブランド「ByUR(バイユア)」を立ち上げ、化粧品事業に参入した。近年、若年層を中心に韓国コスメがブームとなっており、若年層にファンが多いオリジナルのスマートフォンケースブランド「iFace」と親和性が高いとみられるほか、販売チャネルや営業マーケティングノウハウを活用できることから、参入を決めたという。2021年7月、社長に就任した水島育大氏に、新ビジネスの勝算を聞いた。
 







 ――いつから化粧品事業への参入を検討しはじめたのか。

 「2016年にiPhoneケースの人気ブランド『iFace』シリーズの商標権を韓国メーカーから取得したが、日本市場で自分たちのブランドとして展開し、ブランディングやマーケティングを行ったことで、特に若い女性に浸透していった。『これはいける』と実感しはじめた頃から『iFaceをスマホケースだけで終わらせるのはもったいない。他のジャンルにもブランドを使えるはず』と考えはじめて、他のカテゴリーへの進出も視野に入れた。それが2、3年前の話だ。韓国で企画・開発し、日本で販売・マーケティングを行う形だが、実際にプロジェクトがスタートしたのは2021年の夏となる」

 ――化粧品、特に韓国コスメというジャンルを選んだ理由は。

 「iFaceのメインユーザーは10代後半から20代前半の女性。日本の化粧品市場自体はさほど伸びていないが、韓国コスメは数年前からかなり注目されており、相当な勢いで伸びていた。財務省の貿易統計によれば、韓国からの輸入化粧品は16年頃から急激に伸びており、20年の韓国からの輸入額は約500億円で、フランスに次ぐ2位となっている。これまでスマホケースのiFaceにおいても、日本市場の環境などをしっかりと韓国にフィードバックしながら、韓国のデザイナーや開発者たちが試行錯誤し、韓国のトレンドを活かした上で、日本の消費者にあわせた商品を販売してきた。こうしたやり方を日本の化粧品市場でも展開できるのではないかと思った」

 ――全くの異分野への参入なので、苦労したことも多かったのでは。

 「コロナ禍で消費者のニーズがどんどん変わっていった点に苦労した。皆が外に出る機会が少なくなり、必ずマスクをしている。華やかに見せるメイクアップ商材よりは、肌に優しい化粧品や、スキンケアなどのお金を使うようになっている。また、これまでは店舗でタッチアップしてから化粧品を買う、というケースが主流だったが、コロナ禍を受けて指名買いが多くなっている。こうした購買行動の変化を意識した。当社は創業時からネット販売を手掛けてきて、そこにはノウハウがあるし、スマホケースの卸販売で雑貨を扱う量販店との付き合いがある。これが化粧品市場に参入する上で強みとなっている」

 ――コロナ禍で化粧品そのものの需要が落ちるという懸念はなかったのか。

 「あるにはあったが、逆にコロナ禍で消費者のニーズが変わるというのは、当社にしてみれば入り込む大きなチャンスになる。化粧品市場は競争環境が厳しいので、今ある市場に食い込むためには相当な販促費を投下しなければいけない。しかし、市場が大きく変化するタイミングであれば、もちろん宣伝費は必要にしても、シェアを伸ばすチャンスはより大きくなるのではないかと思っている。特に韓国コスメに関しては、日本市場で展開している韓国メーカーもいくつかあるが、体制をしっかりと築けているところは少ないのではないか。そういった面からも当社にチャンスがある」

 ――販促に関しては、どのような展開を考えているのか。

 「有名なモデルやクリエイターを採用したウェブCMの展開や、ユーチューバーと商品のレビュータイアップを実施したり、インフルエンサーによるSNS投稿などだ。また、大手美容ウェブメディアとのタイアップも検討している。スマホケースはそこまで大きな広告宣伝費を投下するビジネスモデルではなかったが、化粧品に関してはしっかり投資しながら、シェアを取っていく」

 ――iFaceの認知度はどの程度なのか。

 「日本マーケティングリサーチ機構が20年2月に実施した、スマホケースに関するインターネット調査では、3部門で1位になるなど、かなり高くなっている。iFaceのコンセプトは『By Your Side』。これには、人生のさまざまな瞬間を一緒にいるパートナーである、という意味を込めている。今回の化粧品のブランド名は『バイユア』だ。iFaceのスマホケースが、いつもその人の身近な存在であるように、化粧品ブランドも『ビューティーメイト』として、ユーザーの輝く瞬間に一緒にいる、というコンセプトとなる」

 ――店舗販売は。

 「まずはロフトからスタートする。その他の店舗についても、世界観が一致するようなところを中心に、置いてもらえるようにしていく」(つづく)

 
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