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大幅な増収増益も<コロナ禍の通販の状況は?> 追い風に乗り各社概ね順調

2021年 5月13日 12:30

 日本の経済に暗い影を落すコロナ禍。再びの緊急事態宣言の発出による外出自粛や休業要請等の影響でさらに経済面のダメージは広がりそうだ。一方でコロナ禍は追い風とされる通販市場のプレイヤーの状況はどうなっているか。主な通販各社の直近決算を踏まえつつ、通販市場と通販事業者の現状を見ていく。
 










大手専業各社は2桁増収と好調

 主な通販専業各社の状況から見ていく。

 スクロールの2021年3月期決算は、売上高が前期比17・3%増の851億9500万円、営業利益が同3・4倍の73億8500万円、経常利益が同3・3倍の75億1900万円、当期純利益は同7・4倍の51億8300万円だった。

 生協を中心とした通販事業は、ホームウエアをはじめとする在宅向け商材が年間を通して好調に推移。ソリューション事業は、物流代行が4~6月に大きく成長したほか、決済代行、メディア事業(アフィリエイト)は年間を通じて好調で、特にメディア事業が大きく伸びた。eコマース事業は、キャンプやフィッシングなどのアウトドア商材や、在宅向け商材が好調。特に、アウトドア市場の拡大が、下期の成長をけん引している。一方で、化粧品や健康食品の健粧品事業、旅行事業は、コロナの影響を受けて減収だった。

 同社によれば、前期対比で約125億円の増収額のうち、コロナ禍の影響は約90億円、自社の取り組みによる増収は約35億円という。コロナ禍による好影響は、「在宅率増加による顧客との接点増加」「ソリューション事業における既存クライアントの物量増加」「eコマース事業が扱う商材の需要拡大(アウトドア、家具、インテリア)」がある。鶴見知久社長は「コロナ禍で通販市場は拡大したがプレイヤーが増えて競争がさらに激化した」と前期を振り返った。

 2022年3月期の連結業績は、売上高が前期比800億円、営業利益は39億円、経常利益は40億円、当期純利益は28億円で減収減益を見込む(今期から「収益認識に関する会計基準」等を適用するため、増減率は算出しない)。コロナ禍の影響を除いた売上高からは増収となる見通し。

 鶴見社長は「好調だった通販事業やeコマース事業では、コロナの影響を除いた売り上げ計画を立てているほか、ソリューション事業でもコロナの影響が収まれば物量が減少するので、減収を見込んでいる」とした。

 フェリシモでは、新型コロナウイルスの感染拡大による”巣ごもり需要”を取り込み、定期便事業が好調に推移。2021年2月期の連結売上高が前期比16・3%増の332億6000万円、営業利益は同4・9倍の15億400万円で増収増益だった。

 売上増に伴い、販売費や広告費、減価償却費が増加したものの、同9・5%増の165億5200万円にとどまったことから、大幅な増益となっている。

 主力の定期便事業については、強みである企画構想力を生かした独創的な商品展開が、SNSや各種メディアで反響を呼び、数々のヒット商品が生まれた。また、テレビコマーシャルやウェブマーケティング、ダイレクトメールやダイレクトメッセージなどの複合型マーケティング施策が軌道に乗ったことから、新規顧客数の拡大、過去購買顧客の再購入数の増大及び継続顧客数の大幅な増加などにつながった。

 「ヨガ気分ブラ」をはじめとする「フラフィー)」のインナー商品や、「フラウグラット」の日常服、「クチュリエ」のオリジナル手作りキットなど、在宅時間を快適に過ごすための生活雑貨関連商品の売り上げが大きく増加。また「リブ・イン・コンフォート」や「サニークラウズ」、「メデ・ジュウキュウ」などのファッションブランドの売り上げも堅調に推移した。

 千趣会の2020年12月期業績は、ブライダル事業がコロナの影響で挙式披露宴の延期などが発生したことから連結ベースでは減収減益・赤字となったが、主力の通販事業は会員獲得施策の進展や巣ごもり需要増などから好調で、当該事業の売上高は前年比10・1%増の674億円、営業利益は26億2400万円(前年は8億500万円の損失)と大幅な増収増益となった。

 通販事業は前期、「会員基盤の再構築」と「商品力・提案力の強化」「オペレーション改革」に取り組んだ。とくに会員基盤については、一定期間に購入がない顧客へDMなどで積極的なアプローチを実施したことでベルメゾンの継続・復活会員数が前年比40万9000人増となったほか、新たな生活様式に対応した商品を迅速に提案して巣ごもり需要を獲得し、新規会員数も同14万8000人増となり、ベルメゾンの年間購入者数は293万7000人に拡大した。

 商品力・提案力の面では、展開型数を顧客軸、ブランドコード、利益の観点で品ぞろえを再整備。コロナ禍の顧客ニーズに対応した提案を実施するなどした結果、型数は1割近く減って7万2000型弱に、一方で1型当たりの売上額は前年から18万円改善して86万5000円だった。

 なお、今第1四半期(1~3月)も連結ではブライダル事業の苦戦を引きずったが、通販事業はコロナの感染拡大に伴う巣ごもり消費が追い風となる中、顧客目線のライフスタイル提案を続け、前期に再構築した顧客基盤を活用した販促策を展開。また、継続的なオペレーション改革による粗利率の改善などで増収増益となっている。

 靴の製造・販売を手がけているヒラキの2021年3月期の通販事業は、外出自粛に伴う巣ごもり需要に対応すべく衣料・インテリア・雑貨カテゴリーの商品を拡充。SNSマーケティングや公式アプリでのキャンペーンを軸に新規顧客の獲得を図ることができた。とりわけ、下半期に関してはすべての商品カテゴリーで前年同期を上回る受注を獲得し、受注件数・受注金額は前年同期比2桁増の伸びを達成。結果的に通販売上高は前期比6・4%増の88億1300万円となり、利益面でも同57・9%増の11億4900万円で、増収増益となった。


 
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