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日本ユニシス OMOコマースに最適化、「OBD」店舗連携機能も充実

2021年 8月26日 12:05

 日本ユニシスでは、OMOコマース事業を展開する小売・通販事業者をオールインワンで支援するサービス「Omni-Base for DIGITAL'ATELIER(オムニベース・フォー・デジタラトリエ)(以下OBD)」の提供を開始した。ワールドが保有・利用し、同社グループのファッション・コ・ラボがアパレル業界を中心に提供しているソリューション「Omni-Base(オムニベース)」のライセンスを日本ユニシスに提供し、独自機能を追加した、SaaS型のシステムだ。

 日本ユニシスでは、新サービスのブランド「DIGITAL'ATELIER(デジタラトリエ)」を展開している。同社は企業の情報システムを一貫して請け負うSIビジネスを中心に展開しているが、新ブランドは流通事業者に対して「できあい」のサービスを提供していくというもの。SI型ビジネスは「顧客に言われたものを作る」ため、増え続ける新たな要求に応えるためのシステム投資は膨張する一方になりがちだ。いざシステムを刷新しようとしても数年かかったり、多数の人員をつぎ込まなければいけなくなったりしてしまう。

 デジタラトリエは、従来型のシステム投資を改め、事業の売り上げ拡大に寄与するための「システムに合わせて業務を変革するシステム投資」をコンセプトに掲げる、これまでのように「業務に合わせたシステムを時間とコストをかけて追求する」のではなく「システムを利用する」という考え方だ。ノンカスタマイズなため、従来型とは比較にならない低価格・短開発期間で利用可能。さらに、企業独自のバージョンアップコストがかからないほか、市場が求める機能が追加投資なく利用できるのもメリットとなる。

 とはいえ、これまでSIビジネスを手掛けてきた日本ユニシスが、事業者目線で必要な機能を選定するのはハードルが高い。ただ、同システムはワールドが開発したもので、同社の小売り事業者としてのノウハウに加え、日本ユニシスが40年間通販事業者のシステム開発に携わってきたノウハウも詰め込まれている。SaaSとシステム運用サービスがセットとなり、保守切れ対応や機能追加投資も不要。ワールドが保有するソリューションとも連携しているため、例えばワールドが提供するPOSシステムなども利用することができる。

 事業者は、すでにサービスを利用している企業の業務運用事例を参考に、2000~3000ある機能の中から選択。足りない機能に関しては、サービスに影響しない形でバージョンアップ時に追加されるが、事業者の要望をもとに日本ユニシスが仕様を決定する。

 OBDのターゲットは年商10億円以上の通販実施企業。店舗とECを連携させたり、複数ストアを立ち上げたり、仮想モールを活用したり、さまざまな販売チャネルを活用して売り上げ拡大を図る、ファッション企業にとって最適なシステムだ。費用は5年間の総額で3億円~が目安となる。すでに大手ファッション企業への導入が決まっており、来春から稼働する予定だ。

 では、ファッション通販企業にとってのメリットは何か。OBDはもともとファッション・コ・ラボが自社のECモールで利用していたため、さまざまなブランドの商品を、いろいろな方法で販売することができる。ブランドを複数保有している場合、仮想モール型で販売することができると同時に、個別のサイトとして販売することも可能だ。複数サイトを立ち上げて同じ商品を扱うような場合でも、1つの商品の在庫を共通化するなど、効率良く運用するための機能も充実している。

 ブランドによっては、ファッションだけではなく雑貨や食品なども扱うケースもある。こうした場合でも、自社商品はもとより他社商品を取り扱うための、多様な取引(仕入れ条件や販売方法)に対応する。基幹システムを通さずに商売し、最終的に反映させることができるので、新しいジャンルの商材を扱うような場合でも柔軟でスピーディーな対応が可能となる。

 事業者ごとのカスタマイズは認めていないものの、ECフロントのデザイン、機能の自由度・カスタマイズ性は高くなっている。通常、デザインを大幅に変更する場合、プログラムを修正しなければいけないので、システム側の対応が必要になる。OBDの場合、修正したHTMLをサーバーが読み込み、HTMLで指定したテンプレート通りに表示することができるため、制作サイドだけで気軽にデザインを変えることも可能だ。

 加えて、バージョンアップが無償である点もメリットとなる。決済手法や商品の引き渡し方法など「競争の激しいオムニチャネル領域において、他の企業にさきがけて、いろいろなことにチャレンジしたい」という要望に応えられるシステムとなっている。

 店舗との連携に関しては、店舗の在庫確認、店舗からのEC倉庫在庫引き当て、ECからの店舗在庫引き当てといった基本的な部分はもちろんのこと、店舗・ECの共通のクーポン発行、キャンペーン開催などもできる。在庫切れの場合でも、メーカーの在庫を確認し、注文があったらすぐに取り寄せ、店舗・ECの区別なく販売ができる。

 さらには、企業の業態に応じて、店舗システムとつなぐAPIを提供したり、連携させたりするためのアプリケーションそのものも提供可能だ。ユーザー向けの会員アプリも制作できる。
 
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