オアシスライフスタイルグループは、グループ会社のオアシススタイルウェアで展開する作業着スーツの「ワークウェアスーツ」を”ボーダレスウェアブランド”としてリブランディングし、2月16日にブランド名を「WWS(ダブリューダブリューエス)」に変更した。「服のニーズはもっとボーダレス化していく」と語る関谷有三グループCEO(=
顔写真)に、「WWS」のリブランディングの経緯や”ボーダレスウェア市場”開拓の狙いなどについて聞いた。
――水道工事会社の作った作業着スーツが大手の関心を引く市場になった。
「作業着スーツはニッチなニーズが確実にあると見ていたが、法人向けユニフォームとしての導入が3年間で850の企業に広がるなど、こんなに大きな市場になるとは思わなかった」
「一方、ネット上では『作業をするときにスーツを着る必要があるのか』といった声がいまだにある。世の中を変えるときや、潜在ニーズをくみ取るときには批判があって良いと思っているし、大きな批判が伴わなければイノベーションは起きない。グーグルマップはもちろん、iPhoneやエアービーアンドビー、ウーバーなども始まった当初は批判されていたが、すでに大事なインフラになっている」
――業績が急伸している中でリブランディングした理由は。
「『WWS』はこれまでスーツと作業着の垣根を壊そうとしてきたが、コロナ禍で職場と自宅という垣根もなくなってきた。そうした中で、リモートワーク対応や毎日洗えるスーツのニーズが高まっている。ライフウェアやカジュアルウェアの領域にも貢献できているし、そういうニーズがつかめてきたため、作業着とスーツの垣根にこだわらず、”ボーダレスウェア”という領域を切り開こうという思いが、コロナの序盤の頃からあった」
――照準を作業着スーツからボーダレスウェアに切り替えた。
「なかなか自分で作った市場を自分で捨てるケースはないと思う。『春水堂』を日本に持ってきたときも、その後にさまざまなタピオカミルクティーの店が参入してきた。作業着スーツの市場もそうで、さまざまな企業が参入してきたが、やはり一歩先に行きたいという思いは常にある」
――作業着スーツ市場にも新規参入する企業は後を絶たない。
「大手を含めて作業着スーツの市場に参入してくることは想定していた。絶好調のワークマンさんや、苦戦している紳士服チェーンが参入したりと、想定通りというか、感じていた消費者ニーズが顕在化したという手応えがある。一方で、新規参入を見越して1年前からリブランディングの準備をしてきた」
――作業着スーツは広がり方が早かった。
「コロナ禍では『WWS』の毎日洗える点が感染対策につながるということで重宝され、売れたことで、各社が次の策を打つときのお手本になったのではないか」
――切り替えの早さは見事だ。
「これまで『WWS』で打ち出してきた『作業着×スーツ』という定義すらいらないという考え方が今は斬新かもしれないが、今後は洋服の主流になると考えていて、そのパイオニアかつトップブランドでありたい」
――後追いも出てきそうだ。
「恐らく、作業着スーツのときと同様にさまざまな企業がボーダレスウェア市場に参入してくるだろう。『WWS』を販売開始した3年前に笑っていた企業も含め、さまざまな企業からベンチマークされている現状は狙い通りだ」
――ボーダレスウェア市場を開拓する上で『ワークウェアスーツ』のブランド名を捨てる決断をした。
「『ワークウェアスーツ』は文字通りワークウェア(作業着)とスーツを一緒にしたもの。その領域から出て、カジュアルウェアやライフウェアという日常着の領域に飛び込みたかった」
「作業着スーツの領域でも今後数年間は問題なく成長できると思うが、アパレル業界で毎年作られるトレンド、シーズンごとのコレクションと、それに伴う大量生産・大量廃棄といった構造的な問題に疑問を持っていた。一企業として商品が売れるということよりも、世界的なパラダイムシフトを起こすきっかけになり得ると考えた」
――サステナブルもうたっている。
「サステナブルを意識した物作りをしてきたわけではないが、私自身がコロナ禍で『WWS』を毎日着て、ほかの服を着なくなったり、何を着ようかと悩むことがなくなった中で、『これは究極のサステナブルなのでは』と自分の体験として実感できた。これが世界標準になればアパレル産業の環境問題にも貢献できると思い、問題提起も含めてキーワードにした」
――ウィズコロナ時代における消費者の購買心理をどう見る。
「まさにボーダレス化していくと思う。コロナ禍で会社にも行かない、パーティーや式典もない中、従来であれば会社に行く格好、パーティーや結婚式に行く格好、レストランに行く格好などがあり、TPOに合った服を買っていた。ところがコロナ禍で服を買いに行く理由がなくなった環境下で、『そんなに服はいらなかった』ということに気づき、スタンダードでシンプルな”エッセンシャルウェア”を選んで長く大事に使うようになっていく。ただ、エッセンシャルウェアやボーダレスウェアを迷わずに買える場所がないため、『WWS』をそうした場にしたい」(つづく)
――水道工事会社の作った作業着スーツが大手の関心を引く市場になった。
「作業着スーツはニッチなニーズが確実にあると見ていたが、法人向けユニフォームとしての導入が3年間で850の企業に広がるなど、こんなに大きな市場になるとは思わなかった」
「一方、ネット上では『作業をするときにスーツを着る必要があるのか』といった声がいまだにある。世の中を変えるときや、潜在ニーズをくみ取るときには批判があって良いと思っているし、大きな批判が伴わなければイノベーションは起きない。グーグルマップはもちろん、iPhoneやエアービーアンドビー、ウーバーなども始まった当初は批判されていたが、すでに大事なインフラになっている」
――業績が急伸している中でリブランディングした理由は。
「『WWS』はこれまでスーツと作業着の垣根を壊そうとしてきたが、コロナ禍で職場と自宅という垣根もなくなってきた。そうした中で、リモートワーク対応や毎日洗えるスーツのニーズが高まっている。ライフウェアやカジュアルウェアの領域にも貢献できているし、そういうニーズがつかめてきたため、作業着とスーツの垣根にこだわらず、”ボーダレスウェア”という領域を切り開こうという思いが、コロナの序盤の頃からあった」
――照準を作業着スーツからボーダレスウェアに切り替えた。
「なかなか自分で作った市場を自分で捨てるケースはないと思う。『春水堂』を日本に持ってきたときも、その後にさまざまなタピオカミルクティーの店が参入してきた。作業着スーツの市場もそうで、さまざまな企業が参入してきたが、やはり一歩先に行きたいという思いは常にある」
――作業着スーツ市場にも新規参入する企業は後を絶たない。
「大手を含めて作業着スーツの市場に参入してくることは想定していた。絶好調のワークマンさんや、苦戦している紳士服チェーンが参入したりと、想定通りというか、感じていた消費者ニーズが顕在化したという手応えがある。一方で、新規参入を見越して1年前からリブランディングの準備をしてきた」
――作業着スーツは広がり方が早かった。
「コロナ禍では『WWS』の毎日洗える点が感染対策につながるということで重宝され、売れたことで、各社が次の策を打つときのお手本になったのではないか」
――切り替えの早さは見事だ。
「これまで『WWS』で打ち出してきた『作業着×スーツ』という定義すらいらないという考え方が今は斬新かもしれないが、今後は洋服の主流になると考えていて、そのパイオニアかつトップブランドでありたい」
――後追いも出てきそうだ。
「恐らく、作業着スーツのときと同様にさまざまな企業がボーダレスウェア市場に参入してくるだろう。『WWS』を販売開始した3年前に笑っていた企業も含め、さまざまな企業からベンチマークされている現状は狙い通りだ」
――ボーダレスウェア市場を開拓する上で『ワークウェアスーツ』のブランド名を捨てる決断をした。
「『ワークウェアスーツ』は文字通りワークウェア(作業着)とスーツを一緒にしたもの。その領域から出て、カジュアルウェアやライフウェアという日常着の領域に飛び込みたかった」
「作業着スーツの領域でも今後数年間は問題なく成長できると思うが、アパレル業界で毎年作られるトレンド、シーズンごとのコレクションと、それに伴う大量生産・大量廃棄といった構造的な問題に疑問を持っていた。一企業として商品が売れるということよりも、世界的なパラダイムシフトを起こすきっかけになり得ると考えた」
――サステナブルもうたっている。
「サステナブルを意識した物作りをしてきたわけではないが、私自身がコロナ禍で『WWS』を毎日着て、ほかの服を着なくなったり、何を着ようかと悩むことがなくなった中で、『これは究極のサステナブルなのでは』と自分の体験として実感できた。これが世界標準になればアパレル産業の環境問題にも貢献できると思い、問題提起も含めてキーワードにした」
――ウィズコロナ時代における消費者の購買心理をどう見る。
「まさにボーダレス化していくと思う。コロナ禍で会社にも行かない、パーティーや式典もない中、従来であれば会社に行く格好、パーティーや結婚式に行く格好、レストランに行く格好などがあり、TPOに合った服を買っていた。ところがコロナ禍で服を買いに行く理由がなくなった環境下で、『そんなに服はいらなかった』ということに気づき、スタンダードでシンプルな”エッセンシャルウェア”を選んで長く大事に使うようになっていく。ただ、エッセンシャルウェアやボーダレスウェアを迷わずに買える場所がないため、『WWS』をそうした場にしたい」(つづく)