auコマース&ライフ(=auCL)が運営する仮想モール「auPAYマーケット」では、アプリ内のサービス「ライブTV」において、ライブコマースを展開している。今年3月からは、吉本興業のお笑い芸人が商品を紹介するライブコマース番組「生配信!よしもと市場」を始めるなど、新たなチャレンジを試みている。
吉本興業と連携した「生配信!よしもと市場」は、月に6~7本を配信している。また、毎月「3の付く日」に行う「三太郎の日」でも特別番組を配信。auCLの八髙正規執行役員経営企画本部長は「新しい販促の形にトライしている。今後は、auPAYマーケットにおける大規模セールなどと連携しながら、ライブコマースで物を売るという形を作っていきたい」と話す。
ライブTVにおける直近の購入者数は前年同期比30~50%増、視聴者数は50~60%増という。これまで集客の動線は、仮想モール内やKDDIのオウンドメディアからが中心だったが、吉本との取り組みを開始したことで、お笑い芸人のファンが流入するケースも増えてきた。「吉本と組んだ番組なら必ず成功するわけではないが、成功する確率は高い」(八髙執行役員)。また、コンバージョン率は、通常のECと比較した場合、4倍ほど高いという。八髙執行役員は「ライブで商品の良さを知ってから商品ページに来訪するので、高くなるのは間違いない」と話す。仮想モール内のバナー広告と比較しても、コンバージョン率は1・5~2倍ほど高い。
ライブコマースで扱う商品のうち、最も成功しやすのは食品関連。これは、同モールがもともと食品に強いことも影響している。八髙執行役員は「事前の目標を達成する”打率”でいうなら3割程度だが、新機軸のサービスと考えれば、悪い数字ではないと思っている」と語る。
では、商品を売るためのコツは何か。八髙執行役員は「売れるパターンは限られていると思う。人気芸人が出演すれば売れるというわけではない。その商品に対してきちんと説明したり、”想い”を熱く語ったりできなければ駄目だろう」と明かす。パソコンでの閲覧を前提としていた頃、仮想モールの商品ページは、担当者が思いをつづることで、非常に長くなる傾向があった。現在はスマートフォンでの購入がほとんどとなり、こうしたページも見られなくなってきたが、代わりに生放送で商品への想いを伝えるわけだ。
「もちろん、店長が語るのも一つの手だが、著名人が語ることによってユーザーの心を動かすことが大事になってくる」(同)。用意された台本を読むだけではなく、商品の良さが自分の言葉で伝えられる出演者と、商品力が合わさった場合は「どんなカテゴリーでも売れるのではないか」。さまざまな芸人が出演しているが、「『アインシュタイン』のお2人はとてもうまいし、一生懸命やってくれる」(同)という。
ライブコマースは、視聴者がコメントできるため、双方向のコミュニケーションが可能な点も魅力の一つだ。コメントへの返しがうまい出演者はコンバージョン率が高く、視聴時間が伸びる傾向があるという。また、商品を提供する店舗の工夫も重要だ。自社のメールマガジンで宣伝するなどの販促だけではなく、クーポンの発行やポイント増量といった施策も重要になってくる。さらに、ライブコマースで商品が売れれば、仮想モール内のランキング上位に食い込みやすい。つまり、ランキング経由の来訪も期待できるわけだ。
店舗がライブコマースを利用する場合の費用は30~250万円と幅広い。配信する日や出演者によっても変わってくるという。商品サンプルは出演者に提供するほか、店舗が出演者側に確認ができる場も設けている。八髙執行役員は「出演者によって売れ行きはかなり変わってくるが、あまり出演者の個性に依存すると事業が拡大できなくなる恐れもある。売るためのノウハウを確立し、横展開していきたい。どこでブレイクスルーするかが課題だろう」と話す。
視聴者の属性は仮想モールと変わらず、40~50代が中心。若年層が中心のSNSにおけるライブ配信とは大きく異なっている。八髙執行役員は「モール全体の課題として、ミレニアル世代・Z世代が弱いので、こうした世代の取り込みに向けてライブコマースをフックにしたい。KDDIはエンターテインメントに強いキャリアなので、KDDIが持つエンタメ領域の知見なども活用する。そのためには、しっかりと拡散する仕組みや、SNSとの連携など、インフラを整えないと単発で終わってしまう。下期に向けて構築していきたい」と力を込める。
中国では、若年層を中心にライブコマースが人気となっている。「重要なのはSNSでの発信。タオバオが成功したのは、ライブコマースによってセラーとバイヤー双方の信用度を高めることで、コンバージョン率を高めたから。そこから『あのインフルエンサーなら信用できる』となり、さらには共同購入の仕組みなどが生まれた。当社はSNSを持っていないので同じことはできないが、モール型のライブTVに主軸を置きつつ、SNSと連携するビジネスモデルを作りたい」(同)。
一方で「中国と違い、日本はセラーもバイヤーもユーザーから信用されているので、ライブコマースは流行らないのでは」という声もある。これに対し、八髙執行役員は「表層的に見ればそういう面はあるだろう。ただ、マーケットプレイス内で回遊しているユーザーに対して、今までとは違うソリューションを提供し顧客として定着させるには、ライブコマースが有用だと思っている」とする。
吉本興業と連携した「生配信!よしもと市場」は、月に6~7本を配信している。また、毎月「3の付く日」に行う「三太郎の日」でも特別番組を配信。auCLの八髙正規執行役員経営企画本部長は「新しい販促の形にトライしている。今後は、auPAYマーケットにおける大規模セールなどと連携しながら、ライブコマースで物を売るという形を作っていきたい」と話す。
ライブTVにおける直近の購入者数は前年同期比30~50%増、視聴者数は50~60%増という。これまで集客の動線は、仮想モール内やKDDIのオウンドメディアからが中心だったが、吉本との取り組みを開始したことで、お笑い芸人のファンが流入するケースも増えてきた。「吉本と組んだ番組なら必ず成功するわけではないが、成功する確率は高い」(八髙執行役員)。また、コンバージョン率は、通常のECと比較した場合、4倍ほど高いという。八髙執行役員は「ライブで商品の良さを知ってから商品ページに来訪するので、高くなるのは間違いない」と話す。仮想モール内のバナー広告と比較しても、コンバージョン率は1・5~2倍ほど高い。
ライブコマースで扱う商品のうち、最も成功しやすのは食品関連。これは、同モールがもともと食品に強いことも影響している。八髙執行役員は「事前の目標を達成する”打率”でいうなら3割程度だが、新機軸のサービスと考えれば、悪い数字ではないと思っている」と語る。
では、商品を売るためのコツは何か。八髙執行役員は「売れるパターンは限られていると思う。人気芸人が出演すれば売れるというわけではない。その商品に対してきちんと説明したり、”想い”を熱く語ったりできなければ駄目だろう」と明かす。パソコンでの閲覧を前提としていた頃、仮想モールの商品ページは、担当者が思いをつづることで、非常に長くなる傾向があった。現在はスマートフォンでの購入がほとんどとなり、こうしたページも見られなくなってきたが、代わりに生放送で商品への想いを伝えるわけだ。
「もちろん、店長が語るのも一つの手だが、著名人が語ることによってユーザーの心を動かすことが大事になってくる」(同)。用意された台本を読むだけではなく、商品の良さが自分の言葉で伝えられる出演者と、商品力が合わさった場合は「どんなカテゴリーでも売れるのではないか」。さまざまな芸人が出演しているが、「『アインシュタイン』のお2人はとてもうまいし、一生懸命やってくれる」(同)という。
ライブコマースは、視聴者がコメントできるため、双方向のコミュニケーションが可能な点も魅力の一つだ。コメントへの返しがうまい出演者はコンバージョン率が高く、視聴時間が伸びる傾向があるという。また、商品を提供する店舗の工夫も重要だ。自社のメールマガジンで宣伝するなどの販促だけではなく、クーポンの発行やポイント増量といった施策も重要になってくる。さらに、ライブコマースで商品が売れれば、仮想モール内のランキング上位に食い込みやすい。つまり、ランキング経由の来訪も期待できるわけだ。
店舗がライブコマースを利用する場合の費用は30~250万円と幅広い。配信する日や出演者によっても変わってくるという。商品サンプルは出演者に提供するほか、店舗が出演者側に確認ができる場も設けている。八髙執行役員は「出演者によって売れ行きはかなり変わってくるが、あまり出演者の個性に依存すると事業が拡大できなくなる恐れもある。売るためのノウハウを確立し、横展開していきたい。どこでブレイクスルーするかが課題だろう」と話す。
視聴者の属性は仮想モールと変わらず、40~50代が中心。若年層が中心のSNSにおけるライブ配信とは大きく異なっている。八髙執行役員は「モール全体の課題として、ミレニアル世代・Z世代が弱いので、こうした世代の取り込みに向けてライブコマースをフックにしたい。KDDIはエンターテインメントに強いキャリアなので、KDDIが持つエンタメ領域の知見なども活用する。そのためには、しっかりと拡散する仕組みや、SNSとの連携など、インフラを整えないと単発で終わってしまう。下期に向けて構築していきたい」と力を込める。
中国では、若年層を中心にライブコマースが人気となっている。「重要なのはSNSでの発信。タオバオが成功したのは、ライブコマースによってセラーとバイヤー双方の信用度を高めることで、コンバージョン率を高めたから。そこから『あのインフルエンサーなら信用できる』となり、さらには共同購入の仕組みなどが生まれた。当社はSNSを持っていないので同じことはできないが、モール型のライブTVに主軸を置きつつ、SNSと連携するビジネスモデルを作りたい」(同)。
一方で「中国と違い、日本はセラーもバイヤーもユーザーから信用されているので、ライブコマースは流行らないのでは」という声もある。これに対し、八髙執行役員は「表層的に見ればそういう面はあるだろう。ただ、マーケットプレイス内で回遊しているユーザーに対して、今までとは違うソリューションを提供し顧客として定着させるには、ライブコマースが有用だと思っている」とする。