「スタッフスタート」は、店舗スタッフによるコーディネート投稿やレビュー投稿などを通じて自社ECやSNS上で全国の顧客に接客ができる”スタッフテックサービス”だ。投稿を介した自社EC売り上げが可視化されるため、店頭販売員のモチベーション向上に貢献するだけでなく、人事評価にも反映できる。昨今は主力のアパレル業界に加え、食品や雑貨、家具などにも導入先が広がっている。同サービスを展開するバニッシュ・スタンダードの小野里寧晃CEOに開発の背景や戦略などを聞いた。
ーー5年ほど前に「スタッフスタート」を開発した。
「当時は誰も彼もがオムニチャネルやO2Oと言っていたが、どの企業もできていないと思っていた。『お客様との接点や提供するサービス水準は実店舗もECも一緒であるべき』というスローガンのもと、アパレル企業などは実店舗とECの在庫連携と会員ID連携に億単位の投資をした。データ連携によってオンラインでもオフラインでも消費者を受けられるようにしたが、コア顧客しかオムニチャネル化しなかった」
ーーEC利用は進んだ。
「その通りで、データ連携で進んだのはEC利用が中心だった。本音としてはEC利用者を店舗に呼びたいはずが、店頭顧客のEC利用が進んだ。店頭スタッフは『ECにお客様をとられた』と感じていたと思う」
「オムニ化の失敗はECだけが強化されたこと。ECユーザーにメルマガで実店舗への来店を促したり、ブランドサイトと通販サイトを統合してオンライン上の入り口をひとつにしたり、本当にいろいろなことをしたが、EC利用者の店舗送客は難しかった」
ーーそうした中で「スタッフスタート」を始動した。
「実店舗で来店客が望んでいる服のサイズやカラーがないときに、スタッフが胸を張って『通販サイトに在庫があります』と言えないとダメだ。そういうホスピタリティがないとお客様はブランドのファンにはならない。他店にある在庫を取り寄せるために数日後の再来店をお願いするようでは、顧客ファーストではない」
「ただ、それはECに送客してもスタッフにもお店にも成績が残らないからで、『スタッフスタート』を活用すればしっかりカウントされるため、胸を張ってECに送客できる。ECユーザーを店頭に呼ぶにはまず、店頭でも『ECはいいですよ』と肯定することが大事で、そういう循環を作ることこそオムニ化の第一歩だと考えた」
ーー有力企業がこぞってデータ連携に着手したことも大きい。
「実店舗とECのデータ連携自体は悪くないが、基幹システムまでつながっておらず、お客様が行き来しづらい状況だった。オムニ化に向けた下準備にはなったが、その後の具体的な施策が打てなかった。そこに、『スタッフスタート』という仕組みを提供したら刺さった」
ーー導入が進んだきっかけは。
「やはり効果が出たことだ。『スタッフスタート』は店頭販売員が投稿した画像経由の自社EC売り上げを可視化できるが、非常に大きな金額が『スタッフスタート』経由で売れたことで注目度が集まった。今では月間1億円を『スタッフスタート』経由で販売する店舗スタッフもいる」
ーーオンライン上の接客にもさまざまなツールがある。
「5年前の状況を考えると、リアルタイムで顧客対応を行うのではなく、店舗スタッフが隙間時間にコーディネート画像を投稿できる仕組みが受け入れられやすいと思った。今はアパレル企業の多くがコーデ画像の撮影や投稿に慣れ、ライブ配信を含めた動画撮影も定着しつつある中で、『スタッフスタート』も自社ECに簡単に動画コンテンツを投稿できる機能『プレイ』も提供している」
ーー導入する業界が広がっている。
「当初からアパレル業界以外への導入も想定していたが、まずは戦略的にアパレル企業への導入を目指した。というのも、アパレルのスタッフはインフルエンサーになりやすく、顧客をファンにできる素質を持ち合わせているからだ。他の業界では、接客レベルは高くても顧客が店舗スタッフのSNSをフォローする姿は想像しにくかったので、アパレルでお手本を作って他業界に見てもらう方がいいと思った」
「いまは『LINE』の公式アカウントを通じて、店舗スタッフが友だち追加した顧客に商品やコーデなどの紹介ができる『LINEスタッフスタート』を始めていて、他業界の店頭販売員もオンライン接客を行いやすくした」
ーー外部サービスとの連携も進めている。
「CRI・ミドルウェアさんの画像軽量化ツール『スマートJPEG』とのサービス連携を始めた。CRIさんとは、彼らのウェブ動画ソリューション『CRIライブアクト』を活用させてもらっていて、『スタッフスタート』の動画投稿機能『プレイ』を展開している」
ーー「スマートJPEG」とのサービス連携による利点は。
「『スタッフスタート』の導入企業は、投稿した画像の画質を損なわずに画像容量を下げて自社ECに掲載できるようになった。そのため、当社が提供する画像を表示する画面の表示速度が速くなった。データ転送コストは導入前と比べて3割くらい削減できていて、すごく助かっている」
ーー画像が多いとサイトの表示速度にも影響する。
「コロナ禍でECシフトが進む中、アパレル企業などは自ECの画像を充実させたり、『スタッフスタート』を介したコーデ投稿を増やしたりしていて、サイトの表示スピードに影響が出ることもあるが、コーデ画像は自動的に軽くできる」
ーー次の一手は。
「『スタッフスタート』でEC売り上げを伸ばすだけでなく、実店舗の集客につなげることが大事だと思っていて、そのために何をすべきかを検討している。実店舗だからこそ提供できる体験価値に貢献していきたい」
ーー5年ほど前に「スタッフスタート」を開発した。
「当時は誰も彼もがオムニチャネルやO2Oと言っていたが、どの企業もできていないと思っていた。『お客様との接点や提供するサービス水準は実店舗もECも一緒であるべき』というスローガンのもと、アパレル企業などは実店舗とECの在庫連携と会員ID連携に億単位の投資をした。データ連携によってオンラインでもオフラインでも消費者を受けられるようにしたが、コア顧客しかオムニチャネル化しなかった」
ーーEC利用は進んだ。
「その通りで、データ連携で進んだのはEC利用が中心だった。本音としてはEC利用者を店舗に呼びたいはずが、店頭顧客のEC利用が進んだ。店頭スタッフは『ECにお客様をとられた』と感じていたと思う」
「オムニ化の失敗はECだけが強化されたこと。ECユーザーにメルマガで実店舗への来店を促したり、ブランドサイトと通販サイトを統合してオンライン上の入り口をひとつにしたり、本当にいろいろなことをしたが、EC利用者の店舗送客は難しかった」
ーーそうした中で「スタッフスタート」を始動した。
「実店舗で来店客が望んでいる服のサイズやカラーがないときに、スタッフが胸を張って『通販サイトに在庫があります』と言えないとダメだ。そういうホスピタリティがないとお客様はブランドのファンにはならない。他店にある在庫を取り寄せるために数日後の再来店をお願いするようでは、顧客ファーストではない」
「ただ、それはECに送客してもスタッフにもお店にも成績が残らないからで、『スタッフスタート』を活用すればしっかりカウントされるため、胸を張ってECに送客できる。ECユーザーを店頭に呼ぶにはまず、店頭でも『ECはいいですよ』と肯定することが大事で、そういう循環を作ることこそオムニ化の第一歩だと考えた」
ーー有力企業がこぞってデータ連携に着手したことも大きい。
「実店舗とECのデータ連携自体は悪くないが、基幹システムまでつながっておらず、お客様が行き来しづらい状況だった。オムニ化に向けた下準備にはなったが、その後の具体的な施策が打てなかった。そこに、『スタッフスタート』という仕組みを提供したら刺さった」
ーー導入が進んだきっかけは。
「やはり効果が出たことだ。『スタッフスタート』は店頭販売員が投稿した画像経由の自社EC売り上げを可視化できるが、非常に大きな金額が『スタッフスタート』経由で売れたことで注目度が集まった。今では月間1億円を『スタッフスタート』経由で販売する店舗スタッフもいる」
ーーオンライン上の接客にもさまざまなツールがある。
「5年前の状況を考えると、リアルタイムで顧客対応を行うのではなく、店舗スタッフが隙間時間にコーディネート画像を投稿できる仕組みが受け入れられやすいと思った。今はアパレル企業の多くがコーデ画像の撮影や投稿に慣れ、ライブ配信を含めた動画撮影も定着しつつある中で、『スタッフスタート』も自社ECに簡単に動画コンテンツを投稿できる機能『プレイ』も提供している」
ーー導入する業界が広がっている。
「当初からアパレル業界以外への導入も想定していたが、まずは戦略的にアパレル企業への導入を目指した。というのも、アパレルのスタッフはインフルエンサーになりやすく、顧客をファンにできる素質を持ち合わせているからだ。他の業界では、接客レベルは高くても顧客が店舗スタッフのSNSをフォローする姿は想像しにくかったので、アパレルでお手本を作って他業界に見てもらう方がいいと思った」
「いまは『LINE』の公式アカウントを通じて、店舗スタッフが友だち追加した顧客に商品やコーデなどの紹介ができる『LINEスタッフスタート』を始めていて、他業界の店頭販売員もオンライン接客を行いやすくした」
ーー外部サービスとの連携も進めている。
「CRI・ミドルウェアさんの画像軽量化ツール『スマートJPEG』とのサービス連携を始めた。CRIさんとは、彼らのウェブ動画ソリューション『CRIライブアクト』を活用させてもらっていて、『スタッフスタート』の動画投稿機能『プレイ』を展開している」
ーー「スマートJPEG」とのサービス連携による利点は。
「『スタッフスタート』の導入企業は、投稿した画像の画質を損なわずに画像容量を下げて自社ECに掲載できるようになった。そのため、当社が提供する画像を表示する画面の表示速度が速くなった。データ転送コストは導入前と比べて3割くらい削減できていて、すごく助かっている」
ーー画像が多いとサイトの表示速度にも影響する。
「コロナ禍でECシフトが進む中、アパレル企業などは自ECの画像を充実させたり、『スタッフスタート』を介したコーデ投稿を増やしたりしていて、サイトの表示スピードに影響が出ることもあるが、コーデ画像は自動的に軽くできる」
ーー次の一手は。
「『スタッフスタート』でEC売り上げを伸ばすだけでなく、実店舗の集客につなげることが大事だと思っていて、そのために何をすべきかを検討している。実店舗だからこそ提供できる体験価値に貢献していきたい」