ヤフーの親会社のZホールディングス(=ZHD)とLINEは3月1日、経営統合した。ZHDの親会社のソフトバンクとLINEの親会社、ネイバーコーポレーションによる折半出資会社がZHDの親会社となり、ZHDの完全子会社として、ヤフーとLINEが傘下に入り、同じグループとして、ネット検索やネット広告、メッセンジャーアプリなどのサービスを基盤にしつつ、両社がこれまで展開してきた事業を互いに掛け合わせてさらなる規模拡大を図りたい考え。
3月1日に都内で開催した記者会見で、川邊代表取締役社長Co‐CEO(
写真=左)は仮想モール事業などのコマース事業については、バーコード決済サービスなど「フィンテック」とともに、集中的に取り組むべき「集中領域」の1つと定め、強化していく考えを示し、ヤフーやLINEが展開中、または展開予定の互いのEコマース関連事業を掛け合わせることで規模拡大を進め、ZHDが数年前から繰り返し掲げてきた、流通総額で先を行く競合の楽天やアマゾンを抜き、「2020年代前半までにEC物販取扱高で国内ナンバーワンになる」との目標の達成を改めて強調した。
記者会見に川邊社長とともに登壇したZHDの出澤代表取締役Co‐CEO(
写真=右)は新生ZHDのコマース事業の方向性について「欲しいものをいつでもどこでも圧倒的にお得に購入できる体験の提供を通じて『2020年代前半までにEC物販取扱高で国内ナンバーワン』になる」とし、具体的な施策として、メッセンジャーアプリ「LINE」のコミュニケーション力とコマースを組み合わせた「ソーシャルコマース」とヤフーが進めてきたオンラインとオフラインのコマースを連携させたコマース展開「X(クロス)ショッピング」の強化を挙げた。
「ソーシャルコマース」ではすでにLINEが展開中の「LINE」上で通知する友だちの誕生日などをきっかけに、「LINE」を通じてギフトを贈ることができる「LINEギフト」にヤフーが運営する仮想モール「ヤフーショッピング」などを今夏をメドに連携させ、同モールで取り扱う出店者の商品をギフトとして購入できるようにする。
また、友人などに購入を呼びかけ、一定数の購入者が集まると安価に商品を購入できる共同購入もスタートさせる計画。2021年度中にまずは「ヤフーショッピング」でトライアルを始め、「LINE」上でも展開していく考えがあるようだ。
さらにインフルエンサーなどによる商品紹介の動画を見ながら、同じ動画を見ている人と交流して買い物ができるライブコマースも「LINE」上で展開していく考え。同サービスはLINEが展開中のライブ配信機能を活用して行うもので、すでに昨年9月にLINEが「LIVEBUY(ライブバイ)」という名称でライブコマースサービスを展開していくと発表しており、それを踏襲したサービスとなるようだ。
一方、「X(クロス)ショッピング」は昨年からZHDが打ち出しているオンライン店舗と実店舗を連携させ、ユーザーにとっては便利な買い物体験の提供、事業者にとっては利便性の高いコマース事業の運営方法を提供するサービスで、すでに昨秋からヤフーが運営する仮想モール「PayPayモール」の一部の店舗で導入している注文した商品を実店舗で引き渡すサービスをさらに進めるほか、利用者の自宅近くの実店舗から商品を配送する「域内配送」の実装なども実店舗を持つ出店者の協力を取り付けながらオンライン店舗と実店舗の商品データを連携させることで推進していく考え。こうした連携を進めていくことで中長期的にはオンラインに加え、実店舗においても、利用者のサービスの利用状況などを踏まえながら人によって商品価格を変えるダイナミックプライシングで商品を販売する「My Price構想」を検討するとし、今後、ヤフーの有料会員制度「プレミアム会員」や決済サービス「PayPay」の利用状況で買い物の際に割引率が高くなる「PayPaySTEP」などのユーザー向けロイヤリティプログラムの統合も検討していくという。
さらにグループのネイバー社の知見を活用して、自社ECサイトの構築・運営や分析、接客や送客などが可能なECソリューション「Smart Store Project」を21年度上半期中に提供する計画で「PayPay」を導入する小売事業者などにも営業を進めていくという。それに加え、中長期的に実店舗、自社ECサイト、「ヤフーショッピング」などのモール型EC、集客用の各種SNSサイトやLINE公式アカウントなどを1つの画面の上で一括して管理・運営ができる仕組みを構築していくとした。
コマース事業以外でも例えばQR・バーコード決済サービスでは「PayPay」とLINEの決済サービス「LINE Pay」は加盟店における連携を開始し、今年4月下旬以降、全国300万ヵ所以上のPayPay加盟店のうち、ユーザースキャン方式加盟店において「LINEPay」で支払いをできるようにする。なお、来年4月にLINE Payの国内QR・バーコード決済を「PayPay」に統合していく考えだという。
海外展開についても言及。「LINE」のサービス利用が多い台湾、タイ、インドネシアを起点に、日本での成功事例を展開していくとともにソフトバンクグループのファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が出資するベンチャー企業のサービスやネイバー社などのノウハウなどを活かし、海外展開を強化していく。
事業の強化に並行して投資も積極化。すべてのサービスにAIを実装し、AIを中心に各事業を成長させるとし、5年間で5000億円の投資を計画し、5000人のAIの活用に携わる国内外のエンジニアを増員するという。ZHDでは2023年度には売上高2兆円、営業利益は2250億円を見込む考え。
ZHDとLINE両社の前年度の合計売上高は1兆3000億円程度となり、目標売り上げには7000億円程度、積み増す必要があるが、広告・販促やコマース、決済などを軸に売上を拡大する意向。「販促はブルーオーシャン。ここは大きく伸ばしていく。コマースもLINEの強みを生かして、(アマゾンや楽天という)先行2社に近づいていく」(川邉氏)とした。
3月1日に都内で開催した記者会見で、川邊代表取締役社長Co‐CEO(写真=左)は仮想モール事業などのコマース事業については、バーコード決済サービスなど「フィンテック」とともに、集中的に取り組むべき「集中領域」の1つと定め、強化していく考えを示し、ヤフーやLINEが展開中、または展開予定の互いのEコマース関連事業を掛け合わせることで規模拡大を進め、ZHDが数年前から繰り返し掲げてきた、流通総額で先を行く競合の楽天やアマゾンを抜き、「2020年代前半までにEC物販取扱高で国内ナンバーワンになる」との目標の達成を改めて強調した。
記者会見に川邊社長とともに登壇したZHDの出澤代表取締役Co‐CEO(写真=右)は新生ZHDのコマース事業の方向性について「欲しいものをいつでもどこでも圧倒的にお得に購入できる体験の提供を通じて『2020年代前半までにEC物販取扱高で国内ナンバーワン』になる」とし、具体的な施策として、メッセンジャーアプリ「LINE」のコミュニケーション力とコマースを組み合わせた「ソーシャルコマース」とヤフーが進めてきたオンラインとオフラインのコマースを連携させたコマース展開「X(クロス)ショッピング」の強化を挙げた。
「ソーシャルコマース」ではすでにLINEが展開中の「LINE」上で通知する友だちの誕生日などをきっかけに、「LINE」を通じてギフトを贈ることができる「LINEギフト」にヤフーが運営する仮想モール「ヤフーショッピング」などを今夏をメドに連携させ、同モールで取り扱う出店者の商品をギフトとして購入できるようにする。
また、友人などに購入を呼びかけ、一定数の購入者が集まると安価に商品を購入できる共同購入もスタートさせる計画。2021年度中にまずは「ヤフーショッピング」でトライアルを始め、「LINE」上でも展開していく考えがあるようだ。
さらにインフルエンサーなどによる商品紹介の動画を見ながら、同じ動画を見ている人と交流して買い物ができるライブコマースも「LINE」上で展開していく考え。同サービスはLINEが展開中のライブ配信機能を活用して行うもので、すでに昨年9月にLINEが「LIVEBUY(ライブバイ)」という名称でライブコマースサービスを展開していくと発表しており、それを踏襲したサービスとなるようだ。
一方、「X(クロス)ショッピング」は昨年からZHDが打ち出しているオンライン店舗と実店舗を連携させ、ユーザーにとっては便利な買い物体験の提供、事業者にとっては利便性の高いコマース事業の運営方法を提供するサービスで、すでに昨秋からヤフーが運営する仮想モール「PayPayモール」の一部の店舗で導入している注文した商品を実店舗で引き渡すサービスをさらに進めるほか、利用者の自宅近くの実店舗から商品を配送する「域内配送」の実装なども実店舗を持つ出店者の協力を取り付けながらオンライン店舗と実店舗の商品データを連携させることで推進していく考え。こうした連携を進めていくことで中長期的にはオンラインに加え、実店舗においても、利用者のサービスの利用状況などを踏まえながら人によって商品価格を変えるダイナミックプライシングで商品を販売する「My Price構想」を検討するとし、今後、ヤフーの有料会員制度「プレミアム会員」や決済サービス「PayPay」の利用状況で買い物の際に割引率が高くなる「PayPaySTEP」などのユーザー向けロイヤリティプログラムの統合も検討していくという。
さらにグループのネイバー社の知見を活用して、自社ECサイトの構築・運営や分析、接客や送客などが可能なECソリューション「Smart Store Project」を21年度上半期中に提供する計画で「PayPay」を導入する小売事業者などにも営業を進めていくという。それに加え、中長期的に実店舗、自社ECサイト、「ヤフーショッピング」などのモール型EC、集客用の各種SNSサイトやLINE公式アカウントなどを1つの画面の上で一括して管理・運営ができる仕組みを構築していくとした。
コマース事業以外でも例えばQR・バーコード決済サービスでは「PayPay」とLINEの決済サービス「LINE Pay」は加盟店における連携を開始し、今年4月下旬以降、全国300万ヵ所以上のPayPay加盟店のうち、ユーザースキャン方式加盟店において「LINEPay」で支払いをできるようにする。なお、来年4月にLINE Payの国内QR・バーコード決済を「PayPay」に統合していく考えだという。
海外展開についても言及。「LINE」のサービス利用が多い台湾、タイ、インドネシアを起点に、日本での成功事例を展開していくとともにソフトバンクグループのファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」が出資するベンチャー企業のサービスやネイバー社などのノウハウなどを活かし、海外展開を強化していく。
事業の強化に並行して投資も積極化。すべてのサービスにAIを実装し、AIを中心に各事業を成長させるとし、5年間で5000億円の投資を計画し、5000人のAIの活用に携わる国内外のエンジニアを増員するという。ZHDでは2023年度には売上高2兆円、営業利益は2250億円を見込む考え。
ZHDとLINE両社の前年度の合計売上高は1兆3000億円程度となり、目標売り上げには7000億円程度、積み増す必要があるが、広告・販促やコマース、決済などを軸に売上を拡大する意向。「販促はブルーオーシャン。ここは大きく伸ばしていく。コマースもLINEの強みを生かして、(アマゾンや楽天という)先行2社に近づいていく」(川邉氏)とした。