ZOZO(ゾゾ)は11月1日、ファッション通販サイト「ゾゾタウン」と取引先ブランドの実店舗をシームレスつなぐOMOプラットフォーム「ZOZOMO(ゾゾモ)」をスタートした。新たなサービスとして、「ゾゾタウン」上でブランド実店舗の在庫確認と在庫取り置きができるサービスを始めたほか、ブランド店舗スタッフの販売サポートツールとして「FAANS(ファーンズ)」を開発し、普及拡大を図る。
「ゾゾタウン」上でブランド実店舗商品の在庫確認と取り置き注文ができるサービスは11月1日に始動。ユナイテッドアローズやシップス、F・O・インターナショナルなど大手セレクトショップをはじめとするブランドの店舗在庫が分かるほか、店頭に在庫のある商品は取り置きを依頼できる(
画像はイメージ)。
普段からカタログ代わりに「ゾゾタウン」を利用してファッションアイテムを探している消費者にとっては、企業やブランドの枠を越えて気になる商品の店頭在庫が確認できる。また、ECで服を買うことに抵抗のある人も、店頭在庫の有無を確認した上で取り置きを依頼でき、実店舗で試着をした上で店頭決済となるため、安心して買い物ができる。
当該サービスに参加するブランド側にとっては、ゾゾユーザーを実店舗に集客できるほか、リアルの接客を行うことで合わせ買いなども期待できる。
ゾゾにとっては、顧客の購買行動が「ゾゾタウン」からアパレル実店舗に移る可能性があるものの、店舗在庫を表示したり、取り置きサービスを行う「ゾゾタウン」の便利さをより多くの消費者に知ってもらうことで、「長期的な視点ではトラフィックの拡大に寄与する」(澤田宏太郎社長兼CEO)と見ているほか、取り置きした商品が店頭で購入された際にブランドから手数料を得る仕組みだ(※スタート時は手数料無料)。
サービス開始時の対象ブランド数は非公開だが、全国で約700店舗が対応。今後は参加ブランドと対象店舗の拡大を図る。
一方、ショップスタッフの販売サポートツール「FAANS」については、ローンチ時は「ゾゾタウン」上で実店舗の在庫取り置きを希望したユーザーへの対応を、ショップスタッフが「FAANS」上の簡単操作で完結できる機能を導入した。
今後は、同ツールを通じた「コーディネート投稿機能」や、投稿コーデ経由の売り上げを可視化する「成果確認機能」のリリースを予定するほか、ライブ配信やオンライン接客機能などについても検討していく。
また、「ゾゾモ」のプラットフォームには2019年5月に始めた「フルフィルメント バイ ゾゾ」も含まれている。同サービスでは、「ゾゾタウン」の在庫とブランド自社ECの在庫を一元管理することで、欠品による販売機会の損失を最小化できる。
今後、「フルフィルメント バイ ゾゾ」を利用するアパレル企業が店舗在庫表示と取り置きサービスにも対応すれば、ECチャネルの在庫がなくても実店舗に送客できるため、販売機会ロスはさらに低減できるという。
店頭販売員の売上拡大に貢献、時代に即した支援を強化
<風間本部長に聞く ゾゾのOMO支援策>
「ゾゾタウン」とブランド実店舗をつなぐOMOプラットフォーム「ZOZOMO(ゾゾモ)」の責任者を務める風間昭男ブランドソリューション本部長(=
顔写真)に今回のサービス開発の思いや狙いなどを聞いた。
――ゾゾユーザーをアパレル店頭に送客するという思い切ったサービスを始める。
「これまで、『ゾゾタウン』を訪問したお客様をブランドさんの実店舗に送客するということはしてこなかったが、今回、初めてそこにメスを入れた。サイト訪問者が『ゾゾタウン』で商品を見てそのまま実店舗に行くことを”良し”としていて、当社にとっても大きな分岐点になる」
――サービス開始の背景は。
「以前と比べてECチャネルと実店舗をどちらも使う消費者が増えている中で、当社としてもECとリアルの垣根をなくすOMOの取り組みを推進することで、ブランドさんの実店舗の売り上げを支援し、時代や消費者のニーズに応えていく」
――取り置きサービスの実現に向けて、ショップスタッフ用のアプリ「FAANS」を開発した。
「『FAANS』はショップスタッフさんのコーディネート写真を『ゾゾタウン』上に簡単に投稿できる機能をメインに開発したが、最初の機能として取り置きサービスに対応した」
――「FAANS」の操作性は。
「当社にはアパレルの店長や販売員の経験者も多く、そうしたスタッフの知見を生かすことで、販売員さんが接客の隙間時間にスムーズに在庫取り置き対応ができるような、使いやすい設計になっている」
――店舗在庫表示と取り置きサービスは全国約700店舗でスタートする。
「取り置きサービスは店頭決済となり、販売員さんにとってもこのサービスに対応すればするほど自身の成績につながるため、興味を持って頂けるブランドさんは多い」
「セール期間中などは取り置きに対応することで売り逃しリスクもあるため、ブランドさんがアイテムごとに取り置き可能商品を決められるし、ひとりのお客様が取り置きできる点数も制限をかけられる」
――取り置きサービスの手順は。
「お客様が『ゾゾタウン』で取り置き注文のボタンを押すと、店頭販売員さんの『FAANS』アプリにお知らせが届く。販売員さんは取り置き注文の入った商品を確保し、確保済みボタンを押すと『ゾゾタウン』を経由してお客様に通知が届き、一緒に二次元コードも発行される」
「お客様が店舗に来店したら、販売員さんは『FAANS』アプリで二次元コードを読み取って、お客様が取り置きした商品に間違いがないか確認する流れだ」
――消費者にとっても便利だ。
「企業やブランドを横断して実店舗の在庫が確認できるメリットは大きい。また、『ゾゾタウン』で在庫切れの商品であっても実店舗の在庫を取り置きすることができる」
――サービスの優位性は。
「ブランドさんの中には自社ECで取り置きサービスなどを提供している会社もあるが、当社のサービスはコスト面でも作業負荷の面でもかなり楽に導入できると思う。また、トラフィック数が圧倒的に多い『ゾゾタウン』を通じて取り置きサービスを提供できるメリットは大きい」
――ブランド側が在庫表示と取り置きサービスを導入するのに必要なことは。
「店頭在庫のデータと、お客様に取り置き店舗の場所を案内するのに必要な住所を入力してもらう必要がある。店頭在庫のデータはシステム連携を行う方法のほかに、CSVで管理画面に上げられる仕組みもある」
――マネタイズについては。
「取り置き注文された商品が店頭で購入されれば商品価格に応じた手数料を得る形だが、まずローンチ時は手数料無料でスタートしている」
――導入ショップ数などの目標は。
「全国約700店舗で始動したが、早々に一桁上の導入店舗数を見込んでいるし、中長期的にはすべての『ゾゾタウン』出店ブランドさんへの導入を目指す」
――ECでは買い物をしない層にも「ゾゾタウン」を利用してもらう。
「これまでも『ゾゾタウン』をカタログ代わりに見て、購入はお店でという人も多かったと思う。そういう人にもサービス提供していくことが、これからの時代に求められる姿だ。当社が目指す、『ファッションの”こと”ならZOZO』という戦略にも合致する」
――「買う」以外のトラフィック拡大にもつながるのか。
「取り置きサービスで『ゾゾタウン』のトラフィックが増えるというよりも、アパレル実店舗の在庫が『ゾゾタウン』上で確認できることの方がインパクトは大きい。これまで服を買う以外の目的では『ゾゾタウン』を訪問しなかった人にも見てもらえるようになる」
「今後、『FAANS』では店頭販売員さんのコーディネート写真を『ゾゾタウン』と『ウェア』の両方に、簡単に投稿できる機能を追加することで、『ゾゾタウン』の商品詳細ページの充実化が図れるし、訪問者増に寄与すると見ている」
――店舗在庫表示と取り置きサービスに参加しないショップでもコーデ投稿機能は利用できるのか。
「もちろんできる。取り置きサービスもブランドさんのペースに合わせて1店舗から始めて徐々に増やしてもらえればいい」
――「FAANS」の機能追加は。
「LIVE配信やオンライン接客といった機能もブランドさんのニーズを確認しながら検討していく」
――「ゾゾモ」のプラットフォームについては。
「『ゾゾモ』についてはさらなる機能を開発してブランドさんのOMO推進をサポートしていく。開発に着手しているわけではないが、例えば販売員さん向けの機能として、『ゾゾタウン』のレコメンドエンジンを使って接客時にそのブランドさんの商品をもう1点おすすめするなど、当社のビッグデータで販売員さんの接客をサポートすることもできるのではないか」
「ゾゾタウン」上でブランド実店舗商品の在庫確認と取り置き注文ができるサービスは11月1日に始動。ユナイテッドアローズやシップス、F・O・インターナショナルなど大手セレクトショップをはじめとするブランドの店舗在庫が分かるほか、店頭に在庫のある商品は取り置きを依頼できる(画像はイメージ)。
普段からカタログ代わりに「ゾゾタウン」を利用してファッションアイテムを探している消費者にとっては、企業やブランドの枠を越えて気になる商品の店頭在庫が確認できる。また、ECで服を買うことに抵抗のある人も、店頭在庫の有無を確認した上で取り置きを依頼でき、実店舗で試着をした上で店頭決済となるため、安心して買い物ができる。
当該サービスに参加するブランド側にとっては、ゾゾユーザーを実店舗に集客できるほか、リアルの接客を行うことで合わせ買いなども期待できる。
ゾゾにとっては、顧客の購買行動が「ゾゾタウン」からアパレル実店舗に移る可能性があるものの、店舗在庫を表示したり、取り置きサービスを行う「ゾゾタウン」の便利さをより多くの消費者に知ってもらうことで、「長期的な視点ではトラフィックの拡大に寄与する」(澤田宏太郎社長兼CEO)と見ているほか、取り置きした商品が店頭で購入された際にブランドから手数料を得る仕組みだ(※スタート時は手数料無料)。
サービス開始時の対象ブランド数は非公開だが、全国で約700店舗が対応。今後は参加ブランドと対象店舗の拡大を図る。
一方、ショップスタッフの販売サポートツール「FAANS」については、ローンチ時は「ゾゾタウン」上で実店舗の在庫取り置きを希望したユーザーへの対応を、ショップスタッフが「FAANS」上の簡単操作で完結できる機能を導入した。
今後は、同ツールを通じた「コーディネート投稿機能」や、投稿コーデ経由の売り上げを可視化する「成果確認機能」のリリースを予定するほか、ライブ配信やオンライン接客機能などについても検討していく。
また、「ゾゾモ」のプラットフォームには2019年5月に始めた「フルフィルメント バイ ゾゾ」も含まれている。同サービスでは、「ゾゾタウン」の在庫とブランド自社ECの在庫を一元管理することで、欠品による販売機会の損失を最小化できる。
今後、「フルフィルメント バイ ゾゾ」を利用するアパレル企業が店舗在庫表示と取り置きサービスにも対応すれば、ECチャネルの在庫がなくても実店舗に送客できるため、販売機会ロスはさらに低減できるという。
店頭販売員の売上拡大に貢献、時代に即した支援を強化
<風間本部長に聞く ゾゾのOMO支援策>
「ゾゾタウン」とブランド実店舗をつなぐOMOプラットフォーム「ZOZOMO(ゾゾモ)」の責任者を務める風間昭男ブランドソリューション本部長(=顔写真)に今回のサービス開発の思いや狙いなどを聞いた。
――ゾゾユーザーをアパレル店頭に送客するという思い切ったサービスを始める。
「これまで、『ゾゾタウン』を訪問したお客様をブランドさんの実店舗に送客するということはしてこなかったが、今回、初めてそこにメスを入れた。サイト訪問者が『ゾゾタウン』で商品を見てそのまま実店舗に行くことを”良し”としていて、当社にとっても大きな分岐点になる」
――サービス開始の背景は。
「以前と比べてECチャネルと実店舗をどちらも使う消費者が増えている中で、当社としてもECとリアルの垣根をなくすOMOの取り組みを推進することで、ブランドさんの実店舗の売り上げを支援し、時代や消費者のニーズに応えていく」
――取り置きサービスの実現に向けて、ショップスタッフ用のアプリ「FAANS」を開発した。
「『FAANS』はショップスタッフさんのコーディネート写真を『ゾゾタウン』上に簡単に投稿できる機能をメインに開発したが、最初の機能として取り置きサービスに対応した」
――「FAANS」の操作性は。
「当社にはアパレルの店長や販売員の経験者も多く、そうしたスタッフの知見を生かすことで、販売員さんが接客の隙間時間にスムーズに在庫取り置き対応ができるような、使いやすい設計になっている」
――店舗在庫表示と取り置きサービスは全国約700店舗でスタートする。
「取り置きサービスは店頭決済となり、販売員さんにとってもこのサービスに対応すればするほど自身の成績につながるため、興味を持って頂けるブランドさんは多い」
「セール期間中などは取り置きに対応することで売り逃しリスクもあるため、ブランドさんがアイテムごとに取り置き可能商品を決められるし、ひとりのお客様が取り置きできる点数も制限をかけられる」
――取り置きサービスの手順は。
「お客様が『ゾゾタウン』で取り置き注文のボタンを押すと、店頭販売員さんの『FAANS』アプリにお知らせが届く。販売員さんは取り置き注文の入った商品を確保し、確保済みボタンを押すと『ゾゾタウン』を経由してお客様に通知が届き、一緒に二次元コードも発行される」
「お客様が店舗に来店したら、販売員さんは『FAANS』アプリで二次元コードを読み取って、お客様が取り置きした商品に間違いがないか確認する流れだ」
――消費者にとっても便利だ。
「企業やブランドを横断して実店舗の在庫が確認できるメリットは大きい。また、『ゾゾタウン』で在庫切れの商品であっても実店舗の在庫を取り置きすることができる」
――サービスの優位性は。
「ブランドさんの中には自社ECで取り置きサービスなどを提供している会社もあるが、当社のサービスはコスト面でも作業負荷の面でもかなり楽に導入できると思う。また、トラフィック数が圧倒的に多い『ゾゾタウン』を通じて取り置きサービスを提供できるメリットは大きい」
――ブランド側が在庫表示と取り置きサービスを導入するのに必要なことは。
「店頭在庫のデータと、お客様に取り置き店舗の場所を案内するのに必要な住所を入力してもらう必要がある。店頭在庫のデータはシステム連携を行う方法のほかに、CSVで管理画面に上げられる仕組みもある」
――マネタイズについては。
「取り置き注文された商品が店頭で購入されれば商品価格に応じた手数料を得る形だが、まずローンチ時は手数料無料でスタートしている」
――導入ショップ数などの目標は。
「全国約700店舗で始動したが、早々に一桁上の導入店舗数を見込んでいるし、中長期的にはすべての『ゾゾタウン』出店ブランドさんへの導入を目指す」
――ECでは買い物をしない層にも「ゾゾタウン」を利用してもらう。
「これまでも『ゾゾタウン』をカタログ代わりに見て、購入はお店でという人も多かったと思う。そういう人にもサービス提供していくことが、これからの時代に求められる姿だ。当社が目指す、『ファッションの”こと”ならZOZO』という戦略にも合致する」
――「買う」以外のトラフィック拡大にもつながるのか。
「取り置きサービスで『ゾゾタウン』のトラフィックが増えるというよりも、アパレル実店舗の在庫が『ゾゾタウン』上で確認できることの方がインパクトは大きい。これまで服を買う以外の目的では『ゾゾタウン』を訪問しなかった人にも見てもらえるようになる」
「今後、『FAANS』では店頭販売員さんのコーディネート写真を『ゾゾタウン』と『ウェア』の両方に、簡単に投稿できる機能を追加することで、『ゾゾタウン』の商品詳細ページの充実化が図れるし、訪問者増に寄与すると見ている」
――店舗在庫表示と取り置きサービスに参加しないショップでもコーデ投稿機能は利用できるのか。
「もちろんできる。取り置きサービスもブランドさんのペースに合わせて1店舗から始めて徐々に増やしてもらえればいい」
――「FAANS」の機能追加は。
「LIVE配信やオンライン接客といった機能もブランドさんのニーズを確認しながら検討していく」
――「ゾゾモ」のプラットフォームについては。
「『ゾゾモ』についてはさらなる機能を開発してブランドさんのOMO推進をサポートしていく。開発に着手しているわけではないが、例えば販売員さん向けの機能として、『ゾゾタウン』のレコメンドエンジンを使って接客時にそのブランドさんの商品をもう1点おすすめするなど、当社のビッグデータで販売員さんの接客をサポートすることもできるのではないか」